【パパ必見】子育てにおける父親の役割とは?令和時代の役割分担!

 母親と父親で子どもの成長に与える影響が異なっているとされる研究は少なくありません。

 しかし、人間には理性がある為、幼少時代の人格形成における影響(昭和以前の「女は家庭」「男は仕事」とされる固定概念の影響)を切り離すことはできず、人間の母親と父親の本能的な差があるかは明らかとなっていません。

 また、現代社会においては、ジェンダー平等(男女平等)の考え方が当たり前になっており、「母親の役割だから」「父親の役割だから」という、性別によって役割を決めてしまうことは、不適切な世の中に変わりつつあります。

 つまり、もしもあなたが「父親の役割をやっておけば大丈夫だろう」と考えて、本記事にたどり着いたのであれば、その考え方自体が令和時代に適応できていないと言えます(ジェンダー平等は、持続可能な開発目標(SDGs)や男女共同参画社会基本法にて明らかにされており、日本国内だけでなく国際的にも常識となっています)。

 なお、少し話は変わりますが、育児において最も大切なことは「人間力」を育むことです。

本記事では、「内閣府:人間力戦略研究会報告書」を参考にしながら、令和時代においても通用する「父親の役割」について、紹介していきます。

1.令和時代に通用する父親の役割とは

 人間を除く他の生物においては、母親が子育て全般を行うことが多く、子育てにおける父親の役割は明確にされていない、と説明している本も少なくありません。

 同様に、昭和時代の固定的性別役割分担意識(「女は家庭」「男は仕事」)の名残から、「男らしさを見せる」「威厳を示す」といった役割が父親の役割だと説明されている場合もあります。

 しかし、これらは全て人間本来の本能的なことを示しているわけではなく、「人間が理性や過去の風習に基づいてそう判断している」だけでしかありません。

 昭和時代においては、性差による役割分担が当たり前だと考えられていた為、前述する父親の役割が認められていました。

 しかし、現代においては、性差による役割分担は不適切だと考えられるように変化しています。

 また、そもそも人間には理性があります。子どもにも同様に理性はあり、人間から理性を切り離すことはできません。

 つまり、"本能的な"父親の役割に固執することに、何ら意味がないと言えます。

 これらを踏まえた上で、"理性的"かつ"いかなる時代でも通用する"「父親の役割」について紹介したいと思います。

1-1.現代社会の常識を行動で示すこと

 まずは"父親"としてではなく"親"として、子どもが生きる時代の常識を教えてあげることは欠かせません。

 ここで言う常識とは、一般的なマナーやモラル、ルールのことであり、個人的な価値観で「こうあるべきだ」ということではありません。

 極端な例を挙げれば、「男性は女性を好きになるべきだ」というような価値観を教えるのではなく、「人の物を盗んではいけない」というようなルールを教えてあげることです。

 なお、個人的な価値観は時代によって変化していくことが考えられる為、そういった価値観を教える場合には、親自身の十分な理解と柔軟性が必要になります。

 例えば、人権問題ひとつをとっても、一昔前には地域や生まれによる差別は、"差別をしていて当たり前"でした。

 しかし、平成時代においてはそのような差別を"しなくて当たり前"に変化しました。

 同様に、平成時代においても性別や恋愛対象による差別(ジェンダー差別等)は"差別をしていて当たり前"でした。

 しかし、現代においてはそのような差別は"しなくて当たり前"に変化しつつあります。

 つまり、親自身(あなた自身)にとっては、当たり前だと教えられてきた価値観が、子どもが生きる時代では当たり前ではなくなることがあります。

 あなた自身がその変化をしっかりと把握し、"未来を見据えた常識"を子どもに伝えていかなければいけません。

 そして、親自身(あなた自身)が、お手本となって行動することを通じて、伝えなければいけません。

 参考までに、平成以前とは異なる現代社会において常識となるであろう(常識となっている)事例を紹介します。

  • 【近い将来における価値観の例】
  • ・性別に関わらず「仕事と家庭の両立」を実現している(夫婦共に活躍している)
  • ・父親も当たり前に育児休業といった育児制度を利用し、家庭(家事育児)に貢献している
  • ・母親も当たり前にキャリアを築き、会社(社会)に貢献している
  • ・性別に関わらず結婚し、養子等を受け入れている(そういった同級生が居る)

 全ての人がこれらの価値観を尊重し合う時代は、まだまだ先のことかもしれませんが、これらの価値観を持っている家庭(や同級生)が、今よりも増えることは間違いありません。

そういった新たな価値観を持った(自分と異なる生活をしている)人と出会ったときに、尊重し合える子どもに育てていくことが大切だと考えられます。

1-2.多様な価値観の存在を教えること

 前述する「新たな価値観を尊重すること」と繋がっていますが、「父親だからしない」と決めてしまうのではなく、自分たち夫婦が独自に考えた「母親の役割」と「父親の役割」を決めることが必要だと考えられます。

