【初心者向け】離乳食の基本!離乳初期の流れから参考例まで!

 赤ちゃんが生まれてから数か月、ようやく育児に慣れてきた頃に訪れる試練として、離乳食があります。

 保健所からの指導や離乳食の本を片手に、頭を悩ませることも少なくないでしょう。また、実際の実例について紹介されていることは少なく、参考にできるものはほとんどありません。

 そこで、本記事では、「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」を基に、離乳食の基本から参考例まで紹介します。

1.離乳食の基本的な考え方

 まずは、離乳食の基本的な考え方から紹介します。実働部分 (調理など)に注目しがちですが、この基本的な考え方を理解していないと、強い負担を感じて、投げ出したくなることも少なくありません。

 実働に入る前に、まずは「離乳食の考え方」を理解しておくと良いでしょう。

1-1.離乳食は摂食行動の自立支援である

 まずはじめに、離乳食は「摂食行動の自立支援」と言えます。つまり、離乳食は、授乳といった「他者からの摂食」から、「自らによる摂食」に変化していく過程の支援とされています。

 参考までに、「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」には、以下のように記載されています。

 離乳とは、成長に伴い、母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程をいい、その時に与えられる食事を離乳食という。

出典:「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」より

1-2.生活習慣や食生活の基礎を培う場でもある

 また、離乳食を通じて、基本的な生活習慣や食生活を養うことも重要だとされています。

 離乳食は、子どもの生活習慣や食生活に限らず、家族全体の生活習慣や食生活を見直す期間でもあります。

 親自身も、離乳食を通じて栄養素の基礎的な知識を学ぶと共に、様々な食材に触れ直す機会を得ることができます。

1-3.家庭や子どもの状況によって多種多様である

 また、離乳の進み方や内容は、家庭や子どもの状況によって、多種多様だとされています。

 離乳食本や支援ガイドには、月齢に応じた"一般的な"進め方が記載されていますが、それはあくまで"一般的な"進め方であることを理解しなければいけません。

 食材の調理方法やアレルギーといった安全に関する情報は、確実に把握しなければいけなせんが、「離乳の進み方が遅い」「思うように食べてくれない」といった離乳の遅れ等に関しては、個人差があるはずです。

 "一般的な"進み方と比較しながら、試行錯誤することも大切ですが、「自分のやり方が悪い」「子どもの成長が悪い」というように、悲観しすぎることがないように、注意が必要です。

 参考までに、「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」には、以下のように記載されています。

 離乳については、子どもの食欲、摂食行動、成長・発達パターン等、子どもにはそれぞれ個性があるので、画一的な進め方にならないよう留意しなければならない。また、地域の食文化、家庭の食習慣等を考慮した無理のない離乳の進め方、離乳食の内容や量を、それぞれの子どもの状況にあわせて進めていくことが重要である。

出典:「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」より

1-4.健やかな親子関係を築く場でもある

 さらに、離乳食を通じて、健やかな親子関係を築くことも重要だとされています。

 子どもの反応や成長に応じて、多種多様な接し方、離乳の仕方を考えなければならず、必然的に子どもの観察に多くの負荷をかける必要がでてきます。

 子どもの個性によって異なってくる為、不安や課題に悩むことも多くなるはずです。

 「初めて摂食行動の自立を目指す子ども」と「初めて摂食行動の自立を支援する親」の両方が初心者であり、お互いに少しずつ成長していきます。

 そういった不安や課題をひとつひとつ解決していくことで、将来に渡る健やかな親子関係が築かれていくとも言われています。

 つまり、「無理に食べさせる」「急いで離乳を進める」ということではなく、「健やかな生活リズムに基づいて、楽しい食卓を家族で囲む」ということを意識すれば良いのです。

2.離乳食の基本的な予備知識

 続いて、離乳食の基本的な予備知識について、紹介します。一般的な情報ですので、既に知っている方は、第3章まで読み飛ばして頂いて問題ありません。

2-1.離乳食を始めてよい目安を知る

 まずはじめに、離乳食の開始には、いくつかの目安があります。単に月齢だけを目安とするのではなく、「食べたがっているサイン (食への興味)」が出始めていることが、大切な目安とされています。

 実際に、筆者の家庭では、第一子と第二子は共に、5ヵ月目で離乳食を開始しましたが、第一子は「食べたがっているサイン」が無いまま始めた為、全然食べてくれず、かなり苦労しました。

