【ワンオペ必見】妻が一人で育児を抱え込む原因とその対策!

 妻が一人で家事や育児を抱えてしまい、夫が協力しようとしても協力させてくれないことがあります。

 特に産後初期には、強い責任感から「大変だけど自分で全部やりたい!」と考える女性は少なくありません。

 本記事では、そういった妻が育児を一人で抱え込んでしまう原因とその対策について、紹介しています。

1.妻が一人で育児を抱えてしまう夫の原因

 まずはじめに、「夫側」の原因に視点を向けて、紹介したいと思います。

1-1.妻の指示がないと協力しない

 まず、「妻からの指示がないと家事や育児をしようとしない」ということが考えられます。

 仕事でも役に立たないとされる「指示待ち人間」は、家庭内でも役に立ちません。

 「皿洗いお願いね」「洗濯お願いね」と、妻から指示されないと行動できないということは、夫に主体性がないということです。

 そういった関係が続くと、徐々にお願いすることが面倒くさくなり、妻が一人で家事や育児を抱え込んでしまう可能性が上がると考えられます。

1-2.任せられる育児スキルが夫にない

 続いて、夫の育児時間が短い (残業が多いなど)場合には、夫の育児スキルが低くなりがちです。

 育児経験が少ないことで、妻からの信頼感も低くなり、「夫に任せるくらいなら大変でも自分でやろう」と考えられるようになります。

 また、家事や育児スキルに差があると、「夫でもできるけど、私がやった方が効率がいい」と考え、妻が家事や育児を一人で抱え込んでしまう可能性も考えられます。

1-3.育児に協力的でも強制力が弱い

 また、協力的に声掛けはするものの、その強制力が弱いことも原因として考えられます。

 日本人は謙虚であることが知られている通り、「代わりにしようか?」と言われると「大丈夫だよ」と返してしまいがちです。

 本当は「お願い」と言いたくても、相手の負担や大変さを考えると、お互いに大変だから自分がしなければいけない、という自己犠牲の精神が働いてしまうことが考えられます。

 「代わりにしようか?」という声掛けでは、妻側に選択権がある為、どうしても素直に代わってもらえないことも少なくないでしょう。

 また、「お願いする」という下の立場に違和感を感じ、「お願いするくらいなら自分でする」と、妻が家事や育児を一人で抱え込んでしまうこともあるでしょう。

1-4.夫婦に主従関係ができてしまっている

 そういった関係が続くと、夫婦間に主従関係ができてしまっている可能性があります。

 「妻が育児の責任者」「夫は育児の従業員」というような関係が根付いてしまうことで、「妻が夫に業務を割り振る」という関係ができてしまいます。

 主従関係ができてしまうと、従業員(夫)が疲れた様子だった場合、責任者(妻)から業務を割り振りにくくなると考えられます。

 この主従関係ができてしまうと、いくら実働部分で夫が手伝っていたとしても、妻が一人で家事や育児を抱えていると言っても過言ではない状態になります。

1-5.育児責任を対等に背負っていない

 また、育児に対する責任を夫婦で対等に背負っていない、ということが原因である可能性もあります。

 本来、育児に対する責任は夫婦が共に有していますが、「日中は妻に育児を任せている」「予防接種は妻に任せている」といった背景から、その責任まで妻にあるような感覚に陥っていることがあります。

 例えば、仕事において、上司が部下に業務を依頼した (任せた)としても、その業務の責任は上司が持っています。

 それと同様に、例え「日中の育児を妻に任せていた」としても、その責任は夫婦が共に有しています。

 そういった感覚が薄れてしまうと、「妻の責任だから妻が抱え込んで当たり前」という感覚に陥ってしまう可能性があります。

2.妻が一人で育児を抱えてしまう妻の原因

 続いて、妻側の原因に視点を向けて、妻が一人で育児を抱えてしまう原因を考えてみます。

2-1.育児に対する責任感が強い

 夫婦の中で、先に親としての自覚を持つ妻は、比較的に強い責任感を感じやすくなると考えられます。

 その為、夫婦間の責任感に差が生まれやすく、「夫の自立具合では任せられない」「その分、自分がしっかりしなければいけない」と、さらに責任感を強めていく可能性もあります。

 強い責任感を持つことは大切ですが、その責任感が強くなりすぎるあまり、「自分で全てできるようにならなければいけない」と思い、一人で家事や育児を抱え込むようになると考えられます。

