子育てにも活かせる地域活動やボランティア一覧!

 現代では、地域交流が希薄化してきており、地域交流によって得られる子どもの多種多様な経験の場が失われつつあります。

 また、子育て世代の大人においても、会社や子ども関係の交流(同僚やママ友、パパ友など)が主体となっており、視野の狭まりや社会貢献意欲の低下が指摘されています。

 そこで、本記事では、新たな交流の機会を増やし、自らの経験や知識も活かせる地域活動・ボランティア活動について、詳しく紹介していきます。

1.地域活動・ボランティアに関するポイント

 まずはじめに、地域活動・ボランティア活動に参加する上でのポイントについて、紹介します。

1-1.地域活動・ボランティアに参加するメリット

 まず、地域活動やボランティアに参加するメリットとしては、以下のようなものがあります。

  • 【地域活動やボランティアのメリット】
  • ・自己実現意欲を充実させることができる
  • ・社会所属欲求を充実させることができる
  • ・新たな人との繋がりによって視野が広がる
  • ・多種多様な経験によって知識が深まる
  • ・未活用の知識や経験を活かして活躍できる
  • ・行動力や自律性を高めることができる

 なお、厚生労働省では、ボランティア活動の意義について、以下のように記載されています。

 ボランティア活動は個人の自発的な意思に基づく自主的な活動であり、活動者個人の自己実現への欲求や社会参加意欲が充足されるだけでなく、社会においてはその活動の広がりによって、社会貢献、福祉活動等への関心が高まり、様々な構成員がともに支え合い、交流する地域社会づくりが進むなど、大きな意義を持っています。

出典:「ボランティア活動(厚生労働省)」より

 つまり、ボランティア活動は、一般的に考えられるような「地域の為」「誰かの為」というものではなく、活動者自身の意思で(活動者自身の為に)行われているものと考えることができます。

1-2.地域活動・ボランティアに参加する流れ

 地域活動やボランティアに参加する流れは、各市区町村や自治会によって異なっています。

 大まかな地域活動やボランティア参加までの流れは、以下の通りです。

  • 【地域活動やボランティアに参加する大まかな流れ】
  • (1)地域活動やボランティアについて知る・調べる
  • (2)参加したい地域活動やボランティアをイメージする
  • (3)地域活動やボランティアに応募する(又は相談する)
  • (4)活動に必要な装備・道具・学びを準備する
  • (5)地域活動やボランティアに参加する
  • (6)活動の機会を持てたことに感謝する

 なお、ボランティア参加の手続きに関しては、「個別のボランティアに申し込んで参加する」パターンと、「ボランティア活動者登録をして、案内に応じて参加する」パターンがあります。

 明確にやりたい地域活動やボランティアが決まっていれば、個別の申し込み、何となく地域活動に参加(貢献)したいのであれば、活動者登録をして柔軟に参加する等、使い分けると良いでしょう。

 詳細は、各市区町村に設置されているボランティアセンターに問い合わせてみると良いでしょう。

1-3.地域活動・ボランティアに参加する際の注意点

 続いて、地域活動やボランティアに参加する際の注意点についても、紹介します。

  • 【地域活動やボランティアに参加する際の注意点】
  • ・興味のあることから始める(興味が無いことは自主的に行動しにくく、逆に周囲に負担をかける恐れも)
  • ・無理のない範囲で始める(活動者に余裕が無ければ、逆に周囲に負担をかける恐れも)
  • ・決まり事や時間は厳守する(バラバラに参加者が集まったり、逆に周囲に負担をかける恐れも
  • ・関係者を理解して尊重する(多種多様な人材が多様な役割で活躍している為、役割に優劣を付けない)
  • ・各保険に加入する(万が一の際に自分自身に大きな損失が出ないように)
  • ・相手との対等な関係を意識する(自らの経験や知識を増やす場を与えてもらっているつもりで)

 特に、興味のあることから無理のない範囲で始めることが大切だと考えられます。「相手が募集しているから」「困っているから」といって、興味のない(やる気が少ない)状態で参加すると、積極的に行動できず、かえって邪魔になってしまうこともあります。

 また、募集人数に制限がある場合は、「やる気のないあなた」が無理に参加したことによって、「やる気のある誰か」が参加できなくなってしまう可能性もあります。

 その他、災害時には、相手が困っているからといって、いち早く被災地に訪れたのはいいものの、被災者より行動できずに立ちすくんでいる人が迷惑をかけていることもあります。

 反対に、未経験かつ知識の浅い人が動き回ってしまうことで、迷惑がかかる可能性もあります。

 まずは、「活動内容に関心があって、積極的に行動できそうか」「知識が無くても役に立てそうか」という視点で、ボランティアセンターに相談してみると良いでしょう。

2.地域活動・ボランティアの一覧(一例)

 それでは、実際の地域活動やボランティア活動の一例について、紹介します。市区町村によっては、今回紹介した活動が無い場合もありますが、参考にして頂けると幸いです。

2-1.気軽に参加しやすい清掃・美化活動

 どの市区町村でもほぼ必ずあるのが、「清掃・美化ボランティア活動」です。

 定例的な清掃活動から、季節に応じた美化活動(海水浴場など)まで、同じ清掃・美化活動でもその活動範囲は広いです。

 ウォーキングが好きな方であれば、ウォーキング感覚で参加できますし、人との交流が苦手な方でも、気軽に地域貢献しやすい活動と言えます。清掃に必要な装備(軍手など)は、ボランティアによって準備の有無が異なる為、必要に応じて準備していきましょう。

  • 【清掃・美化活動のメリット例】
  • ・気軽に社会貢献を実感できる
  • ・軽い運動で健康促進にも繋がる
  • ・気軽に人と交流できる

2-2.裏方を体験できるイベント運営補助活動

 続いて、裏方としてイベント活動に参加できるイベント運営の補助ボランティア活動もあります。

 地域のお祭りの運営(歩行者天国の管理や案内板の設置など)からイベント後の清掃まで、その活動範囲はイベントによって異なります。

 イベント時の駐車場の案内や音響など、多くの役割があり、様々な経験が活かしやすく、誰でも貢献しやすい活動となっています。

  • 【イベント運営補助活動のメリット例】
  • ・裏方としてイベントに参加して楽しめる
  • ・経験を活かして活躍しやすい
  • ・社会への所属欲求を充実させやすい

2-3.地域で活躍しやすい観光地ガイド活動

 また、その地域が好きな方や長年暮らしている方であれば、観光地のガイドボランティアという選択肢もあります。

 例えば、全国各地にあるお城や庭園の園内ガイド、行事の案内、魅力の発信等、地域で暮らしているからこそ持っている知識を活かした活動となっています。

  • 【観光地ガイド活動のメリット例】
  • ・多くの観光客(外国人含む)と交流できる
  • ・地域の新しい魅力を知ることができる
  • ・地域の活性化貢献を実感できる

2-4.視野を広げやすい障がい者交流活動

 また、様々な施設や環境について、理解を深めたり、学習の質を高めることができる障がい者交流活動もあります。

 難病について知ることができる交流会(一緒にウォーキング等)や視覚障がい、聴覚障がいなど、様々な障がいを持った方たちと交流する場があります。

 日々当たり前に通り過ぎている様々な施設の中にも、様々な工夫や課題があることを知り、自らの視野を広げることができるかもしれません。

  • 【障がい者交流活動のメリット例】
  • ・新たな出会いを通じて視野が広がる
  • ・実体験を通じて学びが深まる
  • ・介助や手話など実践力が高まる

2-5.視野を広げやすい高齢者交流活動

 また、同様に視野を広げやすい活動として、高齢者と交流するボランティア活動もあります。

 こちらは、デイサービスボランティア等の要介護高齢者を対象としたものから、様々な年代とふれあうことを重視した交流会のようなものまで、幅広く活動されています。

 看護学生や介護福祉士を目指す学生などは、ボランティアを通じて学びを深めることができますし、高齢者と関わる機会の少ない子どもたちにとっては、良い経験になるでしょう。

