【必見】離乳食の悩みと大変なこと【夫婦で協力して乗り越えよう】

 「離乳食は、本に書いてある手順に従って、ひとつひとつ進めていくだけ。親として当たり前のことだ」なんてことを考えていたのではないでしょうか。

 恥ずかしながら、第一子誕生時の筆者は、そのようなことを考えていました。

 しかし、離乳食で本当に大変なことは、「食べさせる」ということではなく、「心の不安」なのです。

 本記事では、離乳食の本当に大変な一面を「精神面」と「身体面」に分けて紹介すると共に、男性が勘違いしがちな離乳食の誤解についても、合わせて紹介します。

1.本当に大変な離乳食の悩み

 まずはじめに、様々な人たちが抱えている本当に大変な離乳食の悩みについて、紹介します。

1-1.離乳食の本の通りに進めるだけと思っている

 ひとつめは、離乳食を経験していない方(特に男性)は、「離乳食の本の通りに進めるだけ」と考えがち、ということです。

 近年では、離乳食に関する冊子やネット情報も多くある為、その通りに進めるだけで良い、と勘違いしてしまうかもしれません。

 正確には、「本の通りに進めるだけ」で間違いないかもしれませんが、その本の通りに進めることこそが、本当に大変なことは言うまでもありません。

 離乳食の一番初めに食べることの多い10倍がゆ(お米の10倍の水を含むおかゆ)ですら、「すり潰し具合」「硬さ」「粘度の加減」といった調理方法を本から読み取ることは難しいものです。

 離乳食の本によっては、その硬さやすり潰し具合を、様々な表現で記載してくれている場合もありますが、実物がそこにあるわけではない為、どうしても確信は持てません。

 離乳食初期には、明らかに完全にすり潰したであろう10倍がゆですら、うまく飲み込めないこともある為、「これで大丈夫」という確信を持つことができないのです。

 また、食材が変わるごとにその加減も変わる為、野菜や肉類まで進むと、さらに「これで合っているのか」という不安と共に過ごすことになります。

 全くの素人の方がプログラミングの本を与えられて、「この本の通りだから」と言われても、すぐには理解できないのと同じように、離乳食の本だけで全て理解できるわけではないのです。

 命を背負う場面で、誰にも相談できず一人で抱えている「心の不安」は、実際の調理よりも圧倒的に大きな負担となっているのです。

1-2.離乳食の本の通りに進めるべきと思っている

 さらに、離乳食の経験が浅い方は、「離乳食の本の通りに進める"べき"」と考えがちです。

 離乳食の本には、離乳食の目的や発達への影響が記載されていることも多く、「きっちりと進めるべきだ」という責任感が先行してしまいます。

 確かに、離乳食の本の通りに進められるに越したことはありませんが、それは容易ではありません。

 離乳食の本の通りに進めるには、日々離乳食について考えながら、離乳食の為だけに行動しなければいけない、といって過言ではないかもしれません。

 本来、離乳食の本は、あくまで「目安」であり、必ずしもその通りに進めなければいけないものではありません。

 気負いしすぎず、適度な息抜きを取りながら続けていくことの方が、大切だと考えられます。

1-3.離乳食を購入することに罪悪感がある

 また、責任感の強い方であれば、「離乳食を購入するなんて手抜きだ」と考え、離乳食を購入することに罪悪感を感じてしまう場合もあります。

 筆者も「購入すれば楽だけど、離乳食は毎日食べるものだから、その費用が馬鹿にならないな…」なんてことを考えていたこともあります。

 しかし、離乳食は、多品種かつ少量ずつ作らなければいけません。レバーや白身魚など、少量で購入することが難しい食材に関しても、衛生面に配慮しながら「少しだけ」作らなければいけません。

 冷凍保存もできますが、日持ちしませんし、容器の洗浄もいちいち行う必要があり、本当に大変です。

 色々と調べて頑張って作っても、全然食べずに廃棄してしまうということもあります。

 そういった労力や廃棄ロスを踏まえれば、離乳食(ベビーフード)を購入することは、決して間違っていない選択だと考えられます。

 参考までに、少し古いデータですが、「平成17年度 乳幼児栄養調査 (厚生労働省)」によれば、「75.8%」の家庭でベビーフードを「良く使用した」又は「時々使用した」と回答しています。

 本調査から10年以上が経過している為、さらにその使用率は上がっていると考えられます。

1-4.授乳の負荷に離乳食の負荷が重なる

 また、離乳食が始まる時期には、生後初期と比べて、授乳の回数も大幅に減っているとはいえ、まだまだ授乳の負担も残っています。

 離乳食が始まってから1~2ヵ月は、主に授乳によって栄養面を維持していると言われている為、「授乳をやめて離乳食に切り替え」ということができません。。

 家事や育児、授乳の負荷はこれまで通りのまま、新たに離乳食の負荷が増えることになるのです。

 授乳の仕方等を母子ともに覚えて、ようやく落ち着いてきた頃に、また新たなことを始めなければならず、精神的にも大きな負担となります。

1-5.具体的な調理方法が分かりにくい

 さらに、離乳食初期~中期、後期にかけての調理方法が分かりにくい、といった悩みも多くあります。

 離乳食初期にはすり潰すことがメインとなっていますが、徐々に「舌でつぶせる硬さ」や「湯煎してほぐす」といった食材に応じた調理方法に変化していきます。

 その変化の度合いや程度は非常に分かりにくく、「これくらいで合っているのか?」という不安を常に感じながら調理することも少なくないでしょう。

 調理するたびに様々な調理方法を覚えていかなければいけない為、強い負担感を感じてしまうことがあります。

 また、調理方法を変えたことで食べなくなってしまうこと等もあり、離乳食本の通りに進められないことも少なくありません。

 赤ちゃんの様子を確認しながら、少しずつステップアップしていくことが必要になる為、そういう意味でも大きな負担感があります。

2.本当に大変な離乳食の管理と計画

 続いて、より具体的に離乳食の大変さが分かるように、本当に大変な離乳食の管理と計画について、引き続き紹介します。

 なお、離乳食のより詳しい流れについては、別記事「【初心者向け】離乳食の基本!離乳初期の流れから参考例まで!」でも紹介していますので、参考にしていただければ幸いです。

2-1.1週間単位で食事内容が変化する

 まずはじめに、離乳食は約1~2週間単位で、食事内容が変化していきます。

 具体的には、食事の量や使う食材の種類、すり潰し具合など、様々な要素が変化します。

 つまり、一連の作業に慣れる余裕もないまま、次から次へと新しいことを覚えていかなければいけません。

 ほぼ毎日のように、「今日はこの食材を始めてみよう」「今日は少し量を増やしてみよう」「今日は少し粗目に潰そう」といったことを考えるようになります。

 さらに、そのひとつひとつの変化が、大切な赤ちゃんの命に関わる場合もある為、精神的な負担は想像以上に大きくなります。

2-2.多くの食材に触れて覚える必要がある

 また、離乳食では、多くの食材に触れて、味や食感を覚えていきます。

 アレルギーの可能性がある食材に限らず、初めて食べる食材は、一食にひとつまで、かつ少量ずつとすることが推奨されています。

 これは、何らかの問題があった場合に、問題となる食材を特定しやすい為です。

 裏を返せば、少量ずつ、一食ずつ進めていかなければいけないのです。

 世の中には多くの食材があり、例え毎日一食ずつ新たな食材を試したとしても、何十日も必要になります。

 実際には、アレルギーのリスクが高いたんぱく質を含む食材は、1週間程度、少量で様子を見る場合もあり、より日数が必要になります。

 その少量の食材を毎回購入して「少量だけ」使用して、残りは大人用のレシピを考えて、調理しなければいけないのです。

 調理方法も食材によって異なる為、その都度、加熱時間やすり潰し具合といったことを調べて、考える必要があります。

 また、大人でも苦手な人が多い、レバーやセロリ等を使用する場合、消費しきれないこともあるかもしれません。

 「多くの食材を食べさせる」という行為は、言葉にすれば簡単ですが、実際に全て自力で実行することは、本当に大変な行為です。

2-3.調理器具や食器類の消毒を徹底する

 また、多くの食材を調理する調理器具や、食事に使用する食器類は、消毒等を徹底しなければいけません。

 お湯に付けるだけ、レンジで加熱消毒できるものもある、と思われるかもしれませんが、毎日のように多くの調理器具や食器類を消毒することは大変です。

 小さい調理器具や食器類を一通り洗って、加熱消毒し、乾かして片付けるという一連の流れを毎日こなさなければいけないのです。

 そこまで気を遣わなくても良いといった意見もありますが、食中毒の恐れもあり、あまり油断しすぎるわけにはいきません。

2-4.食事後の状態を常に確認する

 また、離乳食を始めると便通が悪くなったり、栄養面で偏りが出たり、と様々な変化が発生する可能性があります。

 それまでと同様に便の色や硬さに配慮する必要もありますし、アレルギー症状 (肌の色や状態など)にも気を付けなければいけません。

 新しい食材を試す際は、かかりつけ医の診療時間である平日の日中に、試すことが推奨されている為、妻一人でそういった確認をする必要があります (夫が育児休業等をしていない限り)。

 離乳食は、「単に食べさせれば終わり」ではなく、食べさせる前から食べさせた後まで、十分な気配りが必要なのです。

3.本当に大変な離乳食の大変さ

 続いて、本当に大変な離乳食の大変さについて、紹介します。ここまで読み進めて頂いた方であれば、既にその悩みと大変さは想像できるかもしれませんが、改めて見ていきます。