2-2.母親像の理想が非常に高い

 また、「自分の母親は全部してくれたから」や「自分が母親にしてほしかったことは全部してあげたい」という高い理想の母親像を持っていることも原因として考えられます。

 実際には、育児初心者の母親と理想の母親は大きくかけ離れており、未熟な自分を責めてしまう方も少なくありません。

 そういった背景から、少しでも早く理想の母親像に近づくために、一人で育児を抱え込んでしまうケースも考えられます。

2-3.夫のことを信頼していない

 また、育った家庭環境や夫の自立状況を踏まえて、夫の育児を信頼していない (期待していない)ということも、原因として考えられます。

 しかし、夫を信頼せずに、自分一人で抱え込むようになると、ますます夫に対する信頼感は下がります。

 「信頼できない→自分でする→ますます信頼できない」という悪循環に陥ってしまうのです。

 中には、幼き頃の経験から、「夫は育児をしないものだ」と思い込んでしまっている方もいるかもしれません。

2-4.謙虚すぎて夫に遠慮している

 続いて、夫の疲れ具合等を気遣い、夫に遠慮してしまっていることも原因として考えられます。

 育児をお願いすれば、文句を言わずにすんなりしてくれる夫の場合、なおさら遠慮してしまうことも考えられます。

 また、日本人は謙虚で知られている通り、「代わりにしようか?」と聞かれてしまうと、何となく「大丈夫だよ」と答えてしまいます。

 反対に「お願いね」と素直にお願いしても、疲れている相手にお願いしてしまった罪悪感のようなものを感じる方も少なくありません。

 そういった謙虚さから、自分でできるなら自分でしてしまおう、と一人で家事や育児を抱え込んでしまうことが考えられます。

3.妻が一人で育児を抱えてしまう危険性

 しかし、妻が一人で育児を抱えてしまうことには、いくつもの危険性があります。

3-1.妻の健康リスクが高まる

 まず第一に、当たり前のことですが、妻の産後うつや育児ノイローゼといった精神疾患リスクが高まることが考えられます。

 また、睡眠不足や過労が続くことで、身体的なリスクも高まるかもしれません。

 妻自身は大変すぎるあまり、そういった状況に陥っていることに気付かない場合もあります。

 長期的な健康リスクである為、実感しにくく見過ごしてしまう方も少なくありません。

 しかし、生涯を共にすることを誓った相手の健康リスクが高まることは、決して望ましいことではないでしょう。

3-2.万が一の際に健全な育児ができなくなる

 続いて、妻が精神疾患等の何らかの原因によって育児できなくなった場合、健全な育児が継続できなくなる可能性があります。

 何よりも、普段全く育児をしてこなかった夫だけが残された場合、子どもの精神的な負担は計り知れません。

 経済面だけを支えていた夫が居なくなる場合は、ひとり親世帯に対する社会保障制度によって、ある程度は解決できますが、愛情の欠如に関しては、誰も解決してくれません。

 子どもの情緒は、親子の信頼関係によって保たれているといっても過言ではない為、子どもの将来に大きな影響を与えてしまう可能性も考えられます。

 そういった観点からみても、妻が家事や育児を一人で抱え込むことは、子どもの精神面及び身体面を健全に維持することの重大なリスクである、と言えるでしょう。

 責任感の強さから一人で育児を抱え込んでいる妻は、より視野を広げて、こういったリスクの存在を把握しておかなければいけません。

3-3.夫婦間の育児スキルに大きな差がでる

 さらに、妻が一人で育児を抱えてしまうことで、夫婦間の育児スキルに大きな差が出ることも考えられます。

 育児スキルに差が出ることで、「妻がした方が効率的→妻がする→妻の育児スキルのみ向上する→さらに差が開く」という悪循環に陥ります。

 「別に育児スキルに差が開いても困らない」と思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

 育児スキルが極端に低いと、「父親は育児の基本的なこともできない…」と子どもからの信頼感を下げる要因になります。

 子どもからの信頼感が無ければ、父親の威厳は無くなり、思春期や進学時といった必要な時期に、必要な助言や相談ができなくなってしまう懸念があるのです。

3-4.夫の家庭内の役割が無くなる

 また、夫婦間の育児スキルに大きな差が出てしまうことで、夫の家庭内での役割が無くなってしまいます。

 そうなってしまうと、早く帰宅する意味が無くなるばかりか、夫が家庭に居づらくなってしまう可能性もあります。

