【育児の悩み】育児に協力的な男性が抱える悩みと解決策!

 育児ストレスによる産後鬱や育児鬱は女性を対象としているイメージがありますが、近年では男女共にリスクがあることが分かっています。

 ネット上では、母乳が出ないといった性差による無力さや仕事と家庭の負担から疲れ切っている男性の声も多く見受けられます。

 さらに女性活躍推進法が制定され、男性の家事や育児参加を求める声が多くなる一方で、職場体制はほとんど変わっておらず、男性の仕事の負担は変わらずに家事や育児の負担が増加する一方となっています。

 また、男性の育児休業取得率は増加傾向にありますが、長期(3か月以上)取得率は全体の0.4%と低く、男性が家事や育児に専念できる環境が整っているとは言えない状況です(「厚生労働省:令和元年度雇用均等基本調査」より)。

本記事ではそういった環境に置かれている男性が抱える育児(家庭)の悩みについて紹介していきます。なお、解決策に関しては状況によってそぐわない場合もあるため、参考程度に読み流していただいても問題ありません。

1.家庭(妻)が原因となる男性の育児の悩み

 育児による男性の悩みは大きく分けて「家庭内で起きるもの」と「社会で起きるもの」が考えられます。

 本項目では、ネット上で挙げられている情報や「内閣府の調査資料」を基に「家庭内での悩み」について、紹介していきます。

1-1.授乳ができず無力感を感じる

 育児に積極的に参加したいと考えている男性でも、完全母乳育児を望む場合は、必然的に男性の育児時間が短くなります。

 特に、生後0か月では2時間おきの授乳が中心であり、1日の1/4は授乳~寝かしつけ、3/4は寝ている状態です。

 その為、男性は授乳ができない(母乳パックを利用する場合でも妻の協力が必要となる)ことで育児において自分の無力さを感じることも少なくありません。

 また、妻から「授乳が無いから楽そうでいいね」「夜も寝れずに大変なんだから」と頻繁に言われると、例え妻に悪意はなくてもつらい気持ちになることもあります。

 男性が授乳を変わることはできないため、ある意味、性差によるハラスメントと言えるかもしれません。

 さらに、実際に授乳が大変であることは理解できますし、家事や育児においては男性の立場が弱い現状においては「授乳のことで責めないで」とは言いづらいことも厄介です。

 ただ、授乳ができずに無力感を感じるのはせいぜい生後3~6か月までです。その期間を過ぎれば赤ちゃんも起きている時間が長くなり、育児に本格的に参加できるようになるので授乳の無力さを抱え込みすぎないことが大切です。

 生後0か月頃は、無力感に頭を悩ませるのではなく、育児よりも家事を中心に支えるように心掛けると良いでしょう。

1-2.妻が常にイライラしていると感じる

 「妻が常にイライラしている」ことに頭を悩ませている男性は、本当に多いでしょう。育児で抱える男性の悩み第1位と言っても過言ではないかもしれません。

 生活環境の変化やホルモンバランスの乱れによるもの等、妻がイライラする原因は色々ありますが、仕事から帰宅して毎日妻のイライラを感じ、気を遣っていては休まる暇がありません。

 仕事で受けたストレスを妻に話したくても、育児に追われてそういった時間が取れないことも少なくありません。

 ただ、妻自身も慣れない育児に追われ、身体的にも心理的にも大きな負担を抱えている為、イライラしていることを責めることはできません。

 なお、内閣府の調査資料によると、共働き世帯よりも専業主婦世帯の方が育児負担を感じていることが分かっています。

 このことから、単に家事や育児の負担だけでイライラを感じているわけでは無く、「お互いの気持ちの共有ができない」ことでイライラしていることが想像できます。

 慣れない生活環境や自律神経の乱れが重なっていると考えられるため、イライラそのものを解消するのではなく、お互いの大変さを共有する (話し合う)時間を多く持ち、イライラを受け入れる気持ちで接することが大切なのかもしれません(イライラを解消しようとすると、お互いに疲れてしまうこともあります)。

1-3.妻や子どもと接する時間が短く孤独感を感じる

 長期の育児休業を取得したり、短時間勤務が利用できる場合には問題ありませんが、会社の理解が得られず制度利用できなかった場合や経済的な問題で利用できない場合、必然的に家庭で過ごす時間が短くなります。

 そうすると徐々に夫婦の育児能力に差が開き始めます。

夫は、一緒に過ごす時間が短い為「何故泣いているのか」「次に何をするのか」といった赤ちゃんの状況が掴みにくく、孤独感を感じることがあります。

 子どもと一緒に過ごす時間が短いことが原因であるため、妻と同等の判断や管理をすることは難しいと割り切ることも必要かもしれません。

 但し、本来育児は夫婦二人で担うものである為、早期に妻の協力を得て日中の赤ちゃんの様子(夕方に泣くといった生活リズム等)を共有してもらうように心がけましょう。

1-4.ネット上の男性(別の家庭)と比較される

 本来、家庭毎に働き方や関わり方が異なっているにもかかわらず、SNS上の断片的な情報と比較されることもあります。

 「家事も育児も全部しているらしい」「授乳で疲れた妻を気遣ってプレゼントをくれたらしい」といった、どう考えても自分たちの家庭には当てはまらなさそうな対象と比較され、精神的に疲れてしまうことがあります。

