【家庭教育】幼児教育の必要性について!知育玩具よりも大切なこと

 近年では、個性を重視する傾向が高まり「幼児教育は必要ない」とされる意見も少なくありません。

 しかしながら、文部科学省によると、幼児期の経験は生涯にわたる人格形成に強く影響を与えると考えられており、幼児期の教育に深く関心を持つことは重要とされています。

 また、幼児教育の重要性は理解しながらも、「正しい幼児教育の方法」を教えられる機会はほとんどありません。

 その為、幼児教育について「知育玩具を用いた特別な教育」や「小学校に入る前の先行学習」をイメージする方も少なくありません。

 しかし、本来の幼児教育は、そのような特別なものではありません。

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」においても、幼児教育は専門的な知識を先取りすることとは本質的に異なる、と明記されています。

 本記事では、文部科学省の教育方針に関する情報を踏まえて、幼児期における教育の意義と重要性、家庭内で実行できる教育について、紹介しています。

1.幼児期における教育の意義と重要性

1-1.幼児教育の重要性について

 幼児期の教育の重要性について、「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」には、以下のように記載されています。

人の一生において,幼児期は,生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期である。幼児は,生活や遊びといった直接的・具体的な体験を通して,情緒的・知的な発達,あるいは社会性を涵養し,人間として,社会の一員として,より良く生きるための基礎を獲得していく。

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より

 つまり、幼児期は人格の基礎となる情緒的・知的な発達期であり、この時期の多様な経験(体験)は非常に重要であると言えます。

1-2.幼児教育の意義と役割について

 続いて、幼児教育に関する社会的な役割として、「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」には、以下のように記載されています。

家庭・地域社会・幼稚園等施設(幼児に対する教育機能を担う幼稚園や保育所等の施設を言う。以下同じ。)における教育は,それぞれの有する教育機能を互いに発揮し,バランスを保ちながら,幼児の自立に向けて,幼児の健やかな成長を支える大切な役割を果たしている。

具体的には,家庭は,愛情やしつけなどを通して幼児の成長の最も基礎となる心身の基盤を形成する場である。

また,地域社会は,様々な人々との交流や身近な自然との触れ合いを通して豊かな体験が得られる場である。

そして,幼稚園等施設は,幼児が家庭での成長を受け,集団活動を通して,家庭では体験できない社会・文化・自然などに触れ,教員等に支えられながら,幼児期なりの豊かさに出会う場である。…[以降省略]

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より

 つまり、幼児教育は「家庭」「地域社会」「幼稚園等施設」ごとに得られる経験や体験が異なっており、それぞれがバランスを保ちながら連携することが重要であると言えます。

 また、同様に幼児教育の意義については、以下のように記載されています。

この幼児期の発達の特性に照らした教育とは,受験などを念頭に置き,専ら知識のみを獲得することを先取りするような,いわゆる早期教育とは本質的に異なる。

幼児教育は,目先の結果のみを期待しているのではなく,生涯にわたる学習の基礎を作ること,「後伸びする力」を培うことを重視している。

…[中略]

このように,幼児教育は,次代を担う子どもたちが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付けられるよう,生涯にわたる人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っている。

また,学校教育の始まりとして幼児教育をとらえれば,幼児教育は,知識や技能に加え,思考力・判断力・表現力などの「確かな学力」や「豊かな人間性」,たくましく生きるための「健康・体力」から成る,「生きる力」の基礎を育成する役割を担っている。

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より

 つまり、幼児教育は受験勉強などの目先の成果を期待した先取り教育ではなく、生涯にわたる自立性や学ぶ力を育む教育と言えます。

 この時期には、目先の結果を得るために知識の習得(例えば足し算や五十音順など)を優先するのではなく、感性や探求心といった「学ぶ力」を育むことが重要と言えます。

 なお、これらの「学ぶ力」に焦点を当てた珍しい幼児教育教材として、2020年から新たに開発された「「意欲」をひきだす、新感覚の通信教育【ワンダーボックス】」というものがあります。

 他の通信教育とは異なり、「知識やスキル」に焦点を当てず、「意欲」や「思考力」に焦点を当てた最新の教育教材となっています。

2.近年の子どもを取り巻く現状

 なお、近年の子どもを取り巻く社会環境を問題視する声は少なくありません。子どもを取り巻く現状について、「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」には、以下のように記載されています。