 反対に、第二子は「食べたがっているサイン」が全開に出ていた為、次から次へと食べてくれ、「食べない」という点では、ほとんど苦労しませんでした。

 離乳食を作る親側の慣れや、子どもの個人差も影響していると考えられる為、一概に「食べたがっているサイン」が出ているから、必ず離乳がスムーズに進むとは限りませんが、ひとつの目安にはなると考えられます。

 「食べたがっているサイン」については、「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」に、以下のようなことが記載されています。

  • 【食べたがっているサイン (離乳開始の目安)】
  • ・首がしっかりすわっている、寝返りができる
  • ・5秒間以上、座っていることができる
  • ・スプーン等を口に入れた際に、舌で押し出すことが少なくなる
  • ・食べ物に興味を示している (親の食事を目で追っている等)

2-2.月齢に応じた離乳食のステージを知る

 また、離乳食は、大きく初期、中期、後期、完了期のステージに分けられています。実際には、徐々に移行していく為、明確に分かれるものではありませんが、ひとつの目安になると考えられます。

 「各ステージ毎の目安」については、「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」に、以下のようなことが記載されています。

 なお、あくまで目安であり、子どもの意欲や発達状況に応じて、調整することが必要とされています。

  • 【離乳初期 (5~6ヵ月頃)】
  • ・なめらかにすり潰した状態で、1日1回小さじ1から始める
  • ・離乳食を飲み込む、食材ごとの舌触りや味になれることを主目的とする
  • ・栄養は、これまで通り授乳主体で摂取する
  • 【離乳中期 (7~8ヵ月頃)】
  • ・舌でつぶせる状態で、1日2回80~100g/回程度(子ども用のお茶碗半杯程度)とする
  • ・主食、主菜、副菜を組み合わせ、多様な食材や調理方法とする
  • ・徐々に食事のリズムを身に付け始める
  • 【離乳後期 (9~11ヵ月頃)】
  • ・歯ぐきでつぶせる状態で、1日3回130~150g/回程度(子ども用のお茶碗1杯程度)とする
  • ・手づかみ食べ等、食への関心や自ら食べようとする行動が活発化する
  • ・家族での食事等を通じて、食の楽しい体験を積み重ねる
  • 【離乳完了期 (12~18ヵ月頃)】
  • ・歯ぐきで噛める状態で、1日3回150~170g/回程度とする
  • ・多くの食材が食べられるようになり、エネルギーや栄養素の大部分を食事から摂取する
  • ・食事のリズムを身に付け、生活リズムを整える

 手づかみ食べは、子どもの発達に重要な体験であり、積極的に行うことを厚生労働省も推奨していますが、「手が汚れる」「掃除が大変」「衛生面が気になる」といった要因から、避ける方も少なくありません。

 実際に、筆者の家庭でも、第一子は、手づかみ食べをある程度、抑制していました。ある程度、きれいに食べられるようになっても、遊んでしまったり、失敗してしまったり、となかなか難しいものです。

 どうしても食事時間が長くなり、家事が後ろに詰まってしまったりする為、口に運んで食べさせることもありました。

 手づかみ食べのしやすい (汚れにくい)調理方法にする等、工夫をしながら付き合う必要があると考えられます。

2-3.新たな食材は少量から注意深く始める

 また、新たな食材を始める際は、離乳食用のスプーン1さじから始めることが推奨されています。

 特に、アレルギーのリスクがある食材については、少量を1週間程度継続して、様子を見た方が良いとしている本もあります。

 少量ずつである為、準備も計画も大変ですが、小分け冷凍等を活用しながら進めていくと良いと考えられます。

2-4.ベビーフードの活用方法を知る

 続いて、ベビーフードを上手く活用しながら、離乳食の負担を軽減することも大切だと考えられます。

 参考までに、「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」には、以下のようなことが記載されています。

  • 【ベビーフードの利点】
  • ・単品で用いる他に、手作りの離乳食と併用すると、食品数、調理形態も豊かになる。
  • ・月齢に合わせて粘度、固さ、粒の大きさなどが調整されているので、離乳食を手作りする場合の見本となる。
  • ・製品の外箱等に離乳食メニューが提案されているものもあり、離乳食の取り合わせの参考になる。
  • 【ベビーフードの課題】
  • ・多種類の食材を使用した製品は、それぞれの味や固さが体験しにくい。
  • ・ベビーフードだけで1食を揃えた場合、栄養素などのバランスが取りにくい場合がある。
  • ・製品によっては子どもの咀しゃく機能に対して固すぎたり、軟らかすぎることがある。
出典:「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」より

