【親必見】小学校のテスト採点がおかしいと感じたら!先生を疑う前に
小学校の小テストにおいては、どうみても「答えは正解」であるにも関わらず、減点や不正解とされる場合があります。
そのような採点に対して、「正解だから大丈夫!」と相手にしなかったり、先生に対して「頭が固い、柔軟性が無い」等の不評を、SNS等で広めてしまう保護者が後を絶ちません。
一昔前までは、「先生が正しい」という風潮が強かったのですが、近年では学校教育を十分に理解できていない保護者が増えている為、「自らに専門的な教育知識がない」にも関わらず、先生を疑うことから始めてしまう方も増えてきました。一人っ子世帯が増えたり、多様性の尊重が進んできたことで、我が子に絶対的な信頼をおいている世帯が増えたこともひとつの要因かもしれません。
しかし、一見すると理不尽に思える採点には、「子どもの成長」を考えた明確な理由があります。
そもそも先生の裏には他の先生方や教育委員会も居ますし、単に"気に入らない"という理由だけで、減点や不正解とすることはあり得ません。
現代では、上記に説明したようにSNS等で拡散される可能性まであり、"他者から批判されても説明できるだけの明確な理由"がなければ、そのような採点をできるはずがありません。
本記事では、そういった一見理不尽に思える採点の裏側に隠れた、本当の理由と小学校教育で重視される能力について紹介します。
1.小学校の採点がおかしいと言われる採点例
小学校の採点がおかしいと言われる採点例について、いくつか紹介します。
1-1.国語の解き方に対する採点例
国語において「答え」が正解であるにも関わらず、減点や不正解とされた例を紹介します(プライバシー保護等の都合により文章による説明としています)。
- 【国語の採点例】
- ・漢字テストにおいて、「とめ」「はね」「はらい」の誤りによる減点・不正解
- ・漢字テストにおいて、点の向きや位置の微妙なズレによる減点・不正解
- ・絵を見て回答する問題において、類似物との見分けが難しいことによる減点・不正解
どう考えても答えそのものは正解ですし、高校や大学の入試を経験してきた保護者世代にとっては、納得感がないことも確かです。
「微妙な間違いならせめて減点であるべき」等、採点基準がおかしいのではないか、と感じる方も少なくないようです。
1-2.算数の解き方に対する採点例
続いて、算数において「答え」が正解であるにも関わらず、減点や不正解とされた例を紹介します(プライバシー保護等の都合により文章による説明としています)。
- 【算数の採点例】
- ・文章問題において、四則演算の順番誤りによる減点・不正解 (例:みかんを5個買います。みかんは1個100円です。全部でいくらでしょう。という問いに対して、5×100=500円、と解答した場合、等)
- ・ひっ算における直線を定規ではなくフリーハンドで書いたことによる減点・不正解
こちらも同様に、どう考えても問題の答えそのものは正解です。
解き方の過程を問われることの少ない試験(マークシート等)を経験してきた保護者世代にとって、納得感が得られないのは仕方がないことかもしれません。
2.小学校で答えがあっていても不正解となる理由
しかし、そもそもSNS等に挙げられているこれらの採点例のほとんどは、単元ごとに実施される小テストによるものです。
単元毎に実施される小テストは、「授業をしっかりと聞いて、内容を理解しているか」を確認する目的で実施されています。
裏を返せば、答えがあっているからといって、内容を理解しているとは言えません。
繰り返しになりますが、小テストの採点において重視されるのは「答え」ではなく「授業の理解度」です。
あくまで「授業の理解度」を確認しているわけであって、答えの正しさを確認しているわけではないのです。
そして、「授業の理解度」については、文部科学省の学習指導要領に「3つの柱」として記載されています。
文部科学省の掲げる「3つの柱」を基に、何故、先ほど挙げた例が減点や不正解とされたのか、以下でより詳しく紹介していきたいと思います。
2-1.習得すべき知識や技能を有していないため
文部科学省の掲げる3つの柱のひとつめは、「知識及び技能」を習得することとされています。
先ほど挙げた「漢字テストのとめはねはらい誤り採点」を例にすると、漢字の持つ文化やその決まりを十分に理解していないと判断できる為、減点・不正解となったと言えます。
文化庁は、「とめはねはらいが不適切であることを理由に誤りと判断するべきではない」という指針を出していますが、かといって「とめはねはらいの文化はない」ということを述べているわけではありません。
例えば、社会や理科の学力テストにおいて、「とめはねはらい」の誤りで減点・不正解を受けた場合は、文化庁の指針に基づいて指摘することができますが、「授業の理解度」を確認している国語の小テストにおいては、減点・不正解は当然の結果と言えます。
また、中途半端に「減点せずにコメントだけする」という扱いをすると「正解だからいいか」と勘違いしてしまい、修正しないリスクがある為、減点又は不正解とする扱いの方が適切という見方もあります。
2-2.習得すべき思考力等を有していないため
文部科学省の掲げる3つの柱のふたつめは、「思考力、判断力、表現力等」を習得することとされています。
先ほど挙げた「算数の四則演算の順番誤り採点」を例にすると、数学的な見方や考え方を十分に理解していないと判断できる為、減点・不正解となったと言えます。
