【実体験】赤ちゃんが可愛くないと感じる母親と父親の心理【新生児】
待ちに待った赤ちゃんが誕生したものの「あれ?思ったより可愛いと思えない…」「周りの人が言っていたような愛らしさを感じられない…」と、自分の母性(父性)に疑問を持つことがあります。
赤ちゃんを活力に「仕事を頑張れる」「何でもできる」というような方もいますが、生まれたばかりの赤ちゃんに対して心の底からそのような感情を持つことは、むしろ珍しいのかもしれません。
周囲に母性(父性)の無さを感じ取らせない(良い母親や父親だと思われる)為に、「本当にかわいいですよ~」なんて思ってもいない嘘をつく方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、そのように赤ちゃんを心の底から可愛いと思えない母親や父親の心境について、実体験を踏まえながら紹介していきます。
1.赤ちゃんが可愛くないと感じた筆者の実体験
冒頭では他人事のように記載しましたが、筆者自身も第一子誕生時には、あまり赤ちゃんを可愛いと思えない日々が続きました。
筆者の場合は、「可愛くない」というよりも、正確には「可愛い!」という溢れ出る感情があまり無かった、と言う方が正しいかもしれません。
1-1.生まれた瞬間は可愛いと思えなかった
筆者は、運よく出産に立ち会うことができましたが、その生まれた瞬間の赤ちゃんを見た率直な感想は、「なんか色々とすごい…」というものでした。
良く「神秘的なものを感じた」「母子の努力に感動した」というような感想を耳にしていたので、そういった感想が自然と出てくるものだと思っていましたが、現実は違っていました。
そのような神秘的な感情よりも、命の怖さや責任の重さの方をより強く感じたのです。
しかも生まれたばかりの赤ちゃんは、文字通り真っ赤で、皮脂が大量についていて、肌はカサカサしてて、毛が濃くて、色々とイメージと違う見た目が重なり、衝撃を受けたことを覚えています。
どの状態が正常なのか、どのように変化していくのか、そういった基本的な知識が無い為、「この見た目で大丈夫なのか…」という不安もありました。
つまり、筆者の場合は、生まれた瞬間の「可愛さ」よりも、自らの自覚や知識の無さから湧き出る「責任の重さ」と「不安」の方が大きかったのだと思います。
1-2.寝ても起きても可愛いと思えなかった
また、新生児の頃は、2時間おきの授乳と頻繁なオムツ交換、慣れない寝かしつけに常に追われている為、赤ちゃんの可愛さを感じているような余裕はありませんでした。
赤ちゃんが起きている間は、慣れない対応に追われ、赤ちゃんが寝ている間は、情報収集や家事、日常生活に追われる為、「可愛いなぁ」なんて感慨深くなる余裕が無かったのです。
さらに、授乳や寝かしつけ等、一つ一つの行動が本当に合っているのか、という不安は常に感じていましたし、命の危険と隣り合わせである緊張感もありました。
何から何まで初めての経験で、初心者同然であるにもかかわらず、背負っている責任だけは非常に大きいのです。
そのうえ、起きている時間はほとんど泣いているかボーっとしているだけで、赤ちゃんの感情を読み取ることもできません。
ふとした瞬間に少しだけ可愛いと感じる場面もありましたが、見た目はイメージと異なっていますし、感情を読み取ることもできない為、基本的には何を根拠に可愛いと感じれば良いのか分からない状態でした。
そのような責任と重圧、忙しさの中で「可愛さ」を感じているような余裕が無いことは、むしろ当たり前のことなのかもしれません。
1-3.成長してもそこまで可愛いと思えなかった
そこから1ヵ月、3ヵ月と少しずつ成長していきますが、それでもあまり可愛いと思える場面は多くありませんでした。
筆者の場合は、第一子の誕生と仕事の繁忙期が重なった為、成長を実感する機会がほとんどなかったことも関係しているのかもしれません。
非常に恥ずかしい話ですが、土日以外の育児はほとんど妻に任せっきりで、土日の育児も遊びとオムツ交換、沐浴程度だった為、子どもとの関わりが少なかったように思います。
どんどん育児に慣れていく妻に対して、ほとんど育児に関わっていなかった筆者は、「妻のサポート役」という立ち位置となってしまい、本当の意味での父親としての自覚が足りていなかったのです。
