【男性必見】育児休業を諦める前に!負の連鎖を断ち切る勇気を

 男性の育児参画が徐々に浸透してきたことで、育児休業を検討する男性が増えてきています。

 しかし、その一方で会社からの理解の無さや、自分のキャリアへの影響を懸念して、育児休業を諦める男性(女性)も少なくありません。

 そこで、本記事では、育児休業を諦めてしまう前に読んで欲しい、育児休業を諦めることによる負の連鎖、と育児休業を強行することによる正の連鎖について、紹介しています。

1.男性が育児休業を諦める主な理由

 まずは、男性が育児休業を諦めてしまう主な理由について、紹介します。

1-1.育児休業に対する会社の理解が無かった

 男性が育児休業を諦めてしまう最も大きな理由は、「育児休業に対する会社の理解が無かった」というものです。

 現代は、「男は外で働き、女は家庭を守るべき」という考え方をベースに構築されている為、その考え方が根強く残っています。

 その為、男性の育児参画に対する理解も遅れており、ひどい例では、「妻が家にいるのに、育児の為に休業するなんてあり得ない」と言い放つ会社まであるようです。

 もちろんこういった言動は、ハラスメントに該当し、法律によって明確に禁止されていますが、後を絶たないのも事実です。

 そこまでひどい例でなくとも、「男性で育児休業した人がいない」「会社に男性向けの育児休業制度が整備されていない」といった例は少なくありません。

 会社と揉めて、最悪の場合は転職、なんてことになるかもしれないリスクを背負うくらいなら、育児休業以外の選択肢で何とか対応しよう、と考えてしまう気持ちも理解できます。

1-2.育児休業による業務への影響を懸念した

 続いて、育児休業を諦めてしまう二つ目の理由として、「育児休業による業務への影響を懸念した」というものがあります。

 例えば、「繁忙期に重なり、欠員の影響が大きすぎる」「自分にしかできない業務や担当業務がある」等です。

 自分の育児休業によって、職場に大きな迷惑をかけてしまうと、復職しにくくなることが懸念される為、そういったリスクを避ける為に育児休業を諦めたくなる気持ちも理解できます。

1-3.育児休業による自分自身への影響を懸念した

 続いて、育児休業を諦めてしまう三つ目の理由として、「育児休業による自分自身への影響を懸念した」というものがあります。

 例えば、「復職時に仕事や職場の変化についていけなくなりそう」「昇給や昇格といった評価に影響する懸念がある」等です。

 要するに、これまでの理由を全てまとめると、「男性の育児参画に対する理解の低さ」から「職を失うリスク」を懸念して諦めている、ということが分かります。

 なお、男性の育児休業の難しさについては、別記事「男性の育児休業が難しい本当の理由!パタハラや不利益取扱いだけじゃない」にて、より詳しく解説していますので、良ければ合わせてご覧ください。

2.育児休業の「負の連鎖」と「正の連鎖」

2-1.育児休業を諦める「負の連鎖」

 それでは、前述した「男性の育児参画に対する理解の低さ」という問題を、「男性が育児休業しやすい仕組みや体制を構築する」という課題に置き換えて、考察してみます。

 一般的な問題解決手法を用いると、この課題の優先度は、「影響度×緊急度」となります。

 まず、影響度の大きさは、会社によって異なります。

 男性の育児休業に対応できる体制や仕組みが構築されておらず、急遽、複数人が育児休業を申請した場合に、「その職場全体の機能を失う」場合は、影響度が高くなります。

 また、その職場の機能を失った場合に、「会社全体の機能を失う」場合は、その影響度はより高まります。

 さらに、その会社の機能を失った場合に、「社会の重要な機能を失う」場合は、その影響度は最大となります。

 例えば、公務員 (県庁職員等)が一斉に育児休業を取得し、県庁の機能が失われた場合、非常に大きな影響となることが考えられる為、影響度も非常に高くなります。

 続いて、緊急度の大きさですが、緊急度の大きさは、その職場にいる人の行動で変わります。

 育児休業を希望している男性が多ければ、直ちにその危機が訪れる可能性が高い為、緊急度が上がります。

 反対に、育児休業を希望している男性が少ない(希望していることを表に出していない)場合は、その緊急度は下がります。

 これらのことから、「影響度は職場によって異なる」「緊急度は個人の行動によって変わる」ということが言えます。

 つまり、あなた自身が育児休業を希望していたにも関わらず、会社に相談せずに諦めてしまうことによって、男性の育児休業の優先度 (必要性)を下げてしまうことになるのです。

  • 【育児休業を諦める「負の連鎖」】
    • 「会社の体制や仕組みが十分でない」
    • 「会社や自身への影響が懸念される」
    • 「育児休業を諦める」
    • 「体制や仕組みを変える緊急度が下がる」
    • 「体制や仕組みが変わらない」
    • 『いつまで経っても育児休業しやすい組織にならない』

 なお、今回は、あえて会社側の視点だけで影響度を考察しましたが、男性の育児参画は、男女共同参画社会の実現や少子化対策に欠かせず、社会的には非常に大きな影響力を持っています。

2-2.育児休業を強行する「正の連鎖」

 続いて、リスク覚悟で育児休業を強行する効果について、確認します。

 先ほどの「影響度×緊急度」の考え方を基にすれば、育児休業を強行する人が増えることによって、緊急度が急上昇します。

  • 【育児休業を強行する「正の連鎖」】
    • 「会社の体制や仕組みが十分でない」
    • 「会社や自身への影響が懸念される」
    • 「育児休業を強行する」
    • 「職場に影響が出る、皆が困る」
    • 「体制や仕組みを変える緊急度が上がる」
    • 「さらに育児休業を強行する人が後に続く」
    • 「さらに緊急度が上がる」
    • 「体制や仕組みが変わり始める」
    • 『育児休業しやすい組織になる』

 最初に育児休業する人は、それだけ大きなリスクを抱えて強行しなければいけないケースもあるかもしれません。

 しかし、後に続いて育児休業を強行する人が増えれば増えるほど、最初に育児休業した人のリスクは下がります。

 会社の待遇によって、「育児休業=退職」という大きなリスクの前例を作られたとしても、育児休業を強行する人が増えれば、退職に伴う人材確保ができなくなり、その前例を踏襲することはできなくなります。

 つまり、育児休業しやすい職場にする為には、誰かが育児休業を強行しなければいけない、と言えます。

 例え、建設的に育児休業に必要な体制や仕組みを構築していても、実際に育児休業する人が居なければ (職場が育児休業を経験しなければ)、理解できないことが必ずあります。

3.育児休業を諦めないことで世の中は変わる

 最後に、繰り返しになりますが、誰かがリスクを背負って、育児休業を強行しなければ職場は変わりません。

 そして、そのリスクを背負ってくれた先駆者を守る為にも、後に続いて育児休業を強行することも大切です。

 あなたが育児休業を諦めない (例え諦めたとしても要望は伝える)ことで、職場の育児休業に対する理解は必ず高まります。

 ぜひ、「今の会社にしがみつく」ことに固執せず、「子どもたちに明るい未来を残す一人」になることを検討していただければ幸いです。

 なお、別記事「【実体験】男性の育児休業はメリットだらけ!個人から社会全体のメリットまで」にて、男性の育児休業が社会に与える影響等について詳しく紹介している為、よろしければご覧ください。