子どもの生活習慣の改善にも繋がる夫婦の生活改善!

 近年では、子どもの生活習慣が大幅に変化し、その変化によって学習の遅れや肥満といった問題が発生している、といった指摘があります。

 そこで、本記事では、子どもの生活習慣の乱れによって起きるデメリット、及び子どもの生活習慣の改善にも繋がる親の生活習慣を改善する方法について紹介します。

1.乱れやすい子どもの生活習慣例

 まずはじめに、近年、乱れていると指摘されている子どもの生活習慣について紹介します。

1-1.就寝時間が遅い(安定していない)

 まず第一に、「就寝時間の遅れ(不安定さ)」という子どもの生活習慣の乱れが指摘されています。

 文部科学省の資料によれば、平成初期には、22時以降に就寝する乳幼児の割合は、40%以下であったのに対して、平成中期には、50%以上まで増加しています。

 また、22時以降に就寝する赤ちゃんのいる家庭が、諸外国では10~20%代で推移しているのに対して、日本では40%以上となっています。

 睡眠リズムが乱れていることによって、日中に適切なリズムで覚醒できず、「遊びや体験が頭に入らない」「授業に集中できない」といったことが指摘されています。

 そもそも人間は昼行性の生き物であるとされており、夜間に起きていることで、成長ホルモン等のホルモンが適正に機能せず、正常な脳の発達を阻害する可能性もあります。

 実際に、5歳児に「三角形」を書かせた際に、睡眠リズムが乱れている5歳児は、正しく書けない場合があることが分かっているようです。

1-2.食生活リズムが形成されていない

 また、「食生活リズムの乱れ」という子どもの生活習慣の乱れも指摘されています。

 文部科学省の同資料によれば、小中学生の朝食欠食率が平成初期には、20%前半であったのに対して、平成中期には、20%後半まで増加しています。

 前述した睡眠リズムが乱れることによって、朝の食欲がわかず、朝食を欠食する割合が高まっているのかもしれません。また、朝食を欠食することで、日中に適切に覚醒できず、さらに夜型の生活リズムになってしまう悪循環に陥っている可能性も考えられます。

 「別に朝食を食べなくても困らない」と考えている方もいるかもしれませんが、朝食と学力には明らかに正の相関(朝食を食べる子の方が学力が高い関係性)があることを示唆するデータもあります。

 その他、朝食を食べない子どもの方が「何もやる気が起こらない」「イライラしやすい」「頭痛、腹痛などの体調不良を起こしやすい」といった負の傾向があることも分かっています。

 人間の適切な覚醒リズムに合わせて、学校生活が構成されている為、朝食欠食等によって覚醒リズムが乱れてしまうと、授業の習熟度や意欲が低下してしまうことは当然のことなのかもしれません。

1-3.運動習慣が形成されていない

 続いて、「運動習慣の不足」という子どもの生活習慣の乱れも指摘されています。

 特に、女性の運動習慣は、親世代の半分程度まで減少しているとされています。

 運動習慣以外に、食習慣なども影響している可能性は考えられますが、運動習慣の低下と共に肥満傾向児の出現率も増加傾向にあります。

 過度な運動不足は、子どもの生活習慣病や肥満を引き起こす可能性があるだけでなく、体力が十分に消費されない為、前述した睡眠時間の遅れや食生活の乱れが発生しやすくなる、といった指摘もあります。

 子どもにとって、「遊び(運動)」は生活習慣を築くために非常に重要なものであり、「単なる運動不足」と捉えてしまうと危険だと言えそうです。

2.子どもの生活習慣を改善する親の生活改善

 続いて、これら子どもの生活習慣を改善する為にできる親の行動について、紹介します。

 なお、前述したような生活習慣の乱れは、現代社会の変化(夜間まで営業している店舗の増加、テレビ放送等)に伴う親世代の生活習慣の変化が影響していると言われています。

 つまり、「子どもの生活習慣を改善する」=「親自身の生活習慣を改善する」と捉えることができます。

2-1.親自身の就寝時間を早める(安定させる)

 まず第一に、親自身の就寝時間を早めることから始めると良いでしょう。

 親自身の就寝時間が遅くなってしまう要因の中には、「残業が多くて帰宅時間が遅い」「日中は仕事で、帰宅後に家事をしている」「交代勤務で生活リズムが安定しない」等、気持ちだけで改善することが難しい理由もあるかもしれません。

 そういった場合は、育児制度等(残業制限など)を活用しながら、徐々に生活リズムを整える必要がありますが、少なくとも夜遅くまでスマホやテレビを見る、夜間に子どもを連れて外出する、といった親の意識で避けることができる行動は避けるようにすると良いでしょう。

 また、就寝時間を早める為には、「早く起きる」ことも欠かせません。

 既に夜型の生活リズムが形成されてしまっている子どもに対して、今日から突然「早く寝る」「早く起きる」ことは非常に難しいものです。

 そこで、まずは「早く起きる」ことができれば、「カレンダーにシールを貼れる」「好きなものを朝食で食べられる」といった子どもにとってのインセンティブ(奨励)を与えるようにすると良いかもしれません。

 筆者の家庭では、「まずは親自身が早く起きる」「好きな食べ物を朝食として準備する」ことを始めてから、自然と早く起きてくるようになりました。

 子どもが夜寝てから夫婦二人(又は自分一人)の時間を過ごすのではなく、子どもが朝起きる前に夫婦二人(又は自分一人)の時間を過ごすようになることで、ダラダラと夜遅くまでスマホを見ていることも無くなります。

2-2.家族全員で食事を取る

 また、子どもの生活習慣を正す為には、家族全員で食事をすることも大切だと言われています。

 文部科学省の調査によれば、子ども一人で食事をする家庭よりも、家族で一緒に食事をする家庭の方が、20~30%以上も朝食を毎日食べている割合が高い、といったデータもあります。

 夫婦のいずれかが交代勤務や早朝出勤である場合等、家族全員での食事が難しい場合でも、必ず誰かと一緒に食事を取るように見直すと良いでしょう。

 さらに、朝食だけでなく、夕食も家族全員で食べることが望ましいと考えられます。

 何故なら、夕食のリズムが乱れてしまうと睡眠のリズムも乱れてしまう可能性が高いためです。

 「毎日7時と19時に家族そろって食事をする」といったルールを決めることで、ダラダラと残業をする、友達と遊んで遅くなる、といった行動を避けることができるようになります。

2-3.親自身の休日の過ごし方を見直す

 また、子どもの生活習慣を正す為には、親自身の休日の過ごし方を見直すことも大切だと考えられます。

 具体的には、地域との交流を増やす、外出する機会を増やす、運動の時間や曜日を決める、といったことです。

 例えば、地域との交流が増えれば、必然的に地域のイベントや交流会に誘われる機会も増え、(嫌でも)外出する機会が増えることになります。

 地域の多様な人々と関わることは、子どもにとっても貴重な体験になりますし、いざというときに頼れる人を見つけることもできるかもしれません。

 なお、平日の仕事の疲れを癒すために、「朝は遅くまで寝ている」「外出せずにテレビをダラダラ見ている」といった習慣を持っている方も多くいます。

 一見すると、「平日の仕事を頑張った分の癒しの時間」というようにも思えますが、客観的に見れば、「仕事で体力を消耗して、休日に体力回復している」=「仕事中心の生活」のように見えます。

 大好きな仕事をしている一部の方を除けば、そのような「仕事中心」の生活は望ましいものとは言えないはずです。

 帰宅後や休日に子どもと接する時間がほとんどない方は、仕事と生活のバランスを見直すことも必要かもしれません。

2-4.業務や仕事の内容を見直す

 前述した「親自身の生活習慣を見直す」ためには、生活リズムを正すことができる業務(又は会社)に転換(又は転職)することも必要になってくるかもしれません。

 残業の多い職場(又は会社)で働いている場合、必然的に生活リズムが夜型になる可能性が高まります。

 特に、21時前後に親が帰宅するような家庭では、21時以降から親の夕食や入浴が始まる為、自然と就寝時間が23時以降になってしまいます。

 子どもが寝静まってからの帰宅であればまだしも、子どもが寝る時間の前後に親が帰宅することで、子どもの脳が刺激されて覚醒してしまうのです。

 各家庭毎に状況は異なると考えられますが、現在の生活リズムを、親の気持ちだけで変えることは容易ではないと考えられます。

 何故なら、今の生活環境では、現在の生活リズムがベストに近いと考えられるためです。

 その為、親自身の生活習慣を正す為には、育児制度等(残業制限など)を活用する、転職する、といった生活環境の改善が必要になる場合も多いでしょう。

3.子どもは親を映す鏡という自覚を持つ

 最後に、「子どもの生活習慣が乱れている」「子どもの生活習慣を正したい」といった"子ども"に焦点をあてた悩みを持つ方は少なくありません。

 しかし、その悩みは前述した通り、親自身の生活習慣の乱れが引き起こしている可能性が高いと考えられます。

 自分の子どもの頃を思い出した時に、「子どもは早く寝なさい」「テレビは〇時までにしなさい」といったことを親から言われるものの、「親は起きているのになんで自分だけ?」といった疑問を感じたことは無かったでしょうか。

 もしもそういった経験があるのであれば、親であるあなた自身の親も生活習慣が乱れていたのかもしれません。

 親の生活習慣が乱れていた原因は様々だと考えられる為、それ自体が悪いこととは言えませんが、自分が親から受けた育て方と同じような育て方(子どもだけ特別扱い等)を続けているだけでは、生活習慣が改善する可能性は低いと考えられます。

 自分たちの生活習慣を正すことができるのであれば、まずは"自分たち"に焦点をあてて、生活習慣を改善してみてはいかがでしょうか。

 その際には、企業に雇用されている(子どもを持つ)労働者であれば、誰でも活用することができる"育児制度"を活用してみることをオススメします。

 育児制度は法律で定められている為、法律の範囲内であれば、例え「会社の理解が無い」「会社に制度がない」と言った場合でも必ず利用することができます。

 詳細は、「男性が利用できる育児に関する制度!短時間や残業規制など」でも紹介していますので、そちらをご覧頂ければ幸いです。