  • 【高齢者交流活動のメリット例】
  • ・新たな出会いを通じて視野が広がる
  • ・実体験を通じて学びが深まる
  • ・介護や交流など実践力が高まる

2-6.仲間を見つけやすい子ども交流活動

 地域交流が希薄化する中で、同世代の仲間を見つけやすい子ども交流活動もあります。

 こちらも、保育園の児童と関わる保育体験のようなものから、同年代とのふれあいを重視した交流会のようなものまで、幅広い活動があります。

 地域の子ども会のように「親子でウォーキングをしよう」「キャンプをしよう」といった活動もある為、子育て世代や保育に関する仕事を目指す方に向いていると考えられます。

 「子どもたちから元気や学びを得られる」「子どもたちの保育疲れを軽くできる」「同年代の仲間と関わることができる」等、活動者によって相互のメリットが得られるでしょう。

  • 【子ども交流活動のメリット例】
  • ・子育て世代と繋がることができる
  • ・実体験を通じて学びが深まる
  • ・多種多様な子どもと関わることができる

2-7.専門知識を活かしやすい意見交換活動

 また、専門知識を活かした意見交換といったボランティア活動もあります。

 医療、農業、工業、栄養といった各分野の専門家が集まり、相互に意見交換する等、一つの専門分野で完結できない課題に対して、協力して向き合う活動などがあります。

 意見交換を通じて、新たな事業が始まる可能性もあるかもしれません。

  • 【意見交換活動のメリット例】
  • ・異業種交流を通じて視野が広がる
  • ・知識や経験を活かして社会貢献を実感できる
  • ・知識や経験を深める意欲が高まる

2-8.経験を活かしやすい競技運営活動

 その他、スポーツの経験を活かしやすい競技運営補助といったボランティア活動もあります。

 具体的には、会場の設営、後片付け、受付、審判、給水所の管理などがあります。

 地域のスポーツイベントやマラソン大会、障がい者や高齢者向けのスポーツ大会といったものが対象となっていることが多いでしょう。

  • 【競技運営活動のメリット例】
  • ・気軽に経験を活かして参加しやすい
  • ・イベントの盛り上がりを通じて、地域活性化を実感できる
  • ・多種多様な競技者と関わり、競技の理解が深まる

2-9.自然と触れ合いやすい自然保護活動

 続いて、自然と触れ合う自然保護(又は美化)といったボランティア活動もあります。

 具体的には、山林への植樹や育苗管理、自然観察、植物園の草取りや植え替えといった活動があります。

 自分がしたいと考えている体験と異なる場合もありますが、活動内容によっては、自然保護について、幅広く知識を広めることができるかもしれません。

  • 【自然保護活動のメリット例】
  • ・自然に対する関心を高めることができる
  • ・自然の中で身体を動かすことができる
  • ・自然や保護活動に関する学びが深まる

2-10.言語の壁を超える外国人交流活動

 また、言語の壁を超えて外国人と交流するボランティア活動もあります。

 具体的には、日本語や日本の風習について、外国人に教える活動が多いように感じますが、単に異文化交流を目的とした活動もあります。

 机上の学習のように、単に「言語の勉強」だけに限定されず、ジェスチャーや表情、声の抑揚等、コミュニケーションの取り方についても学ぶことができます。

 様々な言語・文化と交流できる活動と、特定の言語や文化と交流できる活動がある為、目的に応じて使い分けると良いでしょう。

  • 【外国人交流活動のメリット例】
  • ・多種多様な言語、文化と触れ合うことができる
  • ・日本の文化を発信し、地域活性化に貢献できる
  • ・交流を通じて学びが深まる

2-11.学びを支える学習支援活動

 また、様々な理由で学習を妨げられている学生たちに対して、学習支援を行う活動もあります。

 具体的には、学習遅延や登校拒否、体調不良などによって、学校だけでは十分に学習できない子どもたちへ、学習指導をしていく活動です。

 実際には、本格的に教育指導する活動から、お菓子作りや工作といった体験を通じて、子どもたちの居場所になる活動まで、その活動内容は多岐に渡ります。

 学習指導に関する知識を得られたり、登校拒否気味の学生との接し方について学ぶことができたり、相互のメリットを実感しやすい活動となっています。

  • 【学習支援活動のメリット例】
  • ・学習指導経験を通じて学びが深まる
  • ・様々な困難を抱えた人との接し方を学ぶことができる
  • ・教育や行動心理に対する関心が高まる

2-12.新たな仲間を増やす情報発信活動

 続いて、ボランティア活動の裏方にもなる情報発信活動もあります。

 ボランティアを集める為にチラシ作りをしたり、迷いペットの捜索願いチラシを制作、配布したりと、同じ情報発信でも様々なスタイルがあります。

 発信の媒体として、紙やWeb等が使い分けられている為、未経験者でもデザイン等について学びながら、活躍する場があります。

  • 【情報発信活動のメリット例】
  • ・情報発信の基本を学び、実践することができる
  • ・多くの活動と関わる裏方を経験できる
  • ・デザインや広告に対する関心が高まる

2-13.様々な面から活躍しやすい災害復興活動

 また、ボランティアと言えばイメージしやすい災害復興活動もあります。

 災害によっては、災害初期の対応だけでなく、避難所から仮設住宅への移動補助、住宅の清掃などもあり、何年もかけて復興される場合が多くあります。

 避難所の運営(清掃、給仕、風呂、備品仕分けなど)だけでも多くの役割があり、様々な人材が経験や知識を活かしながら活躍することができます。

 感謝されやすい一方で、中途半端な気持ちや身勝手な行動によって、かえって迷惑をかけてしまうケース(自家用車で集まり、混雑してしまい緊急車両が通れないなど)もあり、指揮者や避難者に確認してから行動する必要があると考えられます。

  • 【災害復興活動のメリット例】
  • ・復興が目に見えて、社会貢献や達成感を実感しやすい
  • ・指揮系統に従う協調性と自ら行動する自主性が高まる
  • ・災害の備えや防災意識が高まる

2-14.地域の安全を守る見守り・声掛け活動

 その他、地域の安全を守る見守り、声掛け活動もあります。地域によっては、ボランティアではなく、自治会がその役目を担っている場合も多いかもしれません。

 具体的には、登下校の見守りや横断歩道の警備、パトロール車による声掛けなどがあります。

 「事故を未然に防ぐ」という活動の性質上、そのありがたみや効果を実感しにくく、理解されにくい一面もあります。

 但し、出掛ける前に「気を付けてね」と声をかけるだけで、事故率が圧倒的に下がる、という統計もある為、成果が目に見えなくても、一定の効果はあると考えられます。

  • 【見守り声掛け活動のメリット例】
  • ・地域住民と幅広く関わることができる
  • ・地域の変化に速やかに気付くことができる
  • ・自分自身や地域の防犯意識が高まる

2-15.地域を支える防災支援・声掛け活動

 また、同様に地域を支える防犯支援、声掛け活動といったものもあります。こちらもボランティアよりも、自治会がその役割を担っている場合が多いかもしれません。

 具体的には、台風前の土嚢準備や設置、高齢者宅の雨戸養生、点検、乾燥する季節の火の用心、凍結しやすい道路の凍結防止剤管理などがあります。

 こちらも「事故を未然に防ぐ」という活動の性質はあるものの、実際に支援する一面もある為、前述した活動よりは、効果を実感しやすいかもしれません。

  • 【防災支援・声掛け活動のメリット例】
  • ・地域防災に対する関心や知識が高まる
  • ・地域支援を通じて社会貢献を実感しやすい
  • ・地域に自分の居場所を見つけやすい

2-16.知識と経験をひろげる体験活動

 続いて、活動数は多くありませんが、様々な体験活動を支援するボランティアもあります。

 動物愛護体験など、ボランティアの活動者自身が体験できる活動の他に、障がい者や子どもに工作やお菓子作りを体験してもらう支援活動などがあります。

 自分自身の経験を活かしながら、障がい者や子どもに喜ばれる方法を学び、自分自身の活動の成果を高めることができる可能性もあります。

  • 【体験支援活動のメリット例】
  • ・自分自身の知識や経験を深めることができる
  • ・新たな顧客、客層発掘に繋がる
  • ・新たな視点でモノづくりに関わることができる

3.地域活動・ボランティアは多種多様で面白い

 以上で、ボランティアや地域活動の一覧は終了です。今回紹介した活動に限らず、地域によって多種多様な活動が行われています。

 全国各地にボランティアセンターが設置されている為、自分の地域で行われている活動について、一度調べてみてはいかがでしょうか。

 子育てにおいても、家族と保育園や幼稚園、小学校といった限られた関係だけでは、体験や経験が狭くなりがちです。

 ボランティア活動者として参加することに限らず、まずは、参加者(ボランティアを受ける側)として、ボランティア活動を経験してみても良いかもしれません。