 なお、ここで紹介している内容は、厚生労働省の「授乳・離乳支援ガイド (厚生労働省)」を参考に記載しています。

3-1.大人用と離乳食を別々に用意しなければいけない

 当たり前のことですが、大人用の食事はこれまで通り用意しなければいけません。つまり、普段の家事や育児の負担に、単純に離乳食を用意する負担が増えることになります。

 大人用の食事を毎日用意するだけでも苦痛だという方も少なくない中で、さらに子ども用の食事を"別に"用意しなければいけません。

 大皿で食事をしている家庭でも、子ども用の食事は別の食器に分ける必要がある為、洗い物も必然的に増えることになります。

 大人用と子ども用の献立を毎日考えることも、意外と大変な部分のひとつです。

3-2.月齢・年齢だけで管理できるものではない

 また、月齢に基づいて離乳食の計画を立てても、全然食べなかったり、アレルギーが出たり、と思うように進まないことも考えられます。

 個人差もあり、「○か月だから必ず大丈夫」ということではなく、子どもの状態に合わせて少しずつ変えていかなければいけません。

 「○か月だから大丈夫」と思って、少し固形分を残して調理したところ、全然食べなくなってしまった、というケースもあり得ます。

 ある程度、離乳食の段階が進んでいると「食べないからまあ1回飛ばすか」というわけにもいかず、その時点から作り直す必要があるのです。

 離乳食が食べられなくて泣いている赤ちゃんをあやしながら、苦労して作ったのに食べられなかった離乳食を横目に、新たに離乳食を作らないといけないのです。

 これがどれだけ精神的につらいか、容易に想像できるのではないでしょうか。

3-3.離乳食の硬さや味付けに自信がない

 また、前述した通り、離乳食は月齢だけで管理できるものではない為、食材ごとの硬さや味付けも様子を見て、ステップアップしていかなければいけません。

 「様子を見て」と言えば簡単ですが、分かりやすい反応をしてくれるとは限らない為、常に不安と向き合い続けることになります。

 特に塩分や栄養素の偏りは、短期的に反応が出るものではなく、様子から判断できない為、不安感も残りやすいと考えられます。

3-4.食べ方が合っているか自信がない

 さらに、食べ方 (噛む回数、量など)が合っているか、といったことも個人差があり、自信を持ちにくいものです。

 実際には、少々食べ方が違っていたところで、大した影響はないのかもしれませんが、大きな責任である以上、不安を拭うことは難しいものです。

 厚生労働省の調査の中でも、「食べる量や食べ方に不安を感じている」方が多くいることが分かっています。

3-5.とにかく食べない&その理由も分からない

 また、とにかく食べず、その理由も分からない場合もあります (筆者の第一子がそうでした)。

 ベビーフードを与えてみたり、軽い味付けをしてみたり、比較的に食べる食材を使ってみたり、と試行錯誤しながら、その原因を探っていくことになります。

 ただ、成長に伴い、好きな食材が変化したり、その他の要因によって食べなかったりする為、原因を特定することは容易ではありません。

 そういった背景から、「全然食べないけど大丈夫かな」と不安になることもあります。

 なお、食材や調理方法をステップアップしていく際には、食べない原因を特定しやすいように、一つずつ変化させていくことを意識すると良いかもしれません。

3-6.食材が偏りやすく栄養バランスが気になる

 これだけ多くの悩みや大変さと向き合わなければいけない為、食材が偏りやすくなります。

 新たな食材のたびに、すり潰し具合を確認したり、加熱具合を確認しなければいけませんし、一度頑張って作ってみて、食べなかったとなれば、精神的な負担も大きくなります。

 必然的に、食べてもらいやすくて使いやすい食材を中心に使うことになる反面、栄養素の偏りが悩みになるのです。

 「全然食べてくれない」の解決策と「栄養素の偏り」の解決策は、相反しているものと言えるかもしれません。

3-7.気軽に相談できる相手がいない

 そして、一番大きな悩みとして、「気軽に相談できる相手がいない」ということです。

 保健所など、相談相手になってくれる公共機関はありますが、何度も何度も相談するには、少し気が引けてしまいます。

 自分の両親も覚えていなかったり、情報が古い場合もあり、気軽には頼れないこともあります。

 唯一、一緒に悩みを共有できる夫が仕事で忙しく、育児に向き合えていない場合、相談相手が全くいないことになってしまいます。

 筆者の経験上は、「本には、こう書いてあるんだけど、こんな感じでいいよね?」という相談を聞いてもらえるだけでも、精神的な負担は大きく軽減します。

4.離乳食は夫婦二人で向き合うべき!

 最後に、これだけ大変な離乳食を、未経験の妻一人に任せっきりにすることは、本当に酷すぎると考えられます。

 恥ずかしながら、筆者は、第一子の離乳食は妻に任せっきりでした。自分自身では何も理解せず、「ベビーフードに頼りすぎてない?」なんてことを思っているほどの大馬鹿者でした。

 第二子誕生時に育児休業を取得し、離乳食に関わってみて、初めてその大変さや本当の負担を知ったのです。

 平日の日中に仕事をしている場合は、離乳食の「食事介助」や「調理」はできないかもしれませんが、離乳食の「計画」と「管理」はできます。

 本当に負担の大きい離乳食の「計画」と「管理」だけでも、夫婦二人で向き合ってみてはいかがでしょうか。

 参考までに、筆者の家庭では、第二子で離乳食を経験した私が、「こんなに大変なのに何故言わなかったの?」と聞くと、妻は「本当は心が折れてた。でも大変なのはお互い様だから、これ以上の負担は増やせないと思って言えなかった」と返されました。

 黙って受け入れているように見えていても、実は限界を超えている場合もあります。

 これから離乳食が始まる家庭は、ぜひ「夫婦二人で向き合うかどうか」、夫婦で話し合っていただければ幸いです。