少し話はそれてしまいましたが、赤ちゃんと関わる時間が短かった分、心の底から可愛いと感じる場面もほとんどなかったのです。
1-4.徐々に可愛いと思う場面が増えた
そういった日々が続いていましたが、6ヵ月、1歳へ成長していくにつれて、徐々に赤ちゃんがいる生活に慣れていきました。
また、赤ちゃんの方も少しずつ笑うようになったり、泣き方に感情が出てきたりと、感情を表に出すようになってきます。見た目も当時イメージしていた赤ちゃんに近い見た目になってきます。
「自分たちの身体的&精神的な余裕」と「赤ちゃんの成長」が重なり、この頃くらいから徐々に可愛いと感じる場面が多くなったように思います。
1-5.可愛いと可愛くないを行ったり来たり
それでも子育てにはいくつものステージがあり、思い通りに進まないことがたくさんあります。
「言葉が伝わらない→言葉が伝わる→伝わるけど聞かない→」というように、自我の芽生えと共に、行ったり来たりするものです。
イヤイヤ期などのように、わがままになることは、自我が芽生えていることの証明でもあり、決して悪いことではありませんが、度が過ぎると可愛くないと感じる場面もあります。
成長して一人の人間になっていくにつれて、可愛いと感じる瞬間もあれば、可愛くないと感じる瞬間もあります。
おそらく、どんな家庭でも同じように経験しているはずです。むしろその方が人間らしいのかもしれません。
1-6.第二子誕生以降は可愛いと思う場面が増えた
ここまでの体験だけを見ると、「ずっとかわいいと思えないのか…」と感じてしまうかもしれませんが、筆者の場合は、第二子誕生以降は、可愛いと感じられる場面が多くなりました。
その背景には、筆者が長期育児休業を取り、育児に多く関わるようになったことも関係しているかもしれませんが、何よりも、第一子の時よりも育児に慣れていることで、我が子の成長を楽しむ余裕があったからだと思います。
いま振り返ってみると、慣れない生活環境や子育てに追われる中で、赤ちゃんの可愛さを感じるような心の余裕が無かったのかもしれません。
筆者の家庭では、「心の余裕の無さ」が主な原因だったのかもしれません。
2.赤ちゃんが可愛くないと感じる瞬間とその心理(母親)
ここまで紹介した、筆者(の家庭)の実体験や周囲の体験談を基に、赤ちゃんが可愛くないと感じる瞬間とその心理について、より深く考えてみます。
2-1.泣いている瞬間の印象が大きい
まず第一に、新生児が泣いている=「オムツか授乳」のいずれかである可能性が高く、泣いている=自分が何らかの行動をしなければいけない、という方程式が頭の中で自然と成り立ちます。
また、赤ちゃんの「泣く」という行為は、それ以外に欲求を伝える方法が無いことによって起きる行動だと考えられますが、人間の心理としては、「泣く=悲しい」と無意識に受け取ってしまいやすいものです。
つまり、「我が子が悲しんで、何らかの助けを求めてきている」と感じる場面が多くなり、その頻度が多くなってくると、泣き声に追い詰められてしまうことがあります。
新生児の頃は、「ありがとう」なんて言葉で伝えてくれることは絶対にありませんし、表情や声から「楽しい」や「嬉しい」といった感情を読み取ることもできません。
自分は睡眠時間や生活時間を削って対応しているのに、返ってくる感情は「悲しい」ばかりでは、可愛くないと感じて当たり前なのかもしれません。
実際には、安心した表情や落ち着いた表情を読み取ることもできますが、慣れない生活に追われていると、そういったかすかな感情表現を見逃してしまうこともあるでしょう。
2-2.皮膚感や顔が想像と違っている
また、新生児の頃は、オムツのCMや表紙に出ているような赤ちゃんの見た目をしていません。
乳児湿疹と言われる湿疹が出やすかったり、季節や体質によって乾燥してガサガサになっていまうこともあります。
出産前にそういった見た目に関する情報を知る機会はほとんど無く、「もちもちツルツル肌」を想像している方も少なくないでしょう。
そういった想像と異なった見た目をしていることで、「イメージと違う…」というネガティブな印象を持ってしまうこともあるかもしれません。
基本的には、病院で受診してしっかりケアを続けていけば、イメージしていた「もちもちツルツル肌」が手に入る可能性は高いと考えられますが、一時的には可愛くないと感じてしまうこともあるでしょう。
2-3.何もかも思い通りにいかない
また、慣れない育児がイメージ通りに進むことはほとんどなく、思い通りに進まないことを子どもに八つ当たりしてしまうこともあります。
理想の母親(父親)像には程遠いことが多く、大きな挫折を味わうことになります。
あまり挫折を経験していない現代の親世代には、思い通りに進みにくい子育てが苦痛だという指摘もあります。
そもそも初心者同士(赤ちゃんは世の中の初心者、親は子育て初心者)で生活していることを踏まえれば、うまくいかなくて当たり前ですが、それでも苛立ちや無力感が募ってしまうものです。
「泣いている我が子を温かく抱っこしてあげられるはずだったのに…」なんて自分を責める方もいます。
しかし、昼夜関係なく2時間に1回泣き出す赤ちゃんを、毎回のように温かく抱っこするなんてことは、簡単なことではありません。
疲れて意識がもうろうとする中で抱っこすることもあれば、体調不良で抱っこが遅れてしまうこともあって当然です。
ましてや母親ひとりで授乳から寝かしつけまでしているのであれば、健康に生きているだけでも十分に素晴らしいことだと自分を褒めてあげてほしいものです。
話がそれてしまいましたが、このように心身共に追い詰められた状態が、赤ちゃんを可愛くないと感じさせている場合もあるでしょう。
2-4.産前の楽しみをほとんど奪われてしまう
また、2時間に1回の授乳や産後の体力低下から、産前の楽しみをほとんど奪われてしまう方も多いでしょう。
慣れないうちは、決まった時間に好きなテレビを見ることすらままなりませんし、産前のように買い物や飲み会に気軽に出かけることもできなくなります。
出産(我が子の誕生)を機に、楽しみだけでなく、当たり前の日常生活すら奪われてしまい、「楽しくなくなったのは赤ちゃんのせいだ」というように、赤ちゃんに矛先を向けてしまうこともあるかもしれません。
もちろんそれは産後2~3ヵ月までの期間だけですが、子どもがどのように成長していくか経験していない親にとっては、永遠にも感じるような辛さがあるものです。
また、父親がほとんど育児に協力しない場合は、産後2~3ヵ月だけでなく、しばらくの間は自分の時間を過ごすことができないかもしれません。
このように、「楽しいことを全て奪い去ったのは、赤ちゃんだ」と考えてしまうと、どうしても赤ちゃんを可愛いとは思えなくなってしまうでしょう。
2-5.不都合があるたびに赤ちゃんを原因にしてしまう
父親が育児休業等を利用していない場合、家の中には母親と赤ちゃんだけという状況が長く続くことになります。
そうすると、「料理がおいしくできなかった」「移動時に慌てて足の小指をぶつけた」といった不都合があるたびに、「赤ちゃんが泣いて時間に余裕が無かったから」と赤ちゃんを原因にしてしまいやすくなります。
ここまで顕著な例は多くないかもしれませんが、閉鎖的な空間では、「自分以外の誰か=赤ちゃん」となってしまう為、何かと赤ちゃんに八つ当たりしやすくなることが考えられます。
赤ちゃんを原因とする考え方が続くことで、赤ちゃんを可愛いと感じられなくなってしまっているのかもしれません。
3.赤ちゃんが可愛くないと感じる瞬間とその心理(父親)
続いて、父親目線で赤ちゃんが可愛くないと感じる瞬間とその心理について、紹介します。
なお、本記事における父親目線とは、あくまで稼得責任を負っている(仕事>育児となっている)男性目線を前提として記載しています。
3-1.授乳中心で赤ちゃんと接する時間が少ない
まず第一に、完全母乳育児を貫く場合、新生児の頃の男性の出番は非常に少なくなります。オムツ交換や寝かしつけ、沐浴の出番はありますが、多くの時間を抱っこで過ごしている(授乳している)母親と比較して、赤ちゃんの変化に気付きにくく、育児チャンスを逃しやすいものです。
ミルク混合やミルク育児の場合でも、育児休業をしていなければ、必然的に赤ちゃんと接する時間は母親よりも短くなります。
また、仕事の負担が大きい方であれば、夜間の授乳(ミルク含む)も産後休業中の妻に任せてしまうことも多く、赤ちゃんと接する時間はさらに短くなります。
赤ちゃんと接する時間が短いことで、父親としての実感がわかず、赤ちゃんを可愛いと思えない状態を招きやすいと考えられます。
3-2.命を預かる不安から母親に責任を押し付けてしまう
また、赤ちゃんと接する時間が短いことで、生まれた頃の「抱っこするのが怖い(命を預かるのが怖い)」といった感情が抜けきらず、どんどん母親に任せがちとなります。
授乳の経験を経て、少しずつスキルアップしていく母親に対して、合間のオムツ交換や沐浴、少しのミルクしか経験していない父親のスキルは非常に低くなります。
「何となく育児はやっている」と思っている反面、命を預かるような重大な責任(予防接種や健康管理等)は、母親に押し付けてしまっているケースも多くあります。
重大な責任を背負っていない分、子どもに対する目配りが不足しやすく、心の底からの赤ちゃんに対する興味がわいていない状態になっている可能性も考えられます。
3-3.生活の中に育児が組み込まれていない
前述のように母親と父親の責任感や育児スキルに大きな差がついてくると、父親の生活の中に育児が組み込まれにくくなります。
例えば、「今日は会社の飲み会があるから遅くなる」「今週は忙しいから残業が多くなる」というように、仕事を理由に平気で育児責任を母親に押し付けるようになります。
本来であれば、「沐浴は私の責任だから〇時には絶対に帰る」「予防接種は私の責任だから○日は絶対に休む」というように生活に組み込まれるべきですが、前述したように「できる時はやる」というサポート役のような立ち位置になってしまうことがあります。
育児に対する責任感が無い=父親としての自覚が芽生えていない、ということであり、「我が子」という視点で赤ちゃんを見えていないのかもしれません。
3-4.赤ちゃんの成長を実感する機会が少ない
このような背景から、父親は赤ちゃんの成長を実感する機会があまりありません。
「ハイハイした」「笑ってくれた」「つかまり立ちした」というような成長は見えますが、立てるようになるまでの苦労や努力を見ていませんし、妻を経由して知ることが多い為、その感動はあまり大きくありません。
育児に苦労していれば苦労しているほど、一つ一つの成長を嬉しく感じるものですが、あまり苦労していない父親からすれば、「立てるようになるのは当たり前なんだよね」という程度にしか感じられないこともあります。
育児に向き合いすぎて赤ちゃんの可愛さを感じにくい母親に対して、育児にほとんど向き合っていないことで、赤ちゃんの可愛さを感じにくいのが父親だと言えるかもしれません。
場合によっては、母親と父親の立場が入れ替わる可能性もありますが、いずれにしても「向き合いすぎ」も「向き合ってなさすぎ」も赤ちゃんを可愛いと思えない原因になる、ということが分かります。
3-5.母親の苛立ちを代弁している(苛立ちの伝染)
また、少しイレギュラーなケースとして、妻への愛情が強すぎるあまり、赤ちゃんに対して嫌悪感を感じてしまうケースも考えられます。
具体的には、「赤ちゃんが頻繁に泣く→妻が疲れる(又は苛立つ)→妻が疲れるのは赤ちゃんのせい」というように、赤ちゃんに矛先が向いてしまう場合があります。
また、「赤ちゃんが頻繁に泣く→妻が赤ちゃんの相手をする→自分と妻の時間がない」という嫉妬心から、赤ちゃんを可愛いと感じられなくなってしまうケースもあるようです。
いずれの場合でも、"父親"としての自覚が足りていないことが根本的な原因だと考えられますが、「妻への愛情」が強いことを証明するものでもある為、取り扱いが少し難しいケースだと言えるかもしれません。
4.赤ちゃんが可愛くないと感じる時の対処法
ここまで様々な家庭が抱える「赤ちゃんが可愛くないと感じる」悩みを紹介してきました。
こういった悩みを抱える家庭に対して、「赤ちゃんが可愛くないなんて異常だ!」と騒ぎ立てる人たちもいますが、実際に育児を経験した人たちの多くは、「分かる分かる」と共感しているものです。
そこで、そういった悩みを乗り越えた各家庭が、どのように「赤ちゃんが可愛いと思えない問題」に対処していったのか、紹介します。
4-1.原因は人それぞれであることを認識しよう
まず大前提として、今回紹介した通り、「赤ちゃんを可愛いと思えない原因は人それぞれ」であることは間違いありません。
子育てをしている環境や自分の心境、産前の趣味や経験等、様々な要因が絡まり合って、「可愛くない」という気持ちが生み出されていると考えられます。
例えば、「慣れない育児に追われて心の余裕が無い」「自分の子どもという実感がない」といった原因が考えられます。
- 【可愛くないと感じる原因の具体例(主に母親)】
- ・慣れない育児に追われて心の余裕が無い
- ・好きな趣味や楽しみを奪われた辛さが大きい
- ・育児責任が強くのしかかって精神的な負担が大きい
- ・仕事やキャリアへの影響が心配で心の余裕が無い
- ・感情の起伏が無く(又は激しく)何もやる気が起きない(要受診)
- ・出産の疲労と睡眠不足でイライラしている
- ・赤ちゃんの泣き声ばかりが印象に残っている
- ・今まで通りの生活をする夫にもイライラしている
- 【可愛くないと感じる原因の具体例(主に父親)】
- ・赤ちゃんと関わる時間が極端に短い
- ・自分の子どもという実感がない
- ・赤ちゃんとの関わり方が分かっていない
- ・大切な妻を苦しめている嫌悪感を感じている
- ・妻との時間を奪われた嫉妬心を持っている
- ・赤ちゃんよりも趣味や仕事に関心が向いている
このように「可愛くないと感じる」感情は同じでも、その原因となっている環境は大きく異なっていることが分かります。
4-2.気持ちを整理できる原因を探そう
問題を解決する為には、まずはその原因(可愛くないと感じる原因)を把握しなければいけません。
初めから原因を特定することは難しい為、前述した原因例を活用しながら、まずは"自分の気持ちを整理できる原因"を見つけていきましょう。
原因が分かるだけで気持ちに余裕ができることもあるかもしれません。
なお、「そもそも子どもが好きじゃない」等というような抽象的な原因を挙げてしまう方がいますが、このような原因では、気持ちを整理することができません。
人間の様々な感情(好き嫌い)は、過去の経験や知識を基に生まれていると考えられます。
例えば、「子どもが好きじゃない」という気持ちを例にすれば、「場所を問わずうるさい」「落ち着きがない」「自分に懐かない」等といった、子どものネガティブな部分が強く印象に残っているのではないでしょうか。
もしもそうであれば、「子どもが好きじゃない」のではなく、「場所を問わずにうるさい人が好きじゃない」というように、原因を細分化することができるはずです。
「子どもが好きじゃない」という原因では、子どもと関わらないようにする以外に、解決方法がありませんでしたが、「場所を問わずにうるさい人が好きじゃない」と細分化することができれば、TPOをしっかりと教えていくことで解決できるようになります。
その他、「慣れない育児に追われて心の余裕が無い=慣れてくれば解決するはず」「自分の子どもという実感がない=主体性を持って育児すれば実感して解決できるはず」というように、自分の中で納得でき、解決策のある原因を探していきましょう。
4-3.誰かに相談する気力と勇気を出そう
本記事を読んでいる時点で、そういった原因分析を考える余裕が無い、または考えたくない、という方は、できる限り早く、保健所や医療機関に相談した方が良いかもしれません。
現時点では、「自分の力で何とかしよう」としてネットで調べる気力は残っているはずですので、その気力を振り絞って、保健所や医療機関に相談してみてください。
このままどんどん気力が失われてしまうと、産後うつ(又は育児うつ)状態となり、誰かに相談する気力すらなくなってしまう懸念があります。
できれば身近な窓口で相談することが望ましいですが、匿名で相談したい場合は、公的機関に相談してみると良いでしょう。
4-4.無理に可愛いと思う必要が無いことを知ろう
また、そもそも「可愛い」という感情は、人それぞれ異なっていますし、単なる一つの感情でしかありません。
女子高生がなめこやハゲたおじさんを見て可愛いと言うように、可愛いという言葉ひとつにも、様々な意味合いが含まれています。
例えば、ハムスターを見て可愛いと思う人も居れば、気持ち悪いと思う方がいるように、誰もが我が子を可愛いと思わなければいけない、というような決まりはありません。単に、可愛いと感じる人が多い、というだけです。
但し、法律上は、子どもが可愛くても可愛くなくても、同じように心身ともに健康に育てていく義務(責任)があります。