 筆者の家庭では、主に「初めての離乳食を作る際の粘度や固さの参考にする」「使いにくい食材 (レバー等)をプラスしたい」といった時に活用するようにしていました。

 離乳食は、様々なメーカから用意され、短い期間であれば十分にレパートリーも確保できますが、毎日全てをベビーフードに頼るとなると、少し偏りが出やすいと考えられます。

 あくまで、「離乳食づくりの参考」「手作りを補完する」といった用途での活用が、望ましいかもしれません。

3.離乳食の流れと献立表 (参考例)

「厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019)」によれば、食材の基本的な流れは、「おかゆ→野菜類→果物類→脂肪の少ないたんぱく質(白身魚、豆腐など)、卵黄→たんぱく質(赤身魚、肉類)、全卵」となっています。

 なお、多くの離乳食の本を見ると、たんぱく質類の扱い方に多少の差はあるものの、厚生労働省のガイドに従って進めていることがほとんどです。

 筆者の家庭では、第一子の離乳食で、「たまご」を6ヵ月初期に始めた際に、アレルギー反応が出た為、第二子では少しだけ遅め (8ヵ月頃)に「たまご」の摂取を始めました。

 アレルギーに関しては、離乳開始から少しずつ摂取して慣れさせた方が良いという説と、消化器官などの身体が出来上がってから摂取した方が良いという説があり、どちらが正しいのかは分かりません。

 但し、厚生労働省のガイドによれば、「特定の食材の摂取開始を遅らせても、アレルギー予防効果があるという科学的根拠はない」とされており、通常の進め方を推奨するとされています。

 また、アレルギー反応が出た場合は、自己判断で対応せずに、必ず医師の診断を受けるべきだとされています。医師の診断を受けなければ、誤った食材をアレルギーの原因だと判断してしまう恐れがある為です。

 離乳食の時期に、「アレルギー食材の特定」「アレルギーの経過観察」を行い、アレルギーを手中に収める為には、厚生労働省のガイド通りに、少量ずつ進めることが適切かもしれません。

 参考までに、厚生労働省のガイドと離乳食の本を参考に作成した、筆者の家庭での離乳食計画表について、紹介します。

 なお、不足しやすいとされる鉄分やビタミンDに関しては、離乳食だけで補うことは難しいと考え、フォローアップミルク等の飲み物や間食にて、可能な限り補うようにしていました。

離乳食初期の献立表例(5ヵ月頃)

離乳食初期の献立表例(6ヵ月頃)

離乳食初期の献立表例(7ヵ月頃)

離乳食初期の献立表例(8ヵ月頃)

 なお、9ヵ月目以降は、扱える食材が増え、大人の食材を取り分けて調理することが増える為、臨機応変に対応していく場面が増えると考えられます。

 参考までに、本献立表を立てる上で、意識したポイントについても、紹介します。但し、これが必ずしも正しいわけではなく、各家庭に合った計画をすることが望ましいと考えられます。

  • 【離乳食の献立表を作るうえでのポイント】
  • ・理想ではなく現実的な献立表とする(張り切りすぎても維持できません)
  • ・たんぱく質は少量ずつ十分に経過観察する
  • ・土日や夜間など診療時間外に新たな食材は挑戦しない
  • ・二回食を活用して食べられる食材を増やす
  • ・栄養素の偏りは無理なく間食等で補う

離乳食で親子の信頼関係を深めよう

 以上で、離乳食の基本と献立表についての紹介は終わりです。なお、離乳食本などに書かれている通りに、献立表を組んでみると、本当に大変なことが分かります。

 「新たなたんぱく質は1週間程度見るべき」「土日に新たな食材は避けるべき」という条件を単純に満たすと、月4食材しか新たに扱える食材 (たんぱく質)は増えません。

 良く言えば、「たんぱく質に関しては、4食材ずつしか扱う食材を増やさなくてよい」、悪く言えば、「少しでも計画不足があると、扱える食材が全然増えない」と言えます。

 つまり、「離乳食は計画的に進める一方で、張り切りすぎても少しずつしか進まない」ということを覚えておくとよいかもしれません。

 また、今回紹介した参考例よりも、もっと栄養面などに配慮して管理することもできますし、反対に、もっと雑に管理することもできます。各家庭に合った計画に見直して活用いただければ問題ありません。

 まずは、食材に慣れる (親子共に)という点を意識して、適度に離乳食に向き合う気持ちを持って、取り組むことが大切ではないでしょうか。