例えば、先ほどの例では「100円×5個=500円」という式には、「100円のみかんが5個ある為、500円」という意味が含まれています。
この順番を誤って「5個×100円=500円」とした場合、「5個のみかんが100円の為、500円」となり、文章的におかしくなってしまいます。
さらに極端な例を挙げれば、「5個みかんがあります。2個食べました。あといくつでしょう」という文章問題は、「-2+5=3」としても答えは正解ですが、明らかにおかしいことは誰にでも分かるでしょう。
これと同様だと考えれば、理解しやすいかもしれません。
小学校などのテストにおいて、答えだけを記述させるのではなく、答えを導く過程を記述させるのは、こういった数学的な考え方を理解しているか、正しい思考力等を習得しているか、確認するためだと考えられます。
こういった指摘に対して、「採点がおかしい!」と声を上げることは非常に恥ずかしい為、注意が必要でしょう。
2-3.習得すべき学びに向かう力を有していないため
文部科学省の掲げる3つの柱のみっつめは、「学びに向かう力,人間性等」を習得することとされています。
つまり、先ほど挙げた「ひっ算の直線がフリーハンドによる採点」を例にすると、授業中に指示した解き方に従っておらず、学びに向かう力を習得できていないと判断できる為、減点・不正解となったと考えられます。
例えば、ひっ算の例では桁数が増加すると横ズレによる計算ミスが増加する、等を理由として、正確に記述するように指導することがあります。
そういった先生と小学生の間で取り決められた独自ルールは、単純な計算ミスを防止するだけでなく、将来に渡り効果的に学習を続けていく為に必要であったり、将来の学びを阻害しない為に必要な場合がほとんどです。
つまり、あえて減点・不正解とするのは、現時点の「正答力」だけではなく、「学ぶ力」を重視している結果だと言えるでしょう。
授業を正しく意欲的に聞いていれば、このような間違いをする可能性は極めて低いはずです。
もちろん、生徒の9割が同じ理由で減点されているのであれば、先生の指導に問題がある可能性も十分に考えられます。
しかし、多くの場合は、授業をしっかりと聞いていなかった1割未満の生徒が減点されているケースがほとんどです。
ここで、「答えは正解だから先生の言うことは聞かなくていい」なんてことを親自身が言ってしまうと、子どもの学びに向かう力が育たず、将来困る可能性が高くなるかもしれません。
小学校教育では「生きる力」が重視されている
今回紹介した通り、小学校の教育においては「生きる力」を習得することが重視されています。
単に「答えが正解だから良い」「点数がいいから良い」と、結果だけを見て判断するのではなく、その過程や習熟度に着目して、先生や子どもと接することが大切だと言えます。
単元テスト(理解度テスト)において、「答えが正解なんだから正解にしろ!」なんて先生に怒鳴り込んでいく親になってはいけません。
自らの小学校教育に対する理解度の低さを露呈してしまうことになるので、くれぐれも注意しましょう。
また、先生の採点や独自ルールがどうしても理解できない場合は、「どういう意図があったのか」を"子どもを通じて"、先生に確認させると良いでしょう。
「子どもは先生に言えないから」といって親自身が直接出向いていくと、さらに子どもは委縮してしまい、先生との適切なコミュニケーションが取れなくなる恐れがあります。
どうしても確認が難しそうであれば、子どもの居ない場所で先生に相談し、先生から「この前の採点の理由は分かる?」等と子どもに聞いてもらうようにお願いすることで、子どもの自立性を育てることに繋がるでしょう。
子どもの「生きる力」を育もう
子どもの「生きる力」を育む上で、最も重要なことは「知識」や「技能」の習得ではありません。
今回紹介したように「問題の正解に固執する」ことは、主に「知識」や「技能」の習得に焦点を当てている状態と言えます。
学習塾や一般的な通信教材も、問題を繰り返し解くことによる「知識」や「技能」の習得に焦点が当てられています。
しかし、小学校教育では、「意欲」や「思考力」にも焦点が当てられています。
これは、単に知識や技能を習得させただけでは、将来に渡り自ら学び、成長することができなくなってしまう為です。
社会人になってからは、自らで必要な知識を得ながら、持っている知識を活かして考えていかなければいけません。
その土台である「生きる力」=「知識や技能」×「意欲」×「思考力」を育むことが、小学校教育なのです。
しかし、小学校教員の中には、そういった小学校教育の基本を理解できていない人がいることも事実です。
そのような困った先生に、運悪く当たってしまったからといって、子どもの「生きる力」を低下させてしまってはいけません。
子どもの「生きる力」は、絶対に育てなければならない力である為、学校教育と家庭教育の二本の柱で支えていくべきです。
その家庭教育の柱になってくれるのが、2020年に新たに開発された「「意欲」をひきだす、新感覚の通信教育【ワンダーボックス】」です。
主に「意欲」と「思考力」に焦点を当てた、他には無い貴重な教材となっています。子どもの「生きる力」を支える為に、ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか。