【必見】育休取得による同僚へのしわ寄せ!不満続出!どう防ぐ?

 育児休業を検討していても、上司や同僚に負担が掛かることを考えて諦めてしまうことも少なくありません。

 また、実際に育児休業を決断しても、上司や同僚へのしわ寄せに対する罪悪感から職場復帰しにくくなることもあります。

 実際に、「権利ばかり主張してずるい」「迷惑ばかりかけて役に立たない」といった言葉を浴びせられたという事例もあります。

 本記事では、そういった悩みを抱える方の事例と解消法を紹介しています。

1.育休取得による同僚へのしわ寄せ例

 まず、大前提として「育休による同僚等への負担」は、「会社の責任」であって「育休利用者の責任」ではありません。

 実際に、育児休業法においても「会社に残る社員のことも配慮すること」が、企業に対して義務付けられています。

 その為、育休利用者が同僚等への業務負担を極端に心配しすぎる必要はありません。

 しかしながら、その義務付けに対して理解が浅いことや、職場の配慮が足りていないことによって、多くのしわ寄せによる不満が発生していることも事実です。

 本項目では、そういった育休取得による同僚等へのしわ寄せ事例を紹介しています。

1-1.欠員補充が無く単純な負担増となっている

 育休取得による欠員の補充を行わずに、業務を継続しているケースがあります。

 実際に、「厚生労働省:令和元年度雇用均等基本調査」によると、50%以上の職場において、欠員補充を行わずに業務を継続したとなっています。

 常識的に考えれば、欠員が出たまま長期間運用すれば、他の同僚に負荷がかかることは明らかです。

 しかしながら、経営的な理由(補充する余裕が無い等)や、専門的な理由(専門職等で代替要員が見つからない等)によって、欠員補充がスムーズにできないケースもあります。

 結婚や出産をしない社員にとっては、それらをフォローする負担ばかりかかる為、逆マタハラ(逆パタハラ)という言葉も生まれています。

 単純に業務負担が残された社員に流れ、業務のしわ寄せが発生しているのです。

1-2.客先へ説明する負担が大きい

 業種によっては、客先に対して後任を連れて説明しなければいけないケースもあります。

 例えば、教員であれば、保護者や生徒に対して、営業であれば、客先企業やメーカに対して、医者であれば、患者さん等に対して、とどのような職種でも、関係者へ後任を連れていって説明した方が良いことは少なくありません。

 既存の業務をこなしながら、そういった余計な負担がかかる為、後任の負担感は大きくなります。

 客先と新たに信頼関係を築かなければいけませんし、残された社員の負担感は想像以上に大きいものです。

1-3.自分にしかできない業務の負担が大きい

 また、同僚へのしわ寄せの中で、唯一自分にも責任があるものとして、「属人化した業務の存在」があります。

 自分しかやり方を知らない業務が存在していると、引継ぎ時の負担が大きくなります。

 但し、そもそも「属人化した業務」は、会社にとって大きなリスクになるので、育休取得に関わらず、無くしていかなければいけません。

 この機会に、業務のやり方を可視化し、誰でもできる業務にしておくことをオススメします。

 いずれにしても、育休取得によって負担が増加している中で、さらに業務の可視化までしなければいけなくなると大変なので、可能な限り余裕のある内に取り組んでおくと良いでしょう。

2.育休取得による同僚へのしわ寄せ解消法

 まず大前提として、「育休取得は権利だから我慢して」と言ってしまえばそれまでかもしれません。

 しかしながら、現在の社会環境では、同僚の負担が増加することは事実ですし、その同僚にも人生がある(同じような年齢の子どもが居る等)ことを忘れてはいけません。

 例えば、その同僚にも「会社を辞める権利」があります。

 あなたの育休取得によって、同僚の望む働き方が阻害され、退社(転職)した場合、あなたは職場に復帰しにくくなるでしょう。

 お互いに権利を利用しただけですが、その権利主張によって、お互いに苦しむことになってしまうかもしれません。

 また、同僚に負担が掛かることは、「会社の責任」であることも事実ですが、「あなた自身もその会社を構成する一員」であることを忘れてはいけません。

 権利ばかりを主張をするのではなく、「人と人の関係」であることを忘れず、会社側があなたに配慮することと同様に、あなた自身も会社(同僚等)に対して、配慮することを忘れないようにしましょう。

