【もう無理】仕事と子育ての両立の難しさを感じた瞬間に取るべき行動

 "仕事と子育ての両立の難しさ"は、子どもが生まれる前から想像できていたことではあったものの、「こんなに難しいものだとは思っていなかった」と感じる方も多いのではないでしょうか。

 単純に"仕事と子育ての両立"と一括りに表現されるものの、「楽にお金さえ稼げれば良い」と考える人もいれば、「出産前と同じように社会貢献や自己実現の欲求を満たしたい」と考える人もいます。

 また、会社に両立支援の相談窓口すらない場合もあれば、窓口はあっても口を開けば「まずは仕事をセーブして~…」というように、本質的な両立には向き合ってくれない場合もあります。

 このように同じ"仕事と子育ての両立"でも、その人がイメージしている「理想の働き方」や「理想の子育て」によって、悩みが大きく異なっているものです。

 そこで、本記事では、"仕事と子育ての両立"の難しさを様々な視点で深堀りし、具体的な対策まで紹介しています。

1.仕事と子育ての両立に難しさを感じる瞬間(先輩の声)

 まずは、様々な視点から「仕事と子育ての両立の難しさ」を感じる瞬間について調査し、まとめてみました。

1-1.とにかく時間に余裕がない

 仕事と子育ての両立の難しさの中では、「とにかく時間がない」ことが必ず上位にあげられます。

 多くの場合は、家事負担が偏っているママから発信されていますが、夫婦で協力していても「自分たちの時間が取れない」といった声を聞くこともあります。

 常にぎりぎりのスケジュールで行動している場合も多く、「子どもが体調不良になったけど保育園に迎えに行けない…」「保育園に迎えに行ったせいで取引先に迷惑をかけた…」といった先輩たちの悲痛な声を聞くこともあります。

 なお、別記事の「【夫婦必見】共働き世帯の子育て必勝法!本当に大切なことを明確にする」でも詳しく紹介していますが、共働き世帯は物理的に時間が足りていません。

 そもそも1日10時間近く(通退勤+労働時間)を仕事に拘束されていることを考えれば、時間に余裕がなくて当然だと言えるかもしれません。

1-2.心身の疲れが溜まっている

 さらに、時間に少しの余裕ができたとしても、その余裕時間には保育園の対応をしたり、予防接種の確認をしたり、と気が休まらないものです。

 平日は仕事と保育園の送り迎えや家事に追われ、休日は平日を円滑に進める為の下準備に追われる日々が続き、「いつ休めばいいの?」と感じることも少なくないでしょう。

 夫婦共働きであれば、夫婦のどちらも十分な休息時間を持つことができない為、心身の疲れが積み重なっていく一方です。

 少し話はそれてしまいますが、有名な話として「働きアリの法則」というものがあります。この法則によれば、働きアリは約8割が働いて約2割は休んでいると言われています。また、働いていない約2割のアリを排除したとしても、残ったアリ達の約2割のアリがまた働かなくなり、「働く8割:働かない2割」の関係が常に維持されると言われています。

 この話は様々な法則に派生していく中で、まるで「働かないアリはいらない」「働かないアリは無視しろ」というような扱われ方をしていることも多く、実際にそのように解釈している方も多いのではないでしょうか。

 しかし、生物的にはこの「働かないアリ」は、巣全体として必要な存在である、と言われています。何故なら、全てのアリが一生懸命働いている状態では、全てのアリが同時に疲弊してしまい、危機的な状態に陥った際に、絶滅してしまう可能性がある為です。

 言い換えれば、巣全体として「働かないアリ」=「巣全体の余力」を持っておくことで、万が一の突発対応を可能にしている(種としての絶滅を防いでいる)ということです。

 これを夫婦や家族に置き換えてみると、夫婦の両方が100%全力で走り続けている共働き世帯は、万が一の突発対応が非常に苦手な状態であるということが分かります。

 夫婦のどちらかが疲弊した頃には、どちらも余裕が無くなっており、交互に回復する余力すらなくなってしまっていることもあり得るでしょう。

1-3.職場で不利益な取扱いをされる

 そのような時間や疲れに追われている中でも、職場に貢献しようと精一杯の努力をしているにも関わらず、「育児の方を優先する人」というレッテルを貼られ、不利益な取扱いをされることもあるかもしれません。

 特に先輩ママたちに多い声としては、「意に反して責任の無い軽易な仕事に転換された」「暗に退職を示唆するような言動や配置転換をされた」といった話が多く聞かれます。

 また、不利益な取扱いとは少し異なるものの、「子作りの順番待ちを無視して先に妊娠した」「育児制度を利用した」といった理由から、直接的又は間接的な嫌がらせを受けたという話も聞かれます。

 最近では子育てパパも増えてきたことで、同じような不利益な取扱いを受けた(又は受けそうになった)という男性の声も耳にする機会が増えてきました。

 夫婦共にこのような「子育てに理解の無い職場」で働いていた場合は、育児制度を十分に活用できず、「両立は無理!」と思う場面も増えるでしょう。

1-4.生活周期と就業時間が合わない

 また、仕事と子育ての両立に難しさを感じる人の中には、「そもそも就業時間が合わず、働きながら子育てすること自体が無理」「保育園に入れなかったから退職するしかない」という方もいるでしょう。

 育児制度の充実や保育園の整備が進められたことによって、このような物理的に働き続けることすらままならない方達は減りつつありますが、まだまだ残っているのが現状です。

 サービス業や運送業といった職種では、フレックスタイム制や在宅勤務などを活用した働き方の調整も難しく、職場の理解度に関わらず「働き続けにくい職種」が存在していることも影響していると考えられます。

 このように物理的に働き続けることができない方達からすれば、「生活周期と就業時間を合わせることができているだけマシ」と感じることもあるかもしれません。

1-5.家族の協力が全く得られない

 また、家族の協力がほとんど得られず、「どうして自分ばかり家事も育児も仕事もこんなに苦労しなければいけないのか…」と思うこともあるでしょう。

 ここでは「家族の協力が得られない」と一括りにしていますが、実際には「家事や育児に協力してくれない」悩みもあれば、「突発対応(子どもの体調不良など)に協力してくれない」「復職に合わせて育児休業してくれない」といった悩みもあるようです。

 特に、出産直後や1歳児~は身体的な負担がかかりやすく、家族の協力なしで仕事と子育てを両立することは難しいものです。

 さらに、育児休業や突発対応による職場への迷惑、自身のキャリアへの影響等を考えると、精神的な負担も大きく、パートナーが思っている以上にストレスを感じていることもあるでしょう。

 自分自身の負担に「これまで通りのびのびと働くパートナーへの苛立ち」が追加されることで、「両立はもう無理!」と感じてしまう方も少なくないでしょう。

1-6.バリバリキャリアの前例がほとんどない

 また、大手企業やホワイト企業であれば、前述した不利益はあまりないかもしれませんが、実際には「仕事をセーブする」ことが前提にあるケースがほとんどです。

 具体的には、本人の意(キャリアプラン)に反して、総務部や経理といった人員調整がしやすい管理部門に異動させられてしまうことが多くあります。

 確かに育児を続ける為に休業や休暇、時間休の利用が増えることを考えれば、そういった育児制度を利用しやすい職場に異動することが望ましいのですが、本来描いていたキャリアプランは潰れてしまうことになります。

 特に、研究部門や製造部門は技術の進歩が速く、休暇が取りにくいことから、異動せずにキャリアを築いていくことが難しいものです。

 そういった部署異動は、「育児を続ける為には最善の選択だった」とは思うものの、大学や大学院で努力して培ってきた知識や経験を全て捨てているようで、心に引っ掛かりができてしまう方もいるでしょう。

 しっかりとしたキャリア形成をしていた方からすれば、ただ育児をしながら働き続けることができているだけで仕事と子育てを両立していると言えるのか、と疑問に感じることもあるでしょう。

2.仕事と子育ての両立に難しさを感じた瞬間に取るべき行動

 では、このような仕事と子育ての両立に難しさを感じた瞬間に取るべき行動とは、どのようなものがあるのでしょうか。

 今回は、大企業で働く先輩ママ(パパ)達の意見を踏まえて、乗り越える為に必要な行動(傾向)を紹介したいと思います。

2-1.一番目に取るべき行動は"諦める"ということ

 まずはじめに、先輩ママ(パパ)達が口をそろえて助言する言葉として、"諦める"ことが挙げられます。

 "諦める"という言葉は、一見するとネガティブな言葉に聞こえますが、ここでは決してネガティブなニュアンスではありません。先輩ママ(パパ)達が、口をそろえて助言する具体的な"諦める"には、以下のようなものがあります。

  • 【先輩ママ(パパ)達の"諦める"】
  • ・ママは一人しかいない為、まずはママを優先した(仕事を少し諦めた)
  • ・育児は保育園や祖父母に頼って、仕事を継続した(育児を少し諦めた)
  • ・家政婦やベビーシッターを利用して仕事を継続した(お金を少し諦めた)
  • ・気合と根性で睡眠時間を削って乗り越えた(時間や健康を少し諦めた)

 ここまで読んで頂ければ既にお分かりかもしれませんが、何かを"諦める"ということは、"優先付けをする"ということです。

 どれだけ優秀な人でも、どれだけ裕福な人でも、身体は一つ、1日は24時間しかありません。「お金も欲しい」「子育ては自分の手でしたい」「仕事はバリバリキャリアで続けたい」「睡眠時間も自由時間も欲しい」と多くの理想像を描くことは自由ですが、全てを叶えることは現実的ではないのです。

 例えば、「やっぱりママ(パパ)が最優先だ」と感じるのであれば、まずはママ(パパ)として必要なことに注力した上で、余力のある範囲で仕事や時間に目を向ければ良いのです。

 何か一つだけを優先する、ということではなく、それぞれの最低ライン(基準ライン)を決め、それさえ達成できていれば、まずは自分を褒めてあげることが必要です。それができれば、「私ばっかり苦しい」「もう無理だ」と思うことは少しずつ少なくなるでしょう。

2-2.二番目に取るべき行動は"頼る"ということ

 また、"諦める"という表現にどうしても納得できない場合は、誰かに"頼る"と考えてみると良いかもしれません。

 例えば、保育園や祖父母、家政婦、ベビーシッター、パートナーといった自分以外に頼るのです。

 「自分の手ですることを"諦める"」と同じ意味ですが、誰かに頼ることで自分一人では見えなかった新たな発見や経験に繋がるメリットもあります。

 また、"頼る"ものは人だけではありません。例えば、子どもは必ず成長する為、苦しい時期は時間と共に必ず過ぎ去っていきます。その時間経過に"頼る"ことで、耐え忍ぶという作戦もあるかもしれません。

 その他、スイーツやお酒が好きであれば、そういった嗜好品に"頼る"ことで、自分自身にストレスをためないようにする作戦もあるでしょう。

 いずれにしても、たった一人で仕事と子育てを両立することは困難である為、まずは何か(誰か)"頼る"ことができるもの(人)を探してみることが大切です。

 まずは、「好きなもの」「関係する人や施設」を書き出してみてはいかがでしょうか。

2-3.三番目に取るべき行動は"休む"ということ

 続いて、「もう無理だー!」「何をしても無駄だー!」と自暴自棄になりかけている場合は、一度"休む"ことも必要かもしれません。

 数時間もしくは数日間休んだところで、家族や職場に多少の迷惑がかかるだけであり、あなたのキャリアや人生に多大な影響を与える可能性は極めて低いはずです。

 忙しさやストレスで頭がパンクしている状態では、何を考えても良い結果が生まれることはない為、まずは"休む"ことに挑戦してみると良いかもしれません。

 先輩ママ(パパ)の中には、「あれもこれもと頑張りすぎて、結局全て中途半端になってしまっていた」「それが自己嫌悪に繋がり悪循環になっていた」という方も少なくありません。

 まずは、「仕事を休んで育児だけをやってみる」「育児は祖父母に任せて、仕事に注力してみる」というように、メリハリをつけて「これはやりきった」という達成感を味わえるようにしてみてはいかがでしょうか。

2-4.最後に取るべき行動は"踏ん張る"ということ

 また、これまで紹介した三つの行動を踏まえた上で、やはり"踏ん張る"ことは欠かせません。

 「少しだけ自分の手でする育児を諦めてみた」「少しだけ仕事をセーブしてみた」というように、部分的に諦めてしまう(優先順位を付ける)ことは必要ですが、仕事と子育ての両立そのものを諦めてしまっては、永遠に達成することができなくなってしまいます。

 某バスケ漫画の「諦めたらそこで試合終了だよ」ではありませんが、諦めてしまった時点で「自分には無理だった」という実績だけが残ってしまうことになります。

 その「自分には無理だった」という経験が残ってしまうことで、将来に訪れる別の困難の際にも「自分には無理だろう」と判断するようになり、"踏ん張る"ことができなくなるかもしれません。

 子育ては必ず過ぎ去っていくものです。どれだけ大変で無茶苦茶だとしても、必ず時間が解決してくれるものです。決してあきらめず、最後は"踏ん張る"ことを意識することも大切だと考えられます。

 但し、子育ては長期戦である為、常に100%フル回転では疲弊し、途中で身体を壊してしまうリスクもある為、80~90%回転くらいを維持できるように、適度な"諦め"と"頼る"、"休む"を活用していくことは忘れないようにしましょう。

3.仕事と子育ての両立は目指すべきゴールによって異なる

 少し話が変わりますが、仕事と子育ての両立は目指すべきゴールによって全く異なっています。

3-1."お金を稼ぐだけ"の両立環境は整ってきている

 現代においては、様々な施設や法律が整備されてきたことで、"お金を稼ぐだけ"の両立環境は整ってきています。

 育児をしながらでもそれなりに働き続けることができますし、臨機応変に勤務対応してくれる職場も増えてきています。

 もしも職種やキャリアにこだわりがなく、ただ単に「お金と子育ての両立」をしたいだけであれば、転職することを視野に入れると良いかもしれません。

 両立が難しいと感じている現職場で働き続けるよりも、勤務環境の整っている職場に早めに変わってしまった方が長く苦しむことも無くなると考えられます。

 転職を考える場合は、仕事と育児の両立を専門的に取り扱っている「ママ向けキャリア転職支援サービス【ママキャリ】」に、無料相談してみると良いでしょう。

3-2."能力を最大限に発揮する"両立環境は整っていない

 なお、主に子育て中の女性が、"能力を十分に発揮する"両立環境はまだまだ整っていないのが現状です。

 これは業種や職種ごとにそういった勤務調整が難しいことも理由として挙げられる為、なかなか解決が難しいかもしれません。

 何事でも第一線を走ることは難しい為、「子育てをしながらバリキャリの道筋を築こうとしている先駆者」としての誇りを持って、踏ん張るしかないのかもしれません。

 筆者自身も、そういった方々が少しでも働きやすくなるように、男性の育児姿勢を改善するような発信を続けています。同じ「新たな道筋」を築く人材として、共に頑張らせて頂ければ幸いです。

 なお、前述した「ママ向けキャリア転職支援サービス【ママキャリ】」は、そういった働き方や副業の相談も無料で可能である為、一度相談してみてはいかがでしょうか。

4.まだ頑張りたいからあなたはここにいる

 最後に、仕事と子育ての両立は「もう無理だ」と思いつつも、内面的には「まだ諦めたくない」と思っているからこそ、この記事を読んでいるのではないでしょうか。

 「誰かに共感してもらいたい」「同じ境遇の人の存在を知りたい」という思いが、今回の検索に繋がっていると考えられます。

 まずは、「同じ境遇の人がどのように働いているのか知る」「知らない働き方の情報を得る」という意味でも、「ママキャリ」に一度相談してみてはいかがでしょうか。繰り返しになりますが、転職を考えていない場合でも、無料で相談することができます。