 少し前に、プレミアムフライデーが話題となり、定時帰りを余技なくされ、ゲームセンターや居酒屋で時間を潰していた会社員が注目されていました。

 こういった「自分の家なのに居場所がない」という状況になる懸念も考えられます。

 ここまで悪い方向に進行してしまうと、思春期や進学時などの大変な時期まで、妻一人で乗り越えなければいけなくなることは間違いないでしょう。

4.育児を一人で抱え込む妻への対策

 最後に、育児を一人で抱え込んでしまう妻への対策を紹介します。

4-1.育児責任が対等であることを共有する

 まずはじめに、「育児の責任は、夫婦が対等に有している」ということを、夫婦で共有することが大切です。

 万が一、どちらか一方が働けなくなった (育児できなくなった)場合に、健全な育児を継続できなくなってはいけません。

 その為には、夫婦の両方共が、ある程度「働く能力」と「育児能力」を有している必要があります。

 つまり、父親として育児の責任を有している以上、妻が一人で抱え込んで妻の育児能力だけ高められても困るのです。

 父親として、十分に育児経験を積み、万が一の場合でも、健全な育児を継続する必要があります。

 「父親の責任を果たすために育児を経験しなければいけない」ということをお互いに理解し、育児の再分配を行うと良いでしょう。

 なお、育児の責任については、男女共同参画社会基本法にて、以下の通り定められています。

 男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(男女共同参画社会基本法第2条)

出典:男女共同参画社会とは (内閣府)

4-2.強制的に妻の家事や育児を奪う

 前述を伝えても、妻が育児を一人で抱え込んでしまう場合は、夫が強制的に妻の家事や育児を奪うといった方法もあります。

 勝手に奪ってしまうと、妻の機嫌を損ねる可能性がある場合は、「僕がやるから」と宣言してから奪うようにすると良いでしょう。もちろん、「代わりにやろうか?」はNGです。

 「自分で全部やりたい」と思っている妻の場合は、一時的に機嫌を損ねてしまう可能性もありますが、心身の負担が減ることで、徐々に家事や育児を代わりにこなしてもらうことに抵抗が無くなるはずです。

 ここで注意しなければいけないのは、「代わりにやってあげている」という様に見えないように配慮し、「自分がやりたくてやっている」という姿勢を見せることです。

 「代わりにやってあげている」という様に見えると、家事や育児をやらせてしまった自分の能力不足を責めてしまう方も少なくありません。

 つまり、「不安なら声をかけてから強制的に奪う」「隙を見て先にやってしまう」「自分がやりたくてやっている姿勢を見せる」ということがポイントになると考えられます。

4-3.強制的に夫に家事や育児を任せる

 反対に、夫が非協力的である場合は、強制的に家事や育児を任せるといった方法もあります。

 どこまで任せるかは家庭毎に異なりますが、「万が一の際のリスクに備えられる程度の育児経験を積んでもらう」という位置付けであれば、夫も協力せざるを得ないと考えられます。

 ここで注意しなければいけないのは、「自分の負担を軽減する為」ではなく、「子どものリスク軽減の為」という姿勢を見せることです。

 お互いの負荷量を定量的に比較して (例えば時数などで示して)、明らかな差がある場合は、負担軽減としても問題ないかもしれません。但し、負荷量を比べると、どうしても「どちらが大変か」という衝突になりやすいと考えられる為、避けた方が無難だと考えられます。

 つまり、「非協力的なら強制的に任せる」「多少の遅れや不手際は目をつむる」「子どものリスク軽減の為という姿勢を見せる」ということがポイントになると考えられます。

4-4.家事や育児スキルを磨き続ける

 主体性を持って、強制的に家事や育児を奪う (任せる)ことで、夫婦の家事育児スキルを磨き続けましょう。

 夫婦間の育児スキルを対等に保つことで、家庭での夫の居場所を維持しやすくなりますし、万が一のリスクを下げることもできます。

 妻が専業主婦等の場合は、夫の負担の方が圧倒的に大きいように感じるかもしれません。

 その場合は、妻の家事育児負担を軽減する代わりに、妻も働いて収入を得る等、「家事+育児+仕事」の役割分担を見直すと良いでしょう。

 夫婦の両方が「働く能力」と「育児能力」を有することで、万が一のリスクを下げることができ、お互いの心理的負担も軽減すると考えられます。