近年の幼児の育ちについては,基本的な生活習慣や態度が身に付いていない,他者とのかかわりが苦手である,自制心や耐性,規範意識が十分に育っていない,運動能力が低下しているなどの課題が指摘されている。

また,小学校1年生などの教室において,学習に集中できない,教員の話が聞けずに授業が成立しないなど学級がうまく機能しない状況が見られる。

加えて,近年の子どもたちは,多くの情報に囲まれた環境にいるため,世の中についての知識は増えているものの,その知識は断片的で受け身的なものが多く,学びに対する意欲や関心が低いとの指摘がある。

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より

 記載されている通り、多様性を尊重するあまり、家庭や幼稚園において厳しい指導をする機会は少なくなっていることや、共働き等により子どもと接する時間が減っていることで、子どもへの関心(強い関わり)が薄くなっているのかもしれません。

 「「意欲」をひきだす、新感覚の通信教育【ワンダーボックス】」によれば、学習意欲と学力には十分な相関があることが分かっており、子どもの学習意欲の低下は見逃せるものではありません。

2-1.地域社会の教育力が低下している

 なお、学習意欲が低下する背景として、地域社会の教育力の低下が一つの要因として考えられます。

 参考までに、「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」には、以下のようなことが記載されています。

少子化,核家族化が進行し,子どもどうしが集団で遊びに熱中し,時には葛藤しながら,互いに影響し合って活動する機会が減少するなど,様々な体験の機会が失われている。

また,都市化や情報化の進展によって,子どもの生活空間の中に自然や広場などといった遊び場が少なくなる一方で,テレビゲームやインターネット等の室内の遊びが増えるなど,偏った体験を余儀なくされている。

さらに,人間関係の希薄化等により,地域社会の大人が地域の子どもの育ちに関心を払わず,積極的にかかわろうとしない,または,かかわりたくてもかかわり方を知らないという傾向が見られる。

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より

 実際に自分自身の生活習慣を振り返ってみると、自らの幼少期と比較して屋内遊びが増加していることや、自治体との関わりが無くなっているように感じることも少なくありません。

 また、地域社会の変化は、社会的な流れ(セキュリティやプライバシー、共働き等)であると考えられる為、今後さらに加速していく可能性も考えられます。

 英会話教室や習い事を通じて、自ら多様な経験を生み出していかなければならない時代が訪れているといっても過言ではないのかもしれません。

2-2.家庭内の教育力が低下している

 同様に、子どもを取り巻く家庭環境の変化として、「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」には、以下のように記載されています。

…[略]

このような子育ての喜びや生きがいは,家庭や地域社会の人々との交流や支え合いがあってこそ実感できるものである。

しかしながら,一方で,核家族化の進行や地域における地縁的なつながりの希薄化などを背景に,本来,我が子を自らの手で育てたいと思っているにもかかわらず,子どもにどのようにかかわっていけばよいか分からず悩み,孤立感を募らせ,情緒が不安定になっている親も増えている。

こうした状況の中,児童相談所における虐待に関する相談処理件数も増加している。

…[略]

「文部科学省:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より

 一部省略していますが、共働き世帯や核家族世帯の増加、女性社会進出の一般化などにより、子どもと一緒に過ごす時間が低下しているとともに、子どもへの関心が薄くなっている(自分たちの効率や合理性を優先する)ことが指摘されています。

 確かに、経済面やキャリア面を優先するあまり、「子どもは誰か(保育園等)に預けて任せっぱなし」という家庭も増えているのかもしれません。

 これからの時代は、前述した「「意欲」をひきだす、新感覚の通信教育【ワンダーボックス】」のような家庭でできる通信教材を使いながら、家庭内教育を維持していくことが欠かせないと考えられます。

3.自分たち(家庭)でできる幼児教育

 文部科学省の指摘している地域社会や家庭の変化は、社会全体の変化であり、自分たち(家庭内)だけで取り戻すことは、容易ではありません(仕事を辞めるわけにはいかないですし、自治体を新たに再建することも大変です)。

 どちらかと言えば、過去の幼児教育環境(家庭、地域社会、幼稚園等)を取り戻すことを考えるのではなく、現代に適応した幼児教育を考え直す必要があると言えそうです。

3-1.子どもとの信頼関係を十分に築く

 まず、時代に関係なく最も重要な幼児教育は、「親と子供の信頼関係を良好に保つこと」で間違いありません。

 毎日、幼稚園に通っていたとしても先生と接する時間は1時間もありません(複数の園児が居る為)。

 とても仲の良い友達が居たとしても、1日に数時間も一緒に過ごすことはありません。

 対して、親と過ごす時間は1日のほぼ全ての時間です。圧倒的に「親を見て過ごす」時間が長いと言えます。

 子どもは、「親を信じて真似をすること」で成長していきます。

 信頼関係を築くことは難しいことではありません。以下の点に、特に注意しておくと良いでしょう。

  • 【親と子どもの信頼関係を築くために】
  • ・一貫性を持って行動する
  • ・子どもの意見をしっかりと聞く
  • ・愛情をもって接する

 多くの家庭で当たり前のようにできていることだと考えられますが、幼稚園に預けるようになってから、幼稚園での出来事を聞かなくなったり、帰宅後の家事等に追われて話を聞けなくなることは少なくありません。

 気付かないうちに、子どもに関心を向ける機会が減っていないか再確認しておきましょう。

 接する時間の減少を感じている場合は、親子で習い事を受けたり、一緒に勉強する時間を設ける等、意識的に接する時間を増やしていくように心掛けましょう。

 どうしても家庭内で接する時間を確保しにくい場合は、「ペッピーキッズクラブ」のような1歳からの親子教室が用意されている英会話教室等を利用することも考えてみると良いでしょう。

3-2.幼稚園の教育に関心を持ち効果を高める

 また、意外と陥りがちな誤った感覚として、「幼稚園に預けて教育してもらっている」というものがあります。

幼稚園等は、「父母その他の保護者が子育てについて第一義的責任を有する」という基本理念の下に成り立っている為、親の育児を単に肩代わりするものではないことに注意しなければいけません(勤務時間の預かり先でもありません)。

 通っている幼稚園等においての「教育方針」や「幼稚園における子どもの状況」等について、しっかりと親が関心を持ち、責任を持って向き合わなければいけません。

 また、「幼稚園での過ごし方は幼稚園に任せて、家は家で」という考え方ではなく、幼稚園での過ごし方を把握したうえで、家庭での過ごし方(しつけや体験)を常に修正し続ける必要があると言えるでしょう。

3-3.良い悪いの偏りなく様々な体験をさせる

 これまでの内容を踏まえた上で、様々な経験(体験)をさせてあげることが、最大の幼児教育と言えます。

単に、「有名な知育玩具を与えて遊ばせることが良い」や「テレビやゲーム遊びは良くない」ということではなく、偏りのない様々な体験に触れさせてあげることが重要だと考えられます。

 例えば、近年では「汚れるから泥遊びはさせない」「熱中症や日焼けが怖いから外遊びは控えめ」「スマホやテレビは一切見せない」といった制限をつけている家庭も少なくありません。

 確かに危険な遊び方等を制限しなければいけない場合もありますが、泥遊びでは手の感覚等から創造力等を育むことができますし、外遊びでは身体的な発達を期待することができます。

 また、知育玩具を与えて遊ばせているだけでは、非常に偏った体験となってしまう為、外遊びや親との遊びに加える「ただの一つの体験」という位置付けとした方が良いでしょう。

 一時的にテレビやゲームといったものに任せて、親自身のストレス発散をする機会も必要ですが、その分だけ「子どもと接する時間が減っている」ということを認識しておかなければいけません(テレビやゲームだけを信頼している子どもにならないように)。

 具体的には、「あれはいけない、これもいけない」と親から子どもの体験を制限するのではなく、「様々な体験を通じて学ばせてあげる」ことが必要と言えるでしょう(例えば「泥遊びをした後に一緒に服を洗う、といった体験を通じて「次は汚さないでおこう」と子ども自身に気付かせてあげる、等)。

4.偏りのない幼児教育を意識しよう

 近年では、衛生面やプライバシー面から外遊びや地域での交流を避ける傾向があり、幼少期の経験(体験)に偏りが出やすくなっています。

 自らの好奇心や探求心からくる「学ぶ力」を育む機会が減り、テレビやゲームによる「能動的な知識」だけを得ている子どもが増加傾向にあるとの指摘もあります。

 私たち親世代(子どもの成長に対して責任を有する者)は、短期的な「知識」を有していることに安心せず、子どもの「好奇心」や「探求心」がしっかりと育まれているか、それらを育む環境(体験の場、学びの場など)を用意できているか、いま一度、再確認しなければいけないのかもしれません。

 まずは、英会話教室や習い事に改めて挑戦してみることから始めてみてはいかがでしょうか。