可愛いと思えないからといって、育児を放棄したり、子どもを捨てたりできるわけではありません。同じように愛情をもって育てなければいけないことに変わりはないのです。
ただ、少なくとも20年間は子育てを続けなければいけないことを踏まえれば、「楽しくない」と思いながら続けるよりも、「楽しい」と思えるように気持ちを切り替えながら続けていった方が良い、というだけなのです。
4-5.「可愛い=愛情が深い」ではないことを知ろう
なお、我が子のことを可愛いと感じている=愛情が深い、と勘違いしやすいですが、決してそのようなことはありません。
そもそも赤ちゃんも一人の人間であり、可愛い一面があれば、可愛くない一面もあって当然のことです。
裏を返せば、赤ちゃんのことを一人の人間だと認識している(自分の物だと思っていない)人ほど、可愛いと感じられない可能性も考えられます。
自分のおもちゃのぬいぐるみはいつ見ても可愛いかもしれませんが、子どもはおもちゃではなく、自分の意思を持って行動します。
その行動は、親の行動だけでなく、テレビや保育園、その他の場所で体験したものを基に構成されていると考えられる為、必ずしも理想的な行動ばかりになるわけではありません。
それらの行動全てに対して「可愛い」と感じることは、むしろ現実的ではないでしょう。
結局のところ、赤ちゃんに対して「可愛い可愛い」と接する必然性はなく、1対1の人間同士として接すれば良い、というように気持ちを切り替えてみることも大切なのかもしれません。
4-6.接する時間減らすor増やすようにしてみよう
また、接する時間が多すぎて育児の負担が大きくなりすぎている場合は、相方や祖父母、ベビーシッター、保健所等に相談して、育児の負担を軽減することを考えましょう。
育児を抱え込んでしまっている方の中には、「一時的に誰かに預けて楽をするなんて親失格だ…」と考えてしまう方も多いですが、自分のメンタルや体調をケアできない親の方が親失格だと考えられます(そもそも親に失格も合格もありませんが…)。
1ヵ月や1年間の育児であれば、無理して抱え込んでも乗り越えられるかもしれませんが、20年間の育児を自分一人で抱え込んで乗り越えることは現実的ではありません。
早い段階で誰かに頼り、親自身の体調やメンタルをケアする手段を手に入れておくことが大切だと考えられます。
また、多くの場合、片方の親の接する時間が多くて負担が大きすぎる=もう一方の親の接する時間が短い、と言えるはずです。
その場合は、できる限り早い段階で、相方に相談し、育児負担の分散について、深く話し合うことも必要かもしれません。
「親の気持ち子知らず」ということわざがありますが、実際には「人の気持ち誰知らず」であることも少なくありません。
言葉にしなければ伝わらないことも多い為、できるだけ感情的にならず、冷静に話し合いを続けていくようにしましょう。
相方の仕事の負担が大きくて育児負担を分散できない場合は、育児制度(短時間勤務や所定外労働制限など)を一時的に利用するように促すと良いかもしれません。
5.子どもは必ず大きくなって巣立っていく
最後に、一部繰り返しになってしまいますが、子どもは必ず大きくなって親元を離れていきます。
「毎日のように理由も分からず泣き続けるような日々」「何を言ってもイヤイヤと喚かれる日々」「仕事と育児の両立で疲弊する日々」そんなつらい日々も全て有限です。
同じように、「初めて笑ってくれた日」「母の日(父の日)にプレゼントをくれた日」「家事を手伝ってくれた日」そんな幸せな日々も全て有限です。
例え、そんな生活をもっと続けたいと願ったとしても、子どもは日々成長して、大人になっていきます。
可愛いと思う日々も、可愛くないと思う日々も、どちらも期間限定であり、いつかは思い出に変わっていきます。
そう考えてみると、可愛いと思えない"今"も一つの思い出だと捉え、楽しんでしまった方が良いように思えてくるのではないでしょうか。
「どうすれば可愛いと思えるのか」「可愛くないと思っても良いのか」と思い悩む時点で、あなたの赤ちゃんに対する愛情は十分です。
もっと気楽に、もっと素直に、"今"の自分たちの経験をひとつひとつ噛みしめてみてはいかがでしょうか。
「あの頃は本当に可愛くなかったんだから~」と、笑いながら話せる日が来ることを願っています。