【家庭教育】子どもの空間認識能力を高める4つの方法!おもちゃ以外も

 空間認識能力は、日常生活において欠かせない能力です。

 空間把握力、空間認知能力などと表現されることもありますが、物体を三次元的に把握・認識するという意味では、同じものだと考えて良いでしょう。

 日常生活において、空間認識能力を意識することはほとんどありませんが、例えば、料理ひとつをとっても「野菜をどう切ればどういう形になるか」「どの鍋サイズが最適か(食材が入るか)」「どう盛り付ければ美味しそうか」といったことを頭の中でイメージする為に欠かせない能力です。

 また、車を運転したり、道路を歩くだけでも、自分の車(身体)の位置がどうなっているか、地図を見て目的地にどう向かうか、といったことを素早く把握できなければ、安全上の支障も発生します。

 しかし、幼少期に空間認識能力がしっかりと育まれていなければ、教育過程で苦手意識を持ちやすく、生涯に渡り空間認識能力が低くなることが懸念されます。

 その為、幼少期に空間認識を積み重ね、苦手意識を持たせないことが大切だと言われています。

1.空間認識能力とは?

 wikipediaによると、空間認識能力は以下の通りとなっています。

 空間認識能力(くうかんにんしきのうりょく)とは、物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のこと。空間認知(くうかんにんち、英: spatial perception、独: Raumwahrnehmung)、空間識(くうかんしき)、空間知覚(くうかんちかく)の能力をいう。

wikipedia「空間認識能力」

 極端な例を挙げれば、人間が地面を歩くだけでも空間認識能力が必要だと言えるでしょう。

2.空間認識能力を高める4つの基本

2-1.空間を把握する

 ひとつめは「空間を把握する」ことです。

 まずは、"見えている"物体がどういう形状・大きさをしているか、意識して確認するように促します。

 例えば、「リンゴAとリンゴBはどちらの方が大きいかな?(大きさ)」「あの木の葉っぱはどんな形をしているかな?(形状)」「あの車はどちらに向いているかな?(方向)」というように、空間を意識する言葉を子どもに問いかけるようにします。

 動物図鑑を見て、「キリンさんは首が長いね」という明らかな特徴を見つけることから始まり、「首の後ろにたてがみがあって、少し毛が開いているね」という細かい部分まで観察するように促すと良いでしょう。

 空間を把握するための「観察力」を身に付ける、というイメージです。

2-2.空間を想像する

 続いて、「空間を想像する」ように促します。

目を閉じて先ほどまで見ていた物体をイメージするように促します。

 例えば、動物図鑑を閉じた後に「キリンさんはどんな形をしていたかな?」と子どもに問いかける等、先ほどまで見ていた物体を頭の中で想像させるようにします。

 幼児期には、分かっていても表現すること(親に伝えること)は難しいかもしれませんが、"見えている"部分から"見えない"部分を想像させることも有効です。

 空間を頭の中で想像する為の「想像力」を身に付ける、というイメージです。

2-3.空間を体験する

 続いて、「空間を体験する」ように促します。

 先ほどの例で挙げれば、動物園に行って三次元的にキリンの形状や大きさを体験させます。

 「キリンの反対側はどうなっているのか」「実際の大きさはどうなのか」「身体の厚みはどうなのか」といった頭の中で想像していたことを、実際に目で見て確認するように促します。

 また、実物に触れてその肌感や形状を体験することも大切です。但し、キリンの場合は実物に触れることは難しい為、ぬいぐるみ等で体験すると良いでしょう。

 ここでは、頭の中で想像したことを実際に触れて体験しながら修正し、反復的に学んでいくことが大切です。

2-4.空間を表現する

 最後に、「空間を表現する」ように促します。

 空間を表現することは、空間認識能力をアウトプットすることです。反対に、空間を体験することは、主にインプットすることです。

 先ほどまでのキリンの例で説明すると、「キリンの絵を書く」「積み木等でキリンを作る」といった表現をさせるようにします。

 しっかりと空間認識能力が高まっていれば、相対的な身体(頭や首、胴、足など)の位置や大きさを正しく表現できるはずです。

 さらに、動物園にあった木や柵なども一緒に描画させることで、相対的なキリンの大きさや居住空間まで、その認識範囲を広げることができます。

 空間を表現することで、「自分の認識している物体」と「実際の物体」の差を把握して修正することができる為、空間認識の精度を高めることができるでしょう。

3.空間認識能力を高める3つの遊び

 空間認識能力を高める基本が理解できたところで、それらを網羅的に高めることができる子どもの遊びを紹介します。

3-1.安価かつ難易度が無限大な遊び

 安価かつ難易度が無限大な遊び(初心者から熟練者まで遊べる)は、「折り紙」です。

 「なんだ、折り紙かよ」と思うのは、まだ早いです。折り紙には以下のような特徴があります。

  • 【折り紙の凄さ】
  • ・どこでも手に入る(コピー用紙やティッシュ等、家にあるものでも代用できる)
  • ・安価で手に入る(100円ショップ等、安ければ約1円/枚で買える)
  • ・初心者でもできる(極端な例を挙げれば、正方形を折るだけで長方形や三角形ができる)
  • ・表現の幅が広い(例えば、花を作るだけでも、初心者向けから熟練者向けまである)
  • ・手先の器用さ、集中力、理解力、創造力等、多くの能力を高めることができる

 上記以外にも、挙げればキリがないほど、折り紙は魅力にあふれています。空間認識能力だけでなく、数学力や創造力も育まれると考えられます。

 特に、多様な体験が必要とされる子どもに対して、その年齢でしか使えない高価なおもちゃをいくつも購入するのは大変ですが、折り紙であれば、安価に多くの体験ができます。

 例えば、他のおもちゃであれば「パンダが欲しい!」「キリンが欲しい!」となれば、ひとつひとつ買わなければいけませんが、折り紙であればそれだけで実現できます。

 入門者向けの折り方が紹介されているサイトや、折り方が付いている折り紙も多数ありますので、ぜひ一度、挑戦してみてはいかがでしょうか。子どもにさせるつもりでやり始めたら、大人がはまってしまった、なんてこともある為、はまりすぎに注意しましょう。

3-2.創造力も一緒に高める遊び

 続いて、空間認識能力と同時に創造力を高める遊びとして、「積み木遊び」があります。

 月齢によっては、「レゴ遊び」でも良いでしょう。

  • 【積み木遊びの凄さ】
  • ・月齢(年齢)に合っていなくても比較的に長く遊べる(積み重ねができなくても形状で楽しむことができる)
  • ・子どもの創造力に合わせて自在に表現できる
  • ・バランス感覚を同時に高めることができる

  • 【レゴ遊びの凄さ】
  • ・様々な形状、大きさが用意されており、表現力(再現度)が高い
  • ・組み立て説明書が用意されており、基本を学びやすい
  • ・部品の互換性が高く、年齢に合わせて拡張しやすい

 ざっくり言えば「積み木遊び」は、口に入れても安心なサイズ感で、やわらかい質感である為、乳幼児向けのことが多いでしょう(レゴにも大きいサイズはありますが…)。

 「レゴ遊び」は、年齢によって難易度を変えることができるメリットがある分、裏を返せば、年齢に合わせてある程度買い足さなければいけない為、少しお金がかかります。

 なお、いずれのケースでも、年齢や能力に合わないものを選ぶと、難しすぎて諦めてしまう可能性が高まる為、できる限り適齢期のものを購入するようにしましょう。

 折り紙よりも立体的な体験をすることができる為、経済的な余力を踏まえて購入してあげると良いでしょう。

3-3.子どもが興味を持ちやすい遊び

 「折り紙」や「レゴ遊び」は幼少期から体験していないと難しく、子どもが途中で飽きてしまう可能性がある為、そういった場合には「ゲーム」がおすすめです。

 「えっ?ゲームなんていいの?」と思われるかもしれませんが、最近のゲーム(例えばマインクラフトやマリオ系統等)は、三次元的に描画されている為、空間認識能力を高めるうえでは有効です。

 また、難易度がうまく設定されていたり、友達と共有しやすい、といった点で子どもの興味を引きやすくなっています。

 ただ、その他の遊びと比較して創造力が磨かれにくい為、1日あたりの制限時間を設けたり、「折り紙」や「レゴ遊び」に飽きてから購入する等、遊び方に偏りが出ないような工夫は必要です。

 さらに「スーパーマリオメーカー」や「マインクラフト」といった遊び方の幅が広いゲームを選択すると、子どもの創意工夫が活かされやすくなりますし、「ポケモン」や「ドラゴンクエスト」といったゲームを選択すると、子どもの論理性や忍耐力を高めることができると考えられます。

同じゲームというくくりの中でも、ジャンル(RPG、アクション等)に偏りが出ないように購入すると良いでしょう。

空間認識能力は多種多様な経験で育む

 今回は「空間認識能力」を高めることに焦点を当てましたが、空間を正しく認識する為には、「観察力」「理解力」「分析力」「想像力」等の多くの能力に加えて、様々な知識や経験が必要であると考えられます。

 その為、「空間認識能力」は、多種多様な体験に触れ、考えさせることで、自然と高まっていくものと言えるのかもしれません。

 多種多様な体験に触れ、考えさせるなら、2020年に新たに開発された「プログラミングやアートで感性が育つ【ワンダーボックス】」が断然オススメです。

 創造力や思考力、意欲に積極的にアプローチされた珍しい教材である為、ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか。