乳幼児のいる家庭の防災対策!必需品から備蓄例まで!

 近年では、台風による風水害、地震や津波による家屋の倒壊、浸水、豪雪による停電等、全国各地で様々な災害が発生しています。

 直近では、ある地域においてダムの改修工事を行う為に、ダム貯蓄している水位を一時的に下げたところ、それ以降の降水量が例年よりも大幅に低下し、断水の危機に陥った、というような事例もあります。

 そういった背景から、全国的に防災意識が高まる一方で、少子高齢化が進む日本国内においては、乳幼児に対する地域の防災準備が遅れがちである懸念もあります。

 実際に、高齢者の多い地域等では、乳幼児の救援物資の到着が遅れて困った、という事例もあります。

 そこで、本記事では、「地震に備える‐内閣府防災情報」等の情報を踏まえながら、乳幼児のいる家庭にできる防災対策、防災グッズ、注意点等について紹介します。

1.乳幼児のいる家庭の防災対策に必要な準備とチェックリスト

 まずはじめに、主に乳幼児のいる家庭の防災対策に必要な準備とチェックリストについて、紹介します。

 なお、防災対策と言えば、非常食や非常用の備品を揃える「災害時の備品」に目が向きがちですが、それよりも先に、避難経路や場所、避難先での生活といった「災害時の生活」をイメージすることが大切です。

 避難場所における朝から晩までの生活行動をひとつひとつイメージしながら、「災害時には〇〇が無さそう」「災害時でも○○は確保できそう」といったことを考えていくことが重要です。

 その際に、過去の災害事例を基に考えることが有効ですが、地域や災害規模によっても異なってくると考えられる為、極力、最悪の場合を想定して準備するように心掛けると良いでしょう。

 なお、本項目では、可能な限り「最悪の想定」をした上での準備とチェックリストを紹介しています。

1-1.発災前・発災直後の行動に対する準備

 まず第一に、一番大切なことは「命を守る」ということです。例えば、地震を例にすれば、防災グッズを取り出す為に避難が遅れて家屋が倒壊した、多くの物資を持って車で逃げようとしたら道路が遮断されていて津波が到達した、といった事態に陥ることは避けなければいけません。

 その為には、まず「災害の種類」と「その災害の発生可能性」について、地域のハザードマップを確認し、災害に応じた行動をイメージしておくことが大切です。

 ※ハザードマップとは、災害の種類やその災害の危険度を地図上に表現したものであり、災害の準備や災害時の避難、危機回避に役立てることを目的に作成されています。

 具体的には、以下のような種類のハザードマップが各自治体によって作成されています。

  • 【ハザードマップの種類】
  • ・洪水、土砂災害ハザードマップ(河川の氾濫又は決壊が発生した場合の浸水想定等)
  • ・内水ハザードマップ(排水施設の能力超過が発生した場合の浸水想定等)
  • ・ため池ハザードマップ(ため池の氾濫又は決壊が発生した場合の浸水想定等)
  • ・地震ハザードマップ(大型地震が発生した場合の震度想定等)
  • ・津波ハザードマップ(大型地震が発生した場合の浸水、液状化想定等)

 近年発生した岡山県倉敷市の豪雨災害では、ハザードマップと実際の浸水範囲がほぼ一致しており、話題になっていました。

 県の職員(土木関係)に確認したところ、周辺の木の種類やその土地の地盤など、様々な要素を折り込んで想定されているとのことでした。

 岡山県の事例のように、災害想定が必ず一致するとは限りませんが、"最低限"の準備として、ハザードマップの想定に従った防災対策をしておきましょう。

 個別の不安要素がある場合は、そこからさらに上乗せ対策をすると良いでしょう。

 なお、防災グッズ等を揃える前に、「家屋が全浸水してしまう」「家屋が倒壊してしまう」「家屋が土砂災害にあう」といった可能性がある場合は、その災害そのものに対応することを優先すべきだと考えられます。

 何故なら、「家屋が全て浸水してしまう」等の場合は、防災グッズをいくら完ぺきに備えていたとしても、持ち出せない可能性がある為です。

 日中に仕事をしている方であれば、人生の約1/4~1/3は自宅にいません。

 自宅で仕事をしている在宅勤務者や、定年後の高齢者であれば、自宅にいる可能性は上がるかもしれませんが、それでも自宅に居ない間に被災する可能性はあります。

 「好きな土地である」「先祖代々の土地である」といった様々な理由から、災害可能性の高い土地を離れることができないケースもあるかもしれません。

 そういった場合は、「勤務先にも最低限の防災バッグを置く」「車にも最低限の防災バッグを置く」「近隣の被災可能性の低い場所(知人宅など)に防災バッグを置く」といった対応を行うようにしなければいけません。

 また、周辺の道路や建屋の災害可能性も高い場合は、勤務先と自宅が分断されて、家族が合流できない可能性もあります。

 防災バッグは、原則1人1つ確実に確保できる場所に保管するように心掛けましょう。

 なお、乳幼児を連れて避難する場合は、以下のようなことにも注意する必要があります。

  • 【乳幼児を連れて避難する場合の注意点】
  • ・ベビーカー等が通れない可能性がある(災害前に崩れやすそうな場所を確認しておくと良い)
  • ・抱っこして避難する場合は、子どもの靴を忘れずに
  • ・避難に時間がかかった場合の暑さ(寒さ)対策を忘れずに
  • ・子どもだけ避難した場合に備えて個人情報カード(後述)の準備を忘れずに

 発災前・発災直後の行動に対する準備をまとめると、以下のようになります。その他、各家庭で必要と考えられる想定をして準備しておくと良いでしょう。

  • 【発災前・発災直後の行動に対する準備】
  • ・住む地域の災害の種類と可能性を知る(ハザードマップ活用)
  • ・可能な範囲で防災対策(住宅や家具の耐震補強など)をする
  • ・災害時の避難場所を第1~第3候補まで決めて家族で共有する
  • ・避難ルート等を記載したハザードマップを常時携帯する物(スマホや財布など)に入れる
  • ・避難場所や避難行動は、夜間、休日、平日等にケース分けをして検討する
  • ・実際に家庭内で避難訓練(非常食で生活等)をして意識を高める
  • ・災害に応じて防災グッズの保管場所を決める

 意外と色々な記事でも紹介されていませんが、ハザードマップと避難ルート(第1~第3候補)を記載したマップを持ち歩くことは、絶対に必要だと考えられます。

 災害対策を考えた時期と、実際に災害が発生する時期には時間が空くことが多く、いざ避難する際に「どこの道路が通れそうか」「第1候補は覚えているけど第2候補はどこだったか」となる可能性が高い為です。

 また、インターネットが繋がらなければ、ハザードマップを入手することもできない為、その場から動けなくなってしまう可能性も考えられます。

 最低でも、以下のものは常に携帯しておくようにすると良いでしょう。

  • 【発災前・発災直後の行動の為に常時携帯するものリスト】
  • ・ハザードマップと避難ルートを記載したメモ(スマホで可、但し充電切れに備えて紙もあれば尚良い)
  • ・自分や家族の緊急連絡先が分かるもの(財布など、他人が分かる場所に)
  • ・相手に伝えるべき持病や体質、血液型が分かるもの(財布など、他人が分かる場所に)
  • ・常用薬の予備(普段使用する分+数日分など)
  • ・携帯用スマホ充電池(バッテリ式や乾電池式、発電式など)
  • ・懐中電灯(夜間の発災時に必須。両手を使えるヘッドライトがオススメ)
  • ・大音量ホイッスル(助けを求める際や居場所を知らせる為に)
  • ・健康保険証や母子手帳の写し

1-2.食事・栄養面に対する準備

 続いて、食事・栄養面に対する準備について、紹介します。

 一番イメージしやすいのは、非常食(フリーズドライや乾パン等)だと考えられますが、その限りではありません。

 実際に被災した際に、何日間も乾パンやフリーズドライだけで生活するのはつらいものです。

 食が進まず、必要な栄養素を摂取できなくなってしまう可能性もあります。

 救援物資が届くまでの数日間分の非常食として、フリーズドライや乾パン、缶詰などが採用されることも多いですが、南海トラフ巨大地震のように被災範囲が広くなると、救援の到着がさらに遅れる可能性もあります。

 そういったことを想定すれば、「非常時に使う非常用の食事」の準備だけでなく、「常時使う常用の食事」の備蓄を増やす、といった対策も必要になってきます。

 例えば、「カセットコンロと燃料缶(※但し、地震時は余震もあり火災に十分な注意が必要)」「お米」「お水」「缶詰」などの備蓄を増やすことが挙げられます。

 また、野菜や肉、魚類の入手が困難になることから、ビタミン剤などのサプリメント(子ども用と大人用の両方)も用意しておくと良いとされています。

  • 【食事・栄養面に対する準備をする際の注意点】
  • ・火や電気が使えない災害初期を想定した食事、飲料水を確保する
  • ・火や電気が使える復興中を想定した食事を備蓄する(救援に頼りすぎない)
  • ・復興中を想定した携帯用給水タンクを確保する
  • ・栄養面に偏りが出やすい為、栄養補助食品を確保する
  • ・配慮が必要なアレルギーや疾患等に応じた備蓄をする

 参考までに、以下に食事・栄養面に対する準備リストを紹介しておきます。なお、主に非常用で常に防災バッグに入れておくものに「○印」、主に常備用(常備数の増量又はローテンション)のものに「◎印」を付けています。

  • 【食事・栄養面に対する準備リスト(大人)】
  • ○非常時に気軽に食べられる非常食(乾パンや羊羹など)
  • ◎非常時に食べられる非常食(アルファ化されたお米や缶詰など)
  • ◎大人用の栄養補助食品(サプリメントなど)
  • ◎カセットコンロと燃料缶(1日30分利用で、1ヵ月15本が目安)
  • ◎湯沸かし用の小鍋
  • ◎飲料水(1日1人当たり3L以上を目安に)
  • ◎使い捨て食器類(お皿、スプーン、お箸等)
  • ◎配慮が必要なアレルギーや疾患等がある場合は、その備えも
  • 【食事・影響面に対する準備リスト(乳幼児)】
  • ○液体ミルク(そのまま飲めるミルクが便利です)
  • ◎粉ミルク+湯沸かし(水を入れるだけで湯を沸かす袋などがあります)
  • ○哺乳瓶 or 紙コップ or 乳幼児用のスプーン
  • ◎離乳食(月齢分を一気に確保⇔消費のローテンションがオススメ)
  • ◎非常時にも気軽に食べられるお菓子
  • ◎子ども用の栄養補助食品(サプリメントやフォローアップミルク等)
  • ◎飲料水(1日1人当たり3L以上を目安に)
  • ◎配慮が必要なアレルギーや疾患等がある場合は、その備えも

 被災時のショック等により母乳が出なくなるケースもある為、母乳育児の場合でも非常時に備えて、液体ミルクや粉ミルク(+湯沸かし)を用意しておくようにしましょう。

 液体ミルクは、便利な一方で貯蓄場所や費用面で不利な為、短期用=液体ミルク、長期用=粉ミルク、として両方を用意しておくと良いと考えられます。

 また、離乳が始まって間もない場合は、アレルギー有無等も不明確であり、食べられるものが少ない可能性も考えられます。

 地域にそういった食事の十分な備えが無い可能性もあるかもしれません。離乳食は、月齢によってあっという間に食べなくなるものでもある為、できる限り普段の常備数を増やして、確保と消費を繰り返していくようにすると良いでしょう。

 また、平常時には、何かと毛嫌いされる場面も多いフォローアップミルクですが、比較的に長期間(9ヵ月~3歳頃まで)に渡って利用できる為、非常時の栄養補助として有効だと考えられます。

1-3.病気・衛生面に対する準備

 続いて、病気・衛生面に対する準備について、紹介します。

 健康な成人であれば、それほど多くのものは必要ないかもしれませんが、乳幼児を連れて避難する場合は、その限りではありません。

 例えば、洗浄して繰り返し使える哺乳瓶は、洗浄が可能な環境においては便利ですが、火や電気、水が制限されている環境では、繰り返し使うことができません。

 火や電気、水を使わなくても衛生面を確保しやすい使い捨て紙コップ等の方が、災害初期には有利だと考えられています。

 参考までに、以下に病気・衛生面に対する準備リストを紹介しておきます。なお、主に非常用で常に防災バッグに入れておくものに「○印」、主に常備用(常備数の増量又はローテンション)のものに「◎印」を付けています。

  • 【病気・衛生面に対する準備リスト(大人)】
  • ○体拭きシート、タオル(全身用)
  • ○水のいらないシャンプー
  • ○携帯(簡易)トイレ、防臭袋
  • ◎おしり拭きシート、トイレットペーパー
  • ◎ティッシュ、ウェットティッシュ
  • ○目隠しポンチョ(プライバシーテントもオススメ)
  • ○除菌ジェル、スプレー
  • ◎生理用品(ナプキン、オムツ等)
  • ◎常用薬(持病に限らず、ボディクリームや基礎化粧品も)
  • ○常備薬(風邪薬、頭痛薬、下痢止め等)
  • ○救急箱(ピンセット、消毒薬、ガーゼ等)
  • ○歯ブラシ、口腔ケア用品
  • ○大きめのビニール袋
  • ○マスク、マスク用消毒薬
  • 【病気・衛生面に対する準備リスト(乳幼児)】※大人と兼用は省略
  • ◎紙おむつ、防臭袋
  • ◎おしり拭きシート、トイレットペーパー
  • ◎子ども用の常用薬(ボディクリーム等、必要に応じて)
  • ○子ども用の常備薬(風邪薬、頭痛薬など)
  • ○子ども用の歯ブラシ、口腔ケア用品
  • ○子ども用のマスク(感染症に注意)

1-4.身体・肉体面に対する準備

 続いて、身体・肉体面に対する準備について、紹介します。

 季節によって対策が異なる場合もありますが、意外と真夏以外の夜は冷える(体育館などの床は意外と冷たい)為、主に寒さ対策を中心にしていくと良いでしょう。

 また、避難場所に用意されているマット類は数が限られている為、床の硬さや冷え込みを防ぐために、マットがあると便利です。登山用やキャンプ用のものを持っていれば、そちらを防災バッグと一緒に保管しておくと良いでしょう。

 完全にエアーのみで膨らむマットは収納性が高くて便利ですが、いざというときに膨らまなかったり、地面の凹凸で破れてしまうリスクも高い為、可能であれば、ウレタン等を含むエアマット(インフレーターマット)や折り畳み銀マットがオススメです。

 こちらも参考までに、以下に身体・肉体面に対する準備リストを紹介しておきます。なお、主に非常用で常に防災バッグに入れておくものに「○印」、主に常備用(常備数の増量又はローテンション)のものに「◎印」を付けています。

  • 【身体・肉体面に対する準備リスト(大人)】
  • ○下着、肌着、上着(3~4日分を圧縮袋に入れて保管)
  • ○レスキューシート(保温・断熱効果のある両面アルミのブランケット)
  • ○毛布やタオル、寝袋(圧縮袋に入れて保管)
  • ○エアーマット、銀マット(組み合わせがオススメ)
  • ○雨具(両手の使えるレインコートがオススメ)
  • ○環境遮断グッズ(アイマスク、耳栓)
  • ○携帯カイロ
  • 【身体・肉体面に対する準備リスト(乳幼児)】
  • ○下着、肌着、上着(3~4日分を圧縮袋に入れて保管)
  • ○毛布やタオル、寝袋(圧縮袋に入れて保管)
  • ○エアーマット、銀マット(大人と兼用でも可)
  • ○使い捨て防水シート(普段と異なる生活でおねしょする可能性も)
  • ○子ども用の雨具(レインコートがオススメ)
  • ○子ども用の環境遮断グッズ(アイマスク、耳栓)

 セット物の防災バッグ等では、収納性の高いアルミシート等が重宝されますが、普段からキャンプや登山を楽しむ方であれば、寝袋やマットを防災バッグと一緒に保管しておくと便利です。

 また、意外と用意されていませんが、避難生活中にあった方が便利なものとして、環境遮断グッズ(アイマスクや耳栓)があります。

 避難場所では、夜間でも照明が付いていたり、周囲の人たちの物音がしたりと、安心してしっかり眠ることは意外と難しいです。

 睡眠不足が続くと、何かと体調不良を起こしやすい為、避難中の安眠を確保する為に用意しておくと良いでしょう。

 但し、被災直後は、更なる災害発生の案内に気付かない、といったリスクもある為、状況を確認して活用するようにしましょう。

 また、子ども用の衣類は、防災バッグを用意してから時間が経っていると、サイズが合わなくなってしまう可能性もある為、定期的に確認するか、サイズオーバーでも着ることができる伸縮性の高い服やポンチョ等にすると良いでしょう。

1-5.心・精神面に対する準備

 続いて、心・精神面に対する準備について、紹介します。

 どうしても身体や栄養面に焦点が当たりがちですが、乳幼児のいる家庭では、メンタルケアについても忘れてはいけません。

 被災時は、慣れない環境で落ち着かなかったり、興奮状態になって眠れなかったりすることも少なくありません。

 そういった状態になると、母乳が出なくなったり、その他の合併症を起こすリスクも高まると考えられます。

 例えば、普段愛用しているリラックスグッズ(例えば蒸気でアイマスク等)や、おもちゃ等を持っていくことで、少しでもリラックスできる環境を準備できると良いでしょう。

 日本人は「被災時は根性で乗り切る!」なんて考えがちですが、精神面が不安定では、身体にも影響が出てしまう可能性があります。

 防災バッグの空き具合や各家庭の状況に合わせて、リラックスグッズを少なくとも一人一つずつ用意しておくように心掛けましょう。

2.乳幼児のいる家庭で防災グッズを揃える際の注意点

 ここまで、様々な防災の備えについて紹介してきましたが、この時点で「多すぎて無理…。揃えるお金も負担も大きい…。」と頭を悩ませる方も多いでしょう。

 実際に、ある地域で、防災備蓄について各家庭に確認したところ、最低備蓄数を確保できている家庭は、2割ほどしかなかった、というデータもあるようです。

 そうはいっても「いつ起こるか分からない災害」と「地域の備蓄が少なく自助が必要な乳幼児のいる家庭」です。

 そういった負担に配慮しながら、乳幼児のいる家庭が実際に防災グッズを揃える際に注意すべき点について、紹介します。

2-1.防災セットだけで満足してはいけない

 まずはじめに、揃える負担を軽減する為に有効な手段として、「防災セット」を購入する、という方法があります。

 きちんとした防災セットであれば、防災士が様々な被災地の情報を基に選定してくれている為、"一般的に"必要な備品はほとんど揃えてくれている可能性が高いでしょう。

 但し、前述した「精神面のケア」や「被災直後の行動に必要な備品」、「乳幼児用の備品」は、揃っていない場合がほとんどです。

 本リストを参考にしながら、必要な備品類を追加していくように心掛けましょう。

 今回は、有名な防災セットを販売している「各方面のメディアに登場! おしゃれで高機能な防災セットLA・PITAシリーズ」のベビータイプを基に、備品の有無を確認した結果について、紹介します(2020年12月時点[ラピタプレミアム1人用][SHELTER FAMILYベビータイプ]で検証)。

 ※2020年12月時点で、[SHELTER FAMILY ベビータイプ]又は[ラピタプレミアム1人用]に含まれているものには、「◎印」、少し不安なあるものには「○印」、含まれていないものには「×印」を付けています。

 ※横方向にスクロール可能。保管場所や必要数は、災害の種類やご家庭の状況によっても異なる為、必要に応じて見直して活用ください。

乳幼児のいる家庭に必要な防災グッズ一覧
名称 必要数 保管場所 避難バッグ 自宅ストック ラピタプレミアム SHELTERベビータイプ 備考
ハザードマップ 1個/人 常時携帯 × × 地域のものを印刷して
避難ルート図 1個/人 常時携帯 × × 避難ルートは第3候補まで
緊急連絡先 1個/人 常時携帯 × × 家族構成、顔写真、連絡先等を記載
プライバシーシート 1個/人 常時携帯 × × 病気やアレルギーの有無、血液型等を記載
携帯用スマホ充電器 1個/人 常時携帯 ◎(発電式) ◎(発電式) 乾電池か発電式がオススメ
懐中電灯 1個/人 常時携帯 ○(発電式) ○(発電式) 両手が使えるヘッドライトならなお良い
大音量ホイッスル 1個/人 常時携帯 停電時でも見つけやすい蓄光タイプがオススメ
防災用七つ道具 1個/人 常時携帯 小型の缶切り、ナイフなど。簡易的なものは100均でも入手可能
健康保険証・母子手帳(写し) 1枚/人 常時携帯 × × できる限り最新の状態に
防災バッグ 1個/人 自宅、勤務先など 人数分 大容量かつ夜間の避難に備えて反射板のあるものを選ぶと良い
ラジオ 1個/世帯 避難バッグ 1個 ◎(発電式) ×
非常食(軽食) 3食/人(※1) 避難バッグ 3~4日分 ○(1袋) ○(3食分) 火を使わずに食べられるクッキー等を中心に
非常食(栄養) 3食/人(※1) 避難バッグ 3~4日分 ○(3食分) × 火を使わずに食べられる缶詰やアルファ米を中心に
常備食 3食/人(※1) 自宅 1週間分 × × パスタやお米、野菜などの日常で使う食材を多めに
栄養補助食品(大人用) 1ヵ月分/人 避難バッグ 1か月分 × × サプリメント等
栄養補助食品(子ども用) 1ヵ月分/人 避難バッグ 1か月分 × × フォローアップミルク等
カセットコンロ・燃料缶 15~30本/世帯 自宅 1か月分 × × 1本で約60分。可能な限り多めに確保すると良い
飲料水 3L/人(※1) 避難バッグ+自宅 1~2日分 1週間分 ○(1.5L分) ○(2.5L分)
携帯用給水タンク 1個/人 避難バッグ 人数分 給水所で給水してもらう際に必要に
使い捨て食器類 3食分/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1週間分 ○(非常食とセット) ×
糖尿病・アレルギー等の適応食 3食/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1か月分 × ×
液体ミルク 3~5食/人(※1) 避難バッグ 3~4日分 × × 加熱せずに使える為、避難初期にオススメ
粉ミルク 1ヵ月分/人 避難バッグ+自宅 1か月分 × × 保存場所が少なくて済む為、復旧中にオススメ
携帯湯沸かし 3~5食分/人(※1) 避難バッグ 3~4日分 ○(3回分) ○(5回分) 火を使わずに沸騰させられるものがあると便利
哺乳瓶・紙コップ 3~5食分/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1か月分 × ○(4回分) 哺乳瓶は紙コップでも代用が可能
離乳食 2~3食/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1週間分 × × 月齢に合わせて前もって購入⇔消費を繰り返すと良い
体拭きシート 1パック/人 避難バッグ 3~4日分
ドライシャンプー 1パック/人 避難バッグ 3~4日分 ×
携帯(簡易)トイレ・防臭袋 3~5回分/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1週間分 ○(3回分) ○(3回分) 自宅トイレ用の防臭粉なども活用すると良い
ティッシュ(トイレ) 3~5回分/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1か月分 ○(3回分) ○(3回分)
紙おむつ・防臭袋 5~10回分/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1か月分 × ×(防臭袋15枚のみ)
おしり拭きシート 5~10回分/人(※1) 避難バッグ+自宅 3~4日分 1か月分 × ○(1袋)
目隠しポンチョ 1枚/世帯 避難バッグ プライバシーテントもオススメ
除菌ジェル・スプレー 1本/世帯 避難バッグ 3~4日分 1か月分 × × 感染症対策に
マスク・マスク消毒薬 1枚/人 避難バッグ 3~4日分 1か月分 × × 感染症対策に
生理用品 1周期分/人 避難バッグ 7~14日分 1か月分 × ×
常用薬(大人用) 必要に応じて 避難バッグ+自宅 必要に応じて 必要に応じて × × 肌ケア等も必要に応じて
頭痛薬等の常備薬(大人用) 必要に応じて 避難バッグ+自宅 必要に応じて 必要に応じて × ×
常用薬(子ども用) 必要に応じて 避難バッグ+自宅 必要に応じて 必要に応じて × × 肌ケア等も必要に応じて
頭痛薬等の常備薬(子ども用) 必要に応じて 避難バッグ+自宅 必要に応じて 必要に応じて × ×
救急セット 1セット/世帯 避難バッグ 3~4日分 ○(消毒薬なし) ○(消毒薬なし)
歯ブラシ・口腔ケア(大人) 1本/人 避難バッグ 人数分 1か月分 ○(歯磨きシートのみ) ×
歯ブラシ・口腔ケア(子ども) 1本/人 避難バッグ 人数分 1か月分 ○(歯磨きシートのみ) ×
ビニール袋 1セット/世帯 避難バッグ 3~4日分 1か月分 × × 大きめのサイズなら、雨具やシートにも使えて便利
下着・肌着 1セット/人(※1) 避難バッグ 3~4日分 ×(圧縮袋あり) ×(圧縮袋あり)
上着 1着/人 避難バッグ 人数分 × ×
レスキューシート(断熱シート) 1枚/人 避難バッグ 人数分
毛布・タオル・寝袋 1枚/人 避難バッグ 人数分 ◎(寝袋) ◎(毛布)
エアーマット・銀マット 1枚/人 避難バッグ 人数分 ○(エアーマット) ○(エアーマット) 万が一の破れに備えてマットもあると良い
使い捨て防水シート 1パック/人 避難バッグ 3~4日分 × × 子どものおねしょ対策
雨具(レインコート) 1枚/人 避難バッグ 人数分 ○(少し不安あり) ○(少し不安あり) 実際に使って問題がないもの(サイズ、丈夫さ等)がオススメ
アイマスク・耳栓 1セット/人 避難バッグ 人数分 ○(少し不安あり) × 実際に使って問題がないもの(耳の痛み等)がオススメ
眼鏡・補聴器等 必要に応じて 避難バッグ 必要に応じて × × 普段コンタクトの人は要注意
リラックスグッズ 1個/人 避難バッグ 人数分 × ×

 ※1:1人1日当たりの必要数量を記載している為、想定される避難(被災)日数に合わせて増減させてください(必要数×日数=備蓄数)。

 一見すると、「防災セットって全然網羅できていない!」と思われるかもしれませんが、これだけ多くの防災対策の中から"誰にでも最低限は必要"なものをセットにしてくれている、とも言えます。

 自分たちだけで全ての防災グッズに対して、「品質」「日持ち」「安全性」などを確認しながら準備することは本当に大変です。

 その為、まずは防災セットを購入することで災害について考える機会を持ち、それから足りないものを自分たちで揃えていく、といった流れがオススメです。

  • 【防災グッズ(ラピタ)を利用するメリット】
  • ・防災士監修のセットになっており、素人でも安心できる
  • ・防災安全協会推奨の防災リュックが採用されている
  • ・多数の防災対策の負荷を軽減してくれる
  • ・災害について考える機会を持つことができる

2-2.避難生活を短期と長期に分けて準備する

 また、避難生活は"短期"と"長期"に分けて準備する必要があります。

 一般的に、防災バッグに入れておくものは"短期"の避難生活を想定したものであり、それ以降は、自治体の支援や自宅の備蓄などに頼ることになります。

 大規模な災害では、国や自治体の支援が到達するまでに時間がかかることが想定される為、可能な限り、自宅の被災リスクを下げ、自宅の備蓄で生活できるように準備しておくことが望ましいでしょう。

 なお、「首相官邸HP:災害に対する家庭での備え」においても、ローリングストック(定期的に消費⇔補充を繰り返しながら備蓄する方法)等を活用して、最低でも1週間分の食料を確保することが推奨されています。

 どうしても自宅の被災リスクを下げることができず、自宅の備蓄を利用できない可能性が高い場合は、近隣の勤務先や車、倉庫なども活用すると良いかもしれません。

2-3.防災バッグに詰める場合は使用期限に注意する

 いざ災害時に「使用期限が過ぎていて使えなかった」「マットが破れていて膨らまなかった」「消費期限を大幅に過ぎて食べられなかった」といったことが良くあるそうです。

 その為、「防災バッグの食料を定期的に消費して再補充する」「年に1~数回、避難訓練を想定して防災備蓄で生活してみる(グッズを使い、食料を消費する)」ということが推奨されています。

 日々の忙しい中で、避難訓練を試すことはなかなか難しいかもしれませんが、できる限り、防災バッグは目に見える場所に保管して、定期的に中身を確認する習慣を作ると良いでしょう(例えば、大掃除に合わせて入れ替え等)。

2-4.日用品や常備品の管理を見直して活用する

 また、内閣府も推奨しているローリングストック法(定期的に消費⇔補充を繰り返しながら備蓄する方法)を適切に回す為には、日用品や常備品の管理を見直すことも欠かせません。

 例えば、毎日食料品を買い出しに出ている家庭や、日用品(ティッシュ等)が無くなってから買い出しに出ている家庭は、要注意です。自宅の備蓄数が「1週間分(消費)→1日分(補充)→1週間分(消費)→…」となっている場合は、補充回数を細かくするか、備蓄数を増やすことで、最低備蓄数を増やすことが望ましいでしょう。

 具体的には、「1週間分(消費)→3日分(補充)→1週間分(消費)→…」や「2週間分(消費)→1週間分(補充)→2週間分(消費)→…」とすることで、常に一定数の備蓄を維持できるように管理を見直すことが望ましいと考えられます。

 必要な数量や期間は、各家庭のリスク等によっても異なりますが、日常の備蓄数を増やすことは、容易かつ効果の高い防災対策です。

 防災バッグなどの「特別感のある対策」だけでなく、日用品や常備品の管理を見直す「日常の対策」も進めておくと良いでしょう。

 なお、頻繁な買い出しが難しい場合や忘れやすい場合は、「楽天市場」や「天然水のウォーターサーバー【コスモウォーター】」等の定期お届けを活用すると便利です。

3.災害はいつ起こるか分からない!

 最後に、災害はいつ起こるか分からないものです。日常生活を送っている中では、災害について考える機会も多くない為、災害について興味を持った"いま"から防災対策を進めるべきだと言えます。

 特に、小さな子どもや赤ちゃん、乳幼児がいる家庭では、自分たちでできる防災対策を十分に取っておくことが重要です。

 「各方面のメディアに登場! おしゃれで高機能な防災セットLA・PITAシリーズ」等を活用しながら、ご家庭の防災対策を見直してみてはいかがでしょうか。