 この場合は、自分だけで悩みを抱えずに、正直に「他の家庭と比べられることは嫌だ」ということを相手に伝えるべきだと言えます。

 例えば、働きながら家事や育児を全てこなしている女性もいる為、お互いに誰かと比較すればキリがなく、自分たちの家庭に合った分担や方針を一緒に決めるように説得することが大切です。

2.社会環境が原因となる男性の育児の悩み

 続いて、社会環境が原因となる男性の育児の悩みについて、紹介します。

2-1.仕事と家庭の両立に対する社会の理解が遅れている

 男性の育児休業取得率が低い(19年度7.48%)ことからも、男性の育児参加に対する社会的な理解が遅れていることが分かります。

 子どもが生まれたことを会社に伝えていても業務量は変わらず、場合によっては(辞めるリスクが下がるため)業務負担が増えることまであります。

 また、無理に育児に関する制度(育児休業や残業規制等)を利用しようとすれば出世ができなくなったり、上司や同僚から嫌がらせを受けてしまうといった不安もあります(法律で禁止されているとはいえ不安は残ります)。

 「男は仕事」という固定的性別役割分担意識も根強く残っているため、家庭を優先して出世できなくなれば社会的な評価は下がりますし、仕事を優先して家族との時間が短くなれば家庭に居場所が無くなる、という板挟み状態になることも少なくありません。

 参考になるかは分かりませんが、筆者としては「家族(自分含む)を幸せにするために仕事をしている」はずなので、結果的に家族を幸せにできなくなる仕事は最悪の場合は捨ててしまっても良い、と割り切って考えるようにしていました。

 育児と仕事を両立する上で悩みが尽きることはないかもしれませんが、自分にとって大切なものを改めて考えてみると、答えを見つけやすいかもしれません。

2-2.仕事と家庭の負担で休む暇がない

 社会的な理解の遅れも起因していますが、産前と変わらずに仕事に取り組んでいる場合、仕事で疲れて帰宅しても、家事や育児をしなければならず、自分の時間を過ごすことができなくなります。

 「帰ってきたらごろごろばかり」「たまの休日にも寝てばかり」といった世の中の女性たちの言葉もあり、休んでいても、ゆっくりと身体や心を休める時間はありません。

 ただ、これはある程度、仕方のないことかもしれません。あなた自身が仕事と家庭の負担からストレスを抱えているのと同様に、妻自身も同様のストレスを感じていると考えられるためです。

 共働きであれば当然ですが、専業主婦であっても1日中家事と育児に追われ、外界と接触する機会も少ないため、ストレスを発散することができません。

 閉鎖された空間に閉じ込められているような状態とも言えるため、忙しさとは異なるストレスや悩みを感じています。

 実際のところ、慣れない生活環境や育児による負担は本当に大きい為、夫婦で協力してもまともに休めることは多くありません。

 生後6か月にもなれば、そういった生活にも徐々に慣れ始めますが、それまでは一時的な負担だと考えて割り切ることもひとつの手かもしれません。

 「お互いに大変でお互いに休憩できないから、協力して少しずつ交互に休もう」と提案してみると、お互いに「いまは休んでもいい」と割り切ることができるため、精神的な負担が少し減るかもしれません。

2-3.残業が続くと自分も妻も負担がかかる

 こちらも社会的な理解の遅れが起因していますが、どうしても時期や業務によって残業が長引くことがあります。

残業が続くと自分自身も仕事で疲れが溜まりますが、妻も家事や育児を一人でこなさなければならず、お互いに負担がかかります。

 「仕事なんだから仕方ない」とは分かりつつも、妻には具体的にどういった業務に関わっているのか分からないため、「もう少し早く帰れないのか」と感じていることも少なくありません。

 夫からすれば「仕事だから仕方ない」、妻からすれば「家事や育児のワンオペは大変」とお互いの大変さ合戦になることもあります。

 この場合は、お互いに相手への感謝を伝えることが大切ですが、相手の行動までコントロールすることはできません。

 そこで、残業が続く時は「お互いに忙しくて負担が掛かるからピリピリしても仕方ない」と割り切ることも大切です。

 無理に妻のイライラに付き合いすぎず、自分の感情をコントロールしておけば夫婦の衝突に繋がることは少なくなります。

「お互いのイライラは、お互いのせいではなく忙しさのせい」だと考えれば、感情もコントロールしやすいかもしれません。

3.育児の悩みは夫婦の話し合いで解決しよう

 女性活躍推進法が成立してから女性の家事や育児負担を男性が軽減するようなイメージが先行していますが、男性の仕事負担はほとんど軽減しておらず、男性にも女性にも仕事と家庭の負担両方が掛かる構造となっています。

 男性の育児の悩みは、社会的な変化によって引き起こされている課題である為、結局のところ、諦めるしか解決策はないのかもしれません。

 「よそはよそ、うちはうち」の考え方で"夫婦の最適解"を"夫婦一緒に"考えていくことが求められているのかもしれません。

 せっかく結婚した二人が、家事や育児といった生活環境を原因に破綻してしまうことは、誰も望んでいません。

ネット上の事例を参考にしつつ、夫婦二人が幸せになる方法を夫婦二人で話し合うことが大切ではないでしょうか。