 例えば、「我が家では、掃除は父親がする」「我が家では、DIY等の力仕事は母親がする」といった独自の役割を決めるようにしましょう。

 このように夫婦で独自に決めた役割分担は、「世間一般的な価値観」ではなく、「自分たちの価値観」で成り立っているはずです。

 そして、「自分たちの価値観」で成り立っている役割分担は、テレビで見る家庭や友だちの家庭とは、明らかに異なっているものがあるはずです。

 こういった独自の価値観と他との違いを子どもに見せることで、「家庭毎に色々な価値観があるんだ」という気付きを与えることができます。

 言葉にしなくても、「私たちはこういう選択をしているけど、世の中には他の選択をしている人もいる」という多様性を教えることができます。

 「今の時代は男性も家事をしないといけないぞ」と、一方の価値観を押し付ける必要はありません。

 家事を当たり前にこなす男性もいれば、夫婦で役割分担してバリバリ仕事に注力する男性もいます。

 これらのどちらか一方が正しいわけではなく、どちらも一つの価値観や選択でしかありません。

令和時代における子どもには、「多様な価値観の存在」を教えていくことが大切です。

 その為には、多様な価値観(多様な人)と交流する場面を用意することが欠かせません。

 あえて父親の役割を記載するならば、「会社の親睦会に子どもを連れていく」「会社見学会に連れていく」等、男性社会の価値観(多様な価値観のひとつ)に触れさせることだと言えるかもしれません。

1-3.母親とは異なる感性や価値観を伝えること

 続いては、多様な価値観を行動で示すために母親とは異なる感性や価値観を伝えることが有効です。

 子どもにとって信頼できる母親と父親であっても、異なる価値観が存在することを身近に経験できるためです。

 難しく考える必要はありません。例えば、同じレーシングカーを見た時に、母親にとっては「ださい」と感じても、父親にとっては「かっこいい」と感じることもあります。

 そういった異なった感性が生まれた時に、「ママにとってはださい」「パパにとってはかっこいい」と感じたことを、素直に伝えるだけです。

 そして、子どもが例え「レーシングカーは気持ち悪い」と感じたとしても、それはそれでひとつの感性ですので、尊重してあげることが大切です。

 「気持ち悪くない、あり得ない」と、感性を押し潰すのではなく、「パパは車が好きだからかっこいいと思う、なんで気持ち悪いの?」と、その理由を伝えながら聞くことが望ましいでしょう。

 誰かが「かっこいい」と言ったから「かっこいい」と思わなければいけないのではなく、自分の感性(や他人の感性)をそれぞれ尊重できるようにしてあげると良いでしょう。

 余談ですが、人と異なる感性を否定してきた(協調性を重んじてきた)親世代の方が、意外と苦労するかもしれません。

1-4.自分自身の責任を果たす姿を見せること

 続いては、夫婦で決めた役割分担をしっかりと果たす姿を見せることです。

 夫婦それぞれが、責任感を持って物事に向き合っている姿を、子どもは必ず見ています。

 両親がお互いに責任感を持って信頼し合っている姿は子どもに伝わります。

 社会で生きていくうえで、「誠実さ」と「責任感」は欠かせません。

 子どもに対して「何かをしてあげなければならない」「こういう風に接さないといけない」と考えがちですが、自分自身の役割をしっかりと果たすだけでも、子どもの責任感や忍耐力、協調性を育むことに繋がるはずです。

1-5.母親との関係(夫婦関係)を良好に保つこと

 同様に夫婦関係を良好に保つために話し合いを繰り返したり、時には言い合うこともあるかもしれません。

 そういった夫婦間の行動も全て子どもの成長に繋がっています。

 母親を気遣って家事を代わったり、交互に息抜きをしたり、といった夫婦のひとつひとつの行動を見ています。

 父親が本来持つべき役割は「ライバルになること」や「一緒に遊ぶこと」のような、子どもと直接関わることだけではありません。

 むしろ毎日の行動ひとつひとつが、子どもの成長に繋がっているという意識を持つ方が、よっぽど大切と言えるでしょう。

2.人間力(人間が生きる力)を家族全体で育む

 最後に、これまでの内容をまとめれば、「人間が本来持つべき要素を家族全体で育んでいくこと」が、父親の役割と言えるかもしれません。

 少し古い資料になりますが、内閣府が示している「人間力戦略研究会報告書」によると、人間力は以下のように記載されています。

 本委員会の採用した人間力の定義とは、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」ということになる。

「内閣府:人間力戦略研究会報告書」より

 また、同報告書では人間力を構成する要素について、以下のように記載されています。

① 「基礎学力(主に学校教育を通じて修得される基礎的な知的能力)」、「専門的な知識・ノウハウ」を持ち、自らそれを継続的に高めていく力。また、それらの上に応用力として構築される「論理的思考力」、「創造力」などの知的能力的要素

② 「コミュニケーションスキル」、「リーダーシップ」、「公共心」、「規範意識」や「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力」などの社会・対人関係力的要素

③ これらの要素を十分に発揮するための「意欲」、「忍耐力」や「自分らしい生き方や成功を追求する力」などの自己制御的要素

などがあげられ、これらを総合的にバランス良く高めることが、人間力を高めることと言えよう。

「内閣府:人間力戦略研究会報告書より

 要約すると、「考える力」「共生する力」「自制する力」を養うことが、大切だと言えそうです。

 さらに、この資料に追加するとすれば、時代に合わせて「変化する力」が挙げられるかもしません。

 子どものこういった力を育むことは、社会全体の使命でありながら、家族内の使命と言えます。

 本記事では繰り返し説明してきましたが、端的な行動を制御するのではなく、毎日の自分自身(父親)の行動を見直して、家族全員が人間力を育んでいくことこそが、「父親の役割」かつ「母親の役割」と言えるのではないでしょうか。