2-1.引継ぎ資料を充実させる

 まずは、「自分の担当業務」や「自分にしかできない業務」の引継ぎ資料を充実させましょう。

 通常業務に加えて、引継ぎ資料を作成しなければいけない為、多少の時間外が発生するかもしれませんが、「残される人たち」のことを考えて、手を抜かず、しっかりと引継ぎ資料を作成する必要があります。

 「時間が無かった」「引継ぎ負荷が大きかった」等、様々な理由を付けて手を抜くと、同僚からの信頼感が損なわれることになる為、注意しましょう。

 反対に、「残される人たち」のことを考えて、努力して引継ぎ資料を作成していれば、上司や同僚からの信頼感を得ることができます。

 なお、育児休業を利用することによって不当な取扱いを受ける方の最も多い特徴として、「権利ばかり主張する」ことが挙げられます。

 自分の権利ばかり主張して、「残された人たち」に何も返していないようでは、"人として"協力してくれなくなります(いくら法律で決められていても、嫌いな人のために自分の負担を大きくしたくないですよね)。

相手(会社や同僚)からの配慮を求める前に、自分から相手に配慮することが重要と言えるでしょう。

2-2.早期に上司に相談し、体制を改善する

 続いて、育休取得の意向を早期に伝えておくことも大切です。

 具体的には、育休開始6か月前(安定期に入った直後)に伝えておくことで、欠員補充の調整がしやすくなります。

 なお、欠員補充については、会社側の責任である為、本来であれば育児休業取得者が口出しすることではありませんが、残る同僚への極端な負担増加が想定される場合は、「自分の欠員を補充なしで補うことはできない、誇りを持って取り組んでいたからこそしっかりと引き継ぎたい」と伝えると効果的です。

 筆者の例を挙げると、課長や部長クラスに相談した初期には、「欠員補充は上層部が許してくれない、職場内で分担する」と言われていました。

 しかし、筆者は数億円規模の重要プロジェクトをほぼ一人で担っていたこともあり、「職場内は皆、自分の業務で手一杯。補充なしで満足できる引継ぎはできない、責任と誇りをもって取り組んできた業務を、ろくに引き継がせてくれない会社のことは、今後信頼できない」と事業所長クラスに直談判したことで、最終的には欠員補充が認められました(私が希望したのは1人でしたが、最終的には1人では足りないと判断され、計3人要員補充されましたが…)。

 しっかりと業務を引き継ぎ、職場内の負担感を増加させないことは、職場にとって大切なことであり、会社にとっても利益になります。

 最終判断は会社側の責任である為、筆者のように干渉しすぎることは良くないかもしれませんが、たった一人の欠員補充をするだけで、職場内全員がハッピーになります。

自分のためではなく、職場に残される人たちのために、あなた自身が奮闘してみることで、その誠実さが伝わり、職場全体が味方になってくれるかもしれません。

2-3.育休前後に同僚の業務を肩代わりする

 「育休は権利だから、育休前後の業務負担が増えるのはおかしい」という理想を語る人は少なくありません。

 しかしながら、その理想論が成立するのであれば、「誰かが育休を取得したせいで、残業等の負担が増えるのはおかしい」という会社に残された側の主張も成立します。

 繰り返しになりますが、「負担増加は会社の責任だ」と主張したところで、体制が即時改善されるわけではありません。

 徐々に体制や仕組みが見直されている途中であり、その過渡期における理想と現実のギャップは、ある程度受け入れるしかありません。

 極端に業務を肩代わりするのではなく、「今日は〇〇の業務があって少し残業しそう」と言っている同僚に声をかけて代わってみる、代われなくても可能な範囲で協力する、といったことで味方を増やしておくことが効果的です。

「できないときにまで無理をする必要はない」ですが「できるときにしっかり協力する」ということを意識しておくと良いでしょう。

3.信頼関係が「しわ寄せ感」を「支え合い」に変える!

 最後に、今回紹介した解消法は、残念ながら直接「しわ寄せ」を解消するものではありませんが、「しわ寄せ」という感覚は「嫌いな人や興味のない人の業務を肩代わりする」ことで感じやすくなります。

 育休(申請)前からしっかりと同僚に力を貸し、信頼関係を作っておくことで「しわ寄せ」は「支え合い」に変わります。

 今回紹介したような解消法が必要ない世の中になることが望ましいですが、そのためには現代のような過渡期を乗り越え、育休取得を一般的にしていかなければいけません。

 育休取得には負担が掛かりますが、夫婦そろって育児協力する世の中を実現するためにも、一歩踏み出す